16.6.2022
【2022年新作紹介】話題のオメガのスペシャリティーズ「CK859」を見た感想
Komehyo
ブログ担当者:須川
■【2022年新作紹介】話題のオメガのスペシャリティーズ「CK859」を見た感想
今回は、2022年新作の実物をチェックした感想を書かせていただきます。
確認したモデルは、
オメガ「CK859」
です。
このモデルは、2022年に登場したオメガの新作で、1930年代に登場した「CK859」の復刻モデルです。
いわゆる、
ヴィンテージオメガの復刻モデル
です。
シリーズとしては「スペシャリティーズ」ラインに組み込まれており、正に、特別なモデルとして打ち出してきました。その人気は上々で、今年発売したばかりですが、すぐにファンからの人気を集め、現在はプレミア価格になっています。
先に、CK859の基本情報を紹介しておきます。
<基本情報>
登場年:2022年
型式:511.12.39.21.99.002
ケース素材:ステンレス
バンド:レザーストラップ
風防:サファイアガラス(両面無反射コーティング)
サイズ:ケース径39㎜/ケース厚約12㎜
ムーブメント:Cal.8926(手巻/コーアクシャル)
ゼンマイ持続時間:最大約72時間
振動数:25200振動/時
マスタークロノメーター取得
シースルーバック
メーカー価格:825,000円(税込)
これが、基本的な情報です。さらに情報を加えると、このモデルは「NUMBERED EDITION」として製造されています。数量限定モデルという訳ではありませんが、シリアル番号とは別の通し番号を持つことにより「短期間だけの製造」ということが想起ができ、コレクター心をくすぐるモデルとなっています。
■CK859の実機を見た感想
ここからは、CK859の実機を見た私の感想です。
このモデルの印象ですが、まず、私の周りのスタッフからの評価は高かったので、今の時計好きの人の需要を上手く捉えていると感じました。実際、「かっこいい」「欲しい」という意見も多かったです。それは、ヴィンテージライクな外観ながら、実用的に使えそうな時計なので、自分が使う“絵”をイメージしやすいからでしょう。
確かに、グレーカラーのセクターダイヤルは、現在の時計にはほとんど採用されない文字盤で、ヴィンテージ品を感じさせる“渋さ”があります。しかし、ヴィンテージライクであるにも関わらず、今のトレンドを押さえた39㎜サイズである点は、「今、使う時計」としてのちょうど良さを感じます。
これが、CK859を最初に見た感想です。そして、しっかりと掘り下げて見ていくと、私なりの評価が生まれました。私の評価は、大きく2つの点にまとめることができます。一つは良い点で、もう一つは残念な点です。
~良い点~
・CK859は“エイジングを楽しむ時計”であり、
数年後に生まれる風合いが楽しみ
結論として、「CK859の最大の魅力は、文字盤のエイジングである」と明言できます。それは、文字盤の素材が変色を起こすシルバー(銀)素材で作られているから、明らかにオメガの意図として分かります。
このエイジングに注目したことはとても秀逸です。例えば、最近は時計業界ではブロンズ(銅)素材で外装を作る時計が人気を得ています。これは、ブロンズが変色を起こす素材だから起きていると思われます。まさに、ブロンズの時計が人気を得ていることは、「エイジングを楽しむ」ことに需要がある証拠です。
さらに、ロレックスでは、スパイダー文字盤、パトリッツィ文字盤、アイボリー文字盤など、文字盤の経年変化に呼び名を付けて、高評価する文化が作られています。これも、「エイジングを楽しむ」ことが根底にあります。このような“エイジング需要”にしっかりと応えるかのように登場したのが、オメガのCK859なのです。
もちろん、CK859の文字盤のエイジングがどのようになるかは、年月が経過しないとわかりません。ただ、私としては、その変色した風合いにより、このモデルの評価が分かれるような気がしています。“渋い”風合いになれば高評価されるでしょうし、“ダーティ”な風合いになれば、あまり評価されないでしょう。
ただし私は、おそらくオメガは文字盤のエイジング結果をある程度計算していると思っているので、割と“渋い”風合いになるのではないかと予想しています。その期待もあり、かなり「将来が楽しみな時計」です。
~残念な点~
・CK859は本来“30㎜キャリバー”が特徴の時計であり、
ムーブメントにもヴィンテージ要素が欲しかった
私が少し残念に感じた点は、フェイス側は素晴らしい“ヴィンテージテイスト”にもかかわらず、裏面は極めて“モダン”だった点です。ただし、これはあくまで私の個人的な感想なので、人によっては、それが良い点と捉えるかもしれません。
具体的に説明すると、裏蓋側はシースルーバックになっており、自社製ムーブメントのCal.8926がガラス越しに見えます。これは、Cal.8900を手巻式にした派生機で、マスタークロノメーターを取得する最新スペックのムーブメントです。
しかし、CK859は復刻モデルであり、本来のムーブメントは異なるものです。1930年代に登場したCK859の本来のムーブメントは、オメガに栄光をもたらした高名な“30㎜キャリバー”(Cal.30-T2)です。そのため私は、CK859を復刻するなら、30㎜キャリバーの“デッドストックムーブメント”や“復刻ムーブメント”の搭載を望んでいました。
↑30㎜キャリバー
※こちらは後年のCal.266
例えば、過去の事例では、オメガは創業100周年に「ルネッサンス1894」というモデルで30㎜キャリバーのデッドストックムーブメントを使ったことがあります。そして最近は、スピードマスターで名機Cal.321の復刻ムーブメントも開発されました。そのような前例があるオメガなので、どうしてもムーブメントにまでヴィンテージ要素を期待してしまうのです。
このような意見を持っており、私はCK859に対してポジティブな評価をすると同時に、少し残念な気持ちも抱きました。しかし、私がムーブメントにまでヴィンテージを期待することは、かなり高望みだとは思っています。それにより価格が上昇してしまうことも想像できますので、むしろ、素直に「現行ムーブメントだからこそ80万円台で発売できた」と、ポジティブな評価すべきかもしれません。
ただし、需要に敏感なオメガのことですから、いつか、30mmキャリバーの復刻は起こりえるかもしれません。もしそうなれば、このCK859は絶妙な布石を打ったモデルとして、重要な役割を果たしたことになるでしょう。
■最後に
今回は、オメガの最新作「CK859」の実機を見た感想を書かせていただきました。
今回紹介した感想は、あくまで、私の個人的な意見で、ちょっとマニアックな見解だと思います。実際は私の周りの声は「かっこいい」「欲しい」という声が大きいですし、文字盤のエイジングが進めば、CK859はもっと素晴らしいモデルになる期待が大きいです。
また、本文では紹介しきれませんでしたが、CK859の文字盤のデザインや針のクオリティは満足感の高いものです。さらに、文字盤とガラスの距離の詰め方も好ましいものでした。私は持論で、「長く使える時計は、フェイスの質感(高級感)が高い」という考えを持っています。その観点では、CK859はかなり満足感を与えてくれるモデルです。
是非、実際に手に取る機会があれば、その素晴らしさを体験してみてください!
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