高級腕時計の時計通信

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6.1.2017

【ロレックスの基礎知識】「ベゼル」の種類を押さえる!

Komehyo

ブログ担当者:山口

 

時計のガラス(風防)周りにあるドーナツ型の部品が「ベゼル」です。

 

 

ベゼルは基本的に“ガラスを固定する”という役割なのですが、「回転ベゼル」など機能を付加されたベゼルもあります。そして何より、デザインのアクセントとしての大きな要素でもあります。

 

例えば、下の画像を見ていただくと分かりやすいと思います。ベゼルのデザインが変わるだけで時計の表情は大きく変わります。

 

 

↑上:スムースベゼル、
下:ファインリーエンジンターンドベゼル

 

この例でも取り上げましたが、特にロレックスはベゼルのデザインにこだわりがあるメーカーです。この例では「スムースベゼル」と「エンジンターンドベゼル」を挙げましたが、その他に「フルーテッドベゼル」「タキメーターベゼル」「回転ベゼル」など様々なものがあります。

 

今週はロレックスが採用している、バリエーション豊かな「ベゼル」の種類について、感想を交えながら述べさせていただきます。

 

 

 

 

 

 

①スムースベゼル

 

標準的なベゼルです。ベゼルが主張をしないため、すっきりとしたデザインになります。ステンレス素材のオイスターパーペチュアル系、エクスプローラーⅠ、プラチナ素材のデイデイトなどに採用されます。

 

 

 

②フルーテッドベゼル

 

フルーテッドとは「縦縞(たてじま)」を意味します。確かに少し離れて見ると縞々のようなデザインですが、厳密にはいくつもの山型カットが施されています。連続的に見ると「ギザギザ」と表現した方が分かりやすいでしょうか。コンビネーション素材のデイトジャスト、ゴールド素材のデイデイト、スカイドゥエラー(※1)などに採用されています。

 

その印象的な形状は、ロレックスのアイコンとも言えます。つまり、フルーテッドベゼルは、ロレックスの代表作デイトジャストの大事なデザインコードです。フルーテッドベゼルは“金”を素材としているので、光沢感のある“ドレッシーなスタイル”や“時計を際立たせたい”時にお勧めできます。ただし、金は柔らかい素材ですので、衝撃によるキズや打痕には注意が必要です。

 

 

 

 

 

 

③エンジンターンドベゼル

 

一般的に航空機のエンジンが回転している様子を模したと言われています。一見フルーテッドベゼルとよく似ていますが、こちらは“彫る部分と彫らない部分”のパターン構成で成り立っているデザインです。山型カットではなく、彫らない部分が“棒状”のように残ります。

 

こちらはフルーテッドベゼルのような金素材ではなく、ステンレス素材が使われることが多い点も特徴です。スムースベゼルでは少し物足りないという方には、“面白みのある表情のロレックス”としておすすめです。現行モデルには採用されていないので、中古品から探すしか入手方法はありません。他のロレックスユーザーと違いを見せたい場合にも、選択肢になり得ると思います。

 

 

 

 

④ファインリーエンジンターンドベゼル

 

エンジンターンドベゼルを発展させたデザインです。エンジンターンドベゼルとは異なり、“棒状”の部分が5分刻みに配置されます。エンジンターンドベゼルを若干スタイリッシュにしたイメージでしょうか。このベゼルは、エアキングやオイスターパーペチュアルに長い間採用されてきました。“スポーティー”と“エレガンス”どちらの側面も兼ね備えたデザインです。

 

 

 

 

 

 

⑤回転ベゼル(逆回転防止)

 

サブマリーナやシードゥエラーに採用されるダイバーズ専用ベゼルです。その名の通り、回すと回転するベゼルです。そして、ベゼル上には“何分経過したかが分かる目盛り”が設けられており、0位置(逆三角形の部分)を分針に合わせることによって、ベゼルが経過時間を覚えてくれます

 

ダイバーズの機能としてはボンベの持続時間を知るために使用しますが、ビジネスでも業務(作業)時間や休憩時間を計ることに利用できます。ダイバーがこの機能を使用する場合は、何かの弾みでベゼルが動いてしまうと、ボンベの持続時間の把握がくるってしまい危険です。そのため、近年のタイプは“逆回転防止機能”が付いており、仮にベゼルが動いても、経過時間が短くならないようになっています。

 

回転ベゼルは、デザインとして見る人に一目でスポーティな印象を与えます。以前はのアルミ素材の艶が抑えられたタイプでしたが、現在はセラミック素材の“セラクロム”が採用されており光沢感のあるタイプになっています。

 

 

 

⑥回転ベゼル(両回転)

 

こちらも回転ベゼルですが、両方向に回転します。ダイバーズ用ではないため、ベゼルが誤って動いても問題ないためです。それに、どちらにも回転した方が便利であることは間違いないからです。

 

GMTマスターでは、ベゼル上に第二(第三)時間帯を表す時刻が書かれており、GMT針が指し示すことにより別の時間帯を把握できます(※2)。ヨットマスターはダイバーズ用のように経過時間を知る計器として利用できますが、船上で使用するイメージのモデルのため、逆回転防止機能は付いていません(※3)。その他に、ターノグラフやサンダーバードも両回転ベゼルです。

 

そして、計器としての役割に加え、デザイン面での存在感が大きい点も特徴です。特にGMTマスターはベゼルのカラーリングが鮮やかで、目を引きます。

 

 

 

 

 

 

⑦タキメーターベゼル

 

ロレックスではデイトナのみに採用されるクロノグラフ専用ベゼル。ロレックスのクロノグラフ搭載モデルはデイトナのみですので、自ずとそのようになります。最近は金属製以外にも、セラミック製のタイプも登場しました。

 

タキメーターのメイン機能は、“時速を割り出す”ことです。クロノグラフを利用して1km移動時の経過時間を計り、クロノグラフ秒針が指し示す先のタキメーターを読み取ると、おおよその平均時速が分かります。“1km経過”を知る術が少ないと思いますので、利用頻度は少ないと思いますが、クロノグラフウォッチの“メカニカルな印象”を際立たせてくれるデザインが魅力だと思います。

 

 

 

 

⑧バーク仕上げ用ベゼル

 

金素材のロレックスには“バーク仕上げ”がされたモデルがあります。その名の通り「樹皮」、つまり木の皮を模した彫りを施したモデルです。そのバーク仕上げモデルには、そのイメージに合ったデザインのベゼルが用意されます。全てに樹皮のような線彫りを施したタイプや、ファインリーエンジンターンド風にしたタイプがあります。

 

 

 

 

 

 

⑨宝飾ベゼル

 

ハイエンドモデルには、ベゼルに宝飾をセットしたモデルもあります。その多くはダイヤモンドであり、美しい輝きのあるエレガントなロレックスになります。腕時計という存在を超えた至高の作品です。

 

 

 

 

 

 

いかがでしょうか?ベゼルの種類によって、デザインの印象は大きく変わります。そして、どのモデルも、文字盤やケースのデザインに合ったベゼルが選ばれています。

 

つまり、「このモデルにはこのベゼル」というのがある程度決まっており、各モデルの特徴にもなっています。

 

例えばデイデイトの場合、通常のゴールドモデルはフルーテッドベゼルですが、プラチナモデルはスムースベゼルになります。そのことにより、プラチナモデルを所有する方に特別感を与えます。消費者の心理に訴える面白い打ち出し方です。

 

 

 

普遍的なデザインの時計を作るロレックス。ベゼルという一部分を切り取っても、そのこだわりを垣間見ることができます。たくさんのロレックスを見る機会があれば、是非、そのベゼルの豊富さに注目してみて下さい!

 

 

 

※1・・・スカイドゥエラーはフルーテッドデザインのベゼルですが、回転をさせて時計の設定にも使用します。

 

※2・・・GMT針を第二時間帯とするか、ホームタイムとするかは、利用する方にとって便利な方を選ぶのが良いと思います。

 

※3・・・ヨットマスターⅡの場合は、カウントダウンタイマーの設定にベゼルを使用します。

 

 

 

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