高級腕時計の時計通信

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13.1.2017

カルティエ|なぜ「パシャ」は人気モデルなのか?

Komehyo

ブログ担当者:後藤

 

カルティエは“名門ジュエラー”として有名ですが、同時に“名門腕時計メーカー”でもあります。特に時計のデザイン力は、業界随一だと思います。傑作と評価される“タンク”、“サントス”、“パシャ”などは、個性的でありながら普遍的な美しさをもつ作品です。これらは、ジュエラーとしての気質を持ち合わせるカルティエだからこそ誕生した作品ではないでしょうか。

 

今回は、その傑作のひとつ“パシャ”についてです。

↑パシャ42mm(型式W31072M7)

 

特に「なぜパシャは人気モデルなのか?」という点を、私なりに考察させていただきます。私はこの理由に以下の3つを挙げます。

 

 

①とにかくデザインが良いから

 

②カルティエのラインナップには珍しいスポーティなモデルだから

 

③カルティエのラインナップの多くは角型ケースなので、丸型ケースとして注目されるから

 

 

今週は、パシャの人気の理由として、この3点を述べさせていただきます。

 

 

 

 

 

 

◆パシャはとにかくデザインが良い!

 

多くの方がパシャに惹かれるのは、そのデザインの素晴しさからではないでしょうか。“パシャらしさ”を決定付ける、特徴的な要素を紹介します。

 

 

<リューズプロテクター>

リューズをカバーするプロテクターが付きます。もちろんリューズを使用する際には外すことができます。プロテクターを外しても落下しないように、本体ケースとチェーンで繋がっています。デザインの個性としても、非常に大きな要素です。

 

 

<ラグ形状>

ラグとは、時計の本体ケースに設けられた突起で、バンドを取り付ける部分でもあります。一般的な腕時計は4つ脚のラグ(つまり12時側・6時側のそれぞれに2本ずつの合計4本のラグ)をもちます。しかし、パシャはラグ形状が特殊で、ケースの12時・6時側の中央にラグをもちます。そのラグを挟むようにバンドを取り付け、両サイドをビスで留めます。こちらも特徴的な魅力あるデザインです。

 

 

<文字盤デザイン>

全てのモデルが該当する訳ではありませんが、パシャには伝統的な文字盤デザインがあります。12・3・6・9時のみをアラビア数字にし、中央には四角いレイルウェイのミニッツインデックスが描かれます。針の形状は、ひし形のローザンジュ針です。

 

 

<グリッド>

こちらも全てのモデルが該当する訳ではありませんが、一部のモデルで格子状のマスクである“グリッド”が付いたモデルがあります。グリッドは取り外すことも可能ですので、2ウェイデザインとして楽しめます。

 

 

このように、パシャにはその独自性を表現するさまざまなデザインポイントがあります。しかし、全体のバランスは秀逸で、破綻するどころか見事にオーガナイズされています。そのデザイン力には脱帽するばかりです。

 

 

 

 

 

 

◆パシャはスポーティなカルティエウォッチである!

 

時計業界には様々な人気モデルがありますが、どちらかと言うとスポーツ(またはスポーティ)モデルの方に人気が集まりやすい傾向があります。ロレックスのデイトナやサブマリーナ、オメガのスピードマスターやシーマスターなどはその好例ではないでしょうか。そして、カルティエの中でパシャはスポーティなモデルですので、人気があるのも頷けます。

 

ただし、完全なスポーツモデルというわけではなく、あくまで“スポーティ”なモデルです。パシャの性能を見ても分かります。100m防水のモデルもあれば、生活防水のモデルもあるのです。

 

そして、パシャがスポーティなデザインである理由にも触れておきます。その理由はパシャのルーツにあります。

 

 

<パシャのルーツとは?>
パシャシリーズのルーツは1930年代マラケシュ太守であるエル・ジャヴィ公が「自分の屋敷のプールで泳ぐ時に使える時計を作る事ができないか?」という依頼をカルティエにしたことに始まります。この依頼に応じ、防水機能を持つ腕時計「タンクエタンシュ」が彼の元に納品されました。このタンクエタンシュは角型のモデルでしたが、その後、丸型ケースの防水時計が1943年に登場します。これがパシャのルーツです。この時既に、上で挙げた4つの特徴的デザイン(リューズプロテクター、ラグ形状、文字盤デザイン、グリッド)が完成しています。

 

 

つまり、パシャは「防水時計を作って欲しい」という依頼がルーツにあるので、スポーティなのです

 

 

 

 

 

 

◆パシャはカルティエの丸型時計の代表作である!

 

冒頭でも触れましたが、カルティエの代表作品と言えばパシャ以外にタンクやサントスがあります。しかし、これらは角型のケースをもつ作品です。丸型ケースの代表作は、最近でこそバロンブルーというヒット作が登場していますが、それまではパシャが唯一といえる丸型の代表作でした(もちろん、ディアボロ、コリゼ、ヴァンドーム・ルイ・カルティエ、トリニティ、ラブウォッチ、ロンドなど丸型ウォッチは他にも存在しますが、代表作と言えるほどの存在にはなれませんでした)。

 

↑カルティエを代表する角型時計
※上:タンク、下:サントス

 

つまり、角型ウォッチのイメージが強いカルティエウォッチにおいて、パシャはそれらに匹敵する丸型時計の代表作として存在感を示しているのです。

 

角型より丸型時計の方が一般的なデザインです。角形よりも丸型時計の方がファッションに合わせやすいはずです。その感覚からすると、“カルティエの時計に興味があるけど、丸型時計を選びたい”という方は、パシャを選択肢にするでしょう。つまり、パシャは一般的に選ばれやすい“丸型である”という優位性を持っているのです。

 

 

 

 

 

◆パシャの作品紹介

 

ここで、一部ですがパシャの作品紹介をさせていただきます。

 

<パシャ・オリジナル>

 

↑パシャ・オリジナル

 

1985年、パシャが現代的な姿で登場します。その初期型は素材に18Kのイエローゴールドを使用して作られたモデルでした。その後、コンビネーション素材やステンレス素材も加わり、多くの方から支持されるモデルになりました。そして、定番化した直径“38mm”のパシャはあたかもダイバーズウォッチかのような回転ベゼルが設けられており、“ルーツが防水時計”だったことをイメージさせるデザインです。そして何故か、この回転ベゼルをもつパシャが、いつしか「パシャ・オリジナル」と呼ばれるようになります。

 

38mmモデル以外に、“32mm”や“35mm”が登場しますが、それらのモデルは“回転ベゼルなし”デザインが標準仕様です(35mmは回転ベゼル仕様が存在しますが、“亜種”としての印象です)。後年登場する“42mm”モデルも同様です。38mmモデルのみが“回転ベゼルあり”が標準仕様で、特別なデザインだったのです。

 

 

<パシャC>

1995年にはパシャウォッチコレクションの10周年を記念して、オールステンレスモデルであるパシャCが誕生しました。

 

ケース径は35mmのユニセックスサイズ。当時の感覚では、十分に男性が使えるサイズであり、少し大ぶりな女性用サイズでした。女性が大きめ時計を着用するようになる先駆けであったとも言われています。

 

価格も魅力的な設定でローンチされ、かつて“高級ライン”だったパシャが“手が届くモデル”として男女問うことなく世界に広がっていきました。

 

 

<パシャシータイマー>

2006年には海をモチーフとして作られたパシャ・シータイマーが登場します。本格的ダイバーズウォッチとまではいきませんが、100m防水性を持ち、逆回転防止ベゼルを搭載しています。一部のモデルには黒のラバーが使用され、より“海”を感じさせるモデルです。

 

一見、男性だけのモデルと思われるこちらのモデルですが、同じデザインで小さめなデザインのレディスモデルも存在しています。

 

 

<ミスパシャ>

2009年にはケース径が27mmのミスパシャが登場しました。まさに“小さいパシャ”という雰囲気です。パシャの歴史の中では比較的新しいモデルではありますが、丸型のケース、リューズプロテクター、4つのアラビア数字といった初期のパシャが持っていた特徴はしっかりと継承しています。

 

その他にも、クロノグラフやGMT機能搭載のモデルや、さらにハイエンド仕様のモデルなどもあります。興味のある方は調べてみてください。

 

 

 

いかがでしょか?今回はパシャが人気モデルである理由を、私なりの見解で紹介させていただきました。今回紹介をした以外にも、幅広いサイズが選べる点も人気の理由かもしれません。男性の心も、女性の心も掴む、素晴しい作品です。

 

パシャは今後も、カルティエの人気モデルとして支持され続けていくことでしょう!

 

 

 

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