高級腕時計の時計通信

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21.9.2018

ランゲ&ゾーネ|「カバレット」を選択する人が一目置かれる理由

Komehyo

ブログ担当者:高橋

 

今週は、“ドイツ時計の最高級”として名高い「ランゲ&ゾーネ」についてです。

 

そのランゲ&ゾーネの中でも、センス溢れるモデル「カバレット」を紹介しましょう。

↑カバレット

 

私にとってカバレットは、“最高級の外しモデル”です。

 

例えば、紳士用ファッションの「最高級」をイメージすると、

 

・ジョンロブの革靴

・ブリオーニのスーツ

・エルメスのバッグ

などが思い浮かぶかもしれません。

 

そして、腕時計にも「最高級」があります。その筆頭は、やはりスイス時計の最高峰「パテックフィリップ」でしょう。

↑パテックフィリップ

 

もちろん、最高級品は価格も高額です。購入の際に、“間違いのない選択”をするなら、上で挙げた“最高級の王道”とも言うべきメーカーを選ぶことが安全でしょう。

 

しかし、ランゲ&ゾーネのカバレットは“最高級の王道”と言える存在ではありません。むしろ、“最高級の外し”という存在なのです。そして、“最高級の外し”を選択する人は、きっと自分のセンスに自信を持っている人だと思います。なぜなら、“普通の人は取らない選択肢”を選ぶ決断ができるからです。

 

皆さんの周りに、そのような“センスのかたまり”のような人はいないでしょうか?きっと、そういった方は、上質な外しアイテムを身につけ、周囲から一目置かれているはずです。私の意見ですが、カバレットを選ぶ人は、そういった“センスのかたまり”のような人なのです。

 

では以降で、さらに掘り下げてカバレットを紹介しましょう。

 

 

 

 

 

 

■ランゲ&ゾーネとカバレットについて

 

まずは、ランゲ&ゾーネとカバレットのことを掻い摘んで紹介しましょう。

 

冒頭で紹介した通り、ランゲ&ゾーネドイツの時計メーカーです。その起源は、1845年にフェルディナント・アドルフ・ランゲがドレスデンに創業した「A・ランゲ・ドレスデン」です。その後、「A・ランゲ&ゾーネ ドレスデン」へと商号を変え、同社は発展をしていきます。しかし、第二次世界大戦の影響で、1948年に国営化され、冬の時代を迎えることになります。

 

それでも、ベルリンの壁崩壊後の翌年の1990年、アドルフ・ランゲの曾孫ヴァルター・ランゲの熱い想いもあり、ついにランゲ&ゾーネが再興します。復活した同社は、ランゲ1やダトグラフなど、圧倒的な個性と美しさをもつ時計を作り出します。その実力もあり、現在のランゲ&ゾーネは、「時計業界の最高峰」と言えるレベルにあります。

↑ランゲ1

 

次に、カバレットについてです。ランゲ&ゾーネが復活して、初めて発表した作品にカバレットはありませんでした。少し後発になりますが、1997年にカバレットは登場します。実はカバレットは、「キャバレー」を語源とするモデルです。私たちが「キャバレー」と聞くと“音楽を聴きながらお酒を飲む場所”という印象が強いですが、ドイツ語圏では芸術系の色が強く、“文学的な寸劇・演芸を観る場所”の事を意味するようです。

↑カバレット

 

文字盤の12時位置には、大きい日付表示である「アウトサイズデイト」が備えられています。これはオペラを観る歌劇場での時計として開発されたことでも有名な機構です。キャバレーのステージや歌劇場のイメージが、ネーミングのルーツになっているのでしょう。

 

そしてカバレットの最大の特徴は、レクタンギュラー(長方形)ケースを採用していることです。ランゲ1、ダトグラフ、サクソニア、1815など、ランゲ&ゾーネの多くのモデルはラウンド(丸型)ケースです。そのため、レクタンギュラーケースのカバレットは、ランゲ&ゾーネでは極めて特殊な存在です。

現在のレクタンギュラーケースの時計は、ラウンドケースに搭載する丸型ムーブメントを転用することが一般的です。細長いケースにムーブメントを収めるために、男性用の時計にもかかわらず、女性用サイズのムーブメントを搭載することが多い状況があります。しかしランゲ&ゾーネは、より理想的な時計を作るため、カバレットのためにわざわざ長方形のムーブメントを作成しています。ムーブメントだけを見ても、ランゲ&ゾーネのこだわりが感じられます。

アウトサイドデイトを細長いレクタンギュラーケースに収める技術力を見ても、ランゲ&ゾーネの技術力の高さが分かります。

 

 

 

 

 

 

 

■カバレットの魅力

 

では、カバレットの魅力を紹介します。

 

やはり、カバレットの最大の特徴は、前述したレクタンギュラーケースを採用していることです。レクタンギュラーは20世紀前期に流行ったアールデコスタイルで、現在から見るとクラシカルな印象になります。例えば、カルティエのタンク、ジャガールクルトのレベルソなども、20世紀前期から存在するレクタンギュラーウォッチです。カバレットを含めたレクタンギュラーウォッチは、そのデザインが「今風」ではないだけに、着けこなすにはある程度のセンスが必要です。そのため、私はレクタンギュラーウォッチには、「お洒落上級者が選ぶ時計」という印象を持っています。

率直に言うと、私はカバレットに対して、

 

・パテックフィリップではなく、ランゲ&ゾーネというメーカーを選んだという点

        ↓

“外しのメーカー選択”

 

・代表モデルのランゲ1を選ばない点

        ↓

“外しのモデル選択”

 

という印象を持っています。

 

 

 

この魅力をスーツで例えてみましょう。私は、カバレットという選択は、スーツで「キートンを選ぶ」ことに近い気がします。

↑イタリアの高級ブランドのキートン

 

イタリアのキートンは、「既製品スーツの最高峰」といわれています。もちろん最高峰と称されるだけあって、生地に関しては独自に原毛の選定を行い、最上級の生地を生地メーカーから発注をしています。さらに裁縫では150の工程と20時間をかけてやっと1着ジャケットが縫いあげるという、いわば熟練職人による縫製と生地のクオリティーの融合品であります。

 

キートンのスーツは上質で、非常に柔らかく着心地に優れています。カバレットの質感も、キートンのスーツのように本当に上質です。そして、キートンのスーツは、「主張は強くないのに、誰が見ても良いものと感じさせる」雰囲気があります。カバレットも同様に、パテックフィリップに比べると周囲への主張は強くはないでしょう。しかし、ランゲ&ゾーネの存在を知らない人でも、腕に巻かれたカバレットを見ると、きっと「良い時計だ」と思うでしょう。それぐらい、雰囲気のある時計なのです。

 

そして、そもそも高級スーツを選ぶ方は、オーダーメイド(ビスポーク)をすることが一般的でしょう。キートンの“超高級既製品”という存在は、かなりの“外し”の選択肢のように感じます。高級スーツのジャンルにおいて、オーダーメイドという選択が“王道”だとすると、キートンという選択は「敢えての外し」に感じ、カバレットを選択することに通じるところを感じます。

 

つまり、キートンのスーツにも、カバレットにも、こだわりの“外し感”があるのです。

 

キートンのスーツを着用して、カバレットを腕に巻く。そんな、贅沢なコーディネートをする人を、是非見てみたいものです。

 

 

 

 

 

 

■最後に

 

総じて、ファッションで一目置かれる人は、スーツでも革靴でも、こだわりのを選択するのではないでしょうか。そのこだわりの選択は、「センスの表現」でもあります。その「センスの表現」に“高度さ”を感じると、周りの人はその表現者に一目を置くようになるのでしょう。

 

私は、カバレットを選ぶことのできる人からは、間違いなく「高度なセンスの表現」を感じます。逆に言えば、カバレットは高度なセンスを見せる絶好のアイテムです。

 

実際、以前、私はカバレットを付けた人に遭遇したことがあります。その時の衝撃が忘れられません。見るからに、“お洒落のかたまり”のような人でした。

 

きっとその方は、最高級品に通じる理念、上質な素材や作りを理解しているのでしょう。そして、最高級のものを上手く合わせることを知っています。そういった方に向けて、カバレットは作られたのかもしれません!

 

 

 

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