3.3.2017
【ロレックスのよくある疑問】“GMTマスター”と“GMTマスターⅡ”はどこが違う? ~GMT機能の使い方の違いについて~
Komehyo
ブログ担当者:亀田
ロレックスについてのよくある疑問に、以下のようなものがあります。
「“GMTマスター”と“GMTマスターⅡ”はどこが違うの?」
(※“GMTマスター”は“GMTマスターⅠ”と呼ばれることもあります)
なぜこのような疑問が出るのかというと、そっくりだからです。それは、下の画像をご覧いただくと分かると思います。
上:GMTマスター|型式16700
下:GMTマスターⅡ|型式16710
もちろん“GMTマスターⅡ”は「Ⅱ」という表現がありますので、“GMTマスター”より新しい機種ということは分かります。実際に、現在は“GMTマスター”はすでに生産終了になっており、“GMTマスターⅡ”のみがシリーズとして現行ラインナップに残っている状況です。
しかし変遷を辿ると、「“GMTマスター”が生産終了になって、“GMTマスターⅡ”が登場した」という状況ではないのです。つまり、“GMTマスター”と“GMTマスターⅡ”の両方ともが平行して生産されていた時期があるのです(1990~1999年)。
つまり、1990年代の購入者は、“GMTマスター”と“GMTマスターⅡ”が選択できました。そして選択する際には、やはり「“GMTマスター”と“GMTマスターⅡ”はどこが違うの?」という疑問にぶつかったはずです。もちろん、現在は“GMTマスターⅡ”しかラインナップに残っておりませんので、新品を購入する方が疑問に思うことは少ないと思います。しかし、中古品を購入する方は、その選択の過程でこの疑問を抱くかもしれません。
そこで今回は、“GMTマスター”と“GMTマスターⅡ”の違いを紹介いたします。
※なお、以下の文章では便宜上“GMTマスター”と“GMTマスターⅡ”を以下のように表現させていただきます。
①“GMTマスター” = 「Ⅰ」
②“GMTマスターⅡ” = 「Ⅱ」
■GMT機能について
「Ⅰ」と「Ⅱ」の違いを理解するためには、前提としてGMT機能について理解を深める必要があります。そこで、まずはGMT機能について解説いたします。
GMT機能の目的を簡単に説明すると「自分のいる国(都市)以外の時刻も知る」ことです。いわゆる“第2時間帯(セカンドタイムゾーン)”について知りたい場合です。そして、それを簡易的に把握する手段として“時差”というシステムを利用する機能でもあります。GMTウォッチには大きく分けて2つのタイプがありますので、以下で紹介いたします。
<GMTウォッチの2つのタイプ>
※前提:時刻を示す針(時針)が2つある(“通常の時針”と“GMT針”)
①時針調整式
2つある時針のうち、ひとつをずらして第2時間帯をつくる
②回転ベゼル調整式
2つある時針が常に連動しており、回転ベゼルで“時刻を示す目盛り”をずらして第2時間帯をつくる
例えば、日本とロンドンは9時間の時差があります。この場合、日本とロンドンの両方の時刻をひとつの時計で表すにはどうすれば良いでしょうか?もちろん方法は様々あるでしょうが、ひとつには「9時間ずれた状態の“2つの時針”を設ける」という方法があります。これが一般的なGMT機能です。“2つの時針”のうち、ひとつは“通常の時針”、もうひとつは“GMT針”と呼ばれる針です。昼夜が分かりやすいように、GMT針は24時間で一周する、つまり24時間計であることが一般的です。この“2つの時針”のうち、どちらかを任意でずらすことができれば自由に時差が設定できます。これが、①の“時針調整式”です。
↑赤い針がもうひとつの時針“GMT針”
GMT針は24時間で一周するため、その針が指し示す先には24時間に対応した目盛りが設けられます。GMTマスターの場合は、回転可能なベゼル(回転ベゼル)にその24時間の目盛りが設けられています。
そして、上で挙げた例「日本とロンドンの時差」、つまり“9時間時差”を表現したい場合のもうひとつの方法が、「GMT針に対応した“24時間の目盛り”を9時間ずらす」というものです。この場合は、“通常の時針”と“GMT針”は常に連動していることが前提です。そして、回転ベゼルを回して“24時間の目盛り”をずらせば、GMT針は指し示す先のその目盛りの数字を読み取ることになるので、結果的に時差をずらした表示になります。これが、②の“回転ベゼル調整式”です。下の画像をみていただくと、左と右は針の位置は同じなのに、GMT針の指し示す時刻が変わっているのが分かると思います。
↑回転ベゼルを回して24時間の目盛りをずらした様子
左:“通常の時針”と“GMT針
→同じ18時
右:“通常の時針”→18時
“GMT針”→9時
どちらの種類にせよ、GMTウォッチには2つの時針が設けられており、その片方の時刻が任意でずらせるのです。海外に行った際に、祖国の時間と滞在する現地の時間を同時に知ることのできる便利な機能です。そして、海外に行かない方でも利用できる機能でもあります。例えば、よく連絡を取り合う人が海外にいる場合は、マナーとして電話やメールなどはその人に迷惑でない時間にしたいはずです。その時に、GMTウォッチがあれば便利です。
■「Ⅰ」と「Ⅱ」の最大の違いは“GMT機能の操作方法”!
ここからが本題です。それは、「Ⅰ」と「Ⅱ」の最大の違いが“GMT機能の操作方法”であることです。それぞれの操作方法を見ていきましょう。
<「Ⅰ」の第2時間帯の設定方法>
↑「Ⅰ」は回転ベゼルで第2時間帯をつくるタイプ
1.一般的な時計と同じく、リューズで時間を合わせます
2.回転ベゼルを時差分回転させます
※日本とロンドンであれば、9時間日本が進んで いる時間帯ですので、ベゼルを9目盛り分時計回りに回します。
つまり「Ⅰ」は
“回転ベゼル調整式”
です。
<「Ⅱ」の第2時間帯の設定方法>
↑“通常の時針”をずらした様子
“通常の時針”=10時
“GMT針”=18時
1.リューズで時間を合わせます(”通常の時針”と“GMT針”が同じ時刻になるように)
※次のステップが2パターンあります(“2a”、“2b”と分けています)
↓
2a.リューズを一段引いて、“通常の時針”を任意の時差分回転させます
or
2b.回転ベゼルを時差分回転させます
つまり「Ⅱ」は
“時針調整式”
“回転ベゼル調整式”
のどちらにも対応したGMTウォッチなのです。
さらに「Ⅱ」は“第3時間帯”にも対応できます。
<「Ⅱ」の第3時間帯の設定方法>
1.リューズで時間を合わせます(”通常の時針”と“GMT針”が同じ時刻になるように)
2.リューズを一段引いて、“通常の時針”を任意の時差分回転させます(第2時間帯)
3.回転ベゼルを時差分回転させます(第3時間帯)
例えば、日本⇔ロンドン(9時間時差)、日本⇔ニューヨーク(14時間時差)の場合です。まず、通常の時刻合わせ後、リューズを一段引いて“通常の時針”を9時間遅らせます。これで、“通常の時針”はロンドン、GMT針は日本になります。さらに、ベゼルを回して“24時間の目盛り”を14時間遅らせます。そうすると、“通常の時針”はロンドン、GMT針を“24時間の目盛り”通りに読むとニューヨーク、GMT針を“24時間の目盛り”をずらしていない想定で読むと日本、となります。
下の画像を見ていただくと分かりやすいかもしれません。こちらのGMTマスターⅡ(116710BLNR)では、青い針が“GMT針”です。
日本時間を午後12時とした場合・・・
・“通常の時針”を読む=3時(ロンドン)
・“GMT針”を回転ベゼルの24時間目盛りで読む=22時(ニューヨーク)
・“GMT針”を回転ベゼルの24時間目盛りをずらしていない想定で読む=12時(日本)
※回転ベゼルの24時間目盛りがずれてない場合、6時位置にくる目盛りは「12時」です
つまり“GMTマスターⅡ”は・・・
・第2時間帯の表示が2パターン可能
・第3時間帯の表示も可能
という進化をしたモデルなのです!
そこが、“GMTマスター”との最大の違いです。
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