19.10.2018
ロレックスの「チェリーニ」とはどんな時計? ~ロレックスらしくないロレックス~
Komehyo
ブログ担当者:川澄
ロレックス(ROLEX)は、誰しもが1度は名前を聞いたことがある高級時計ブランドではないでしょうか。そして同時に、ロレックスのモデル名(シリーズ名)も高い認知度を誇ります。
例えば、
・エクスプローラー
・デイトナ
・サブマリーナ
・デイトジャスト
などは、世間によく認知されているモデル名でしょう。
では、「チェリーニ」というモデルはどうでしょうか?
↑チェリーニ
きっと多くの方は、「チェリーニ」というモデル名には馴染みがないはずです。なぜなら、チェリーニは「一般的なロレックスとは異なるロレックス」だからです。読み物に例えるなら、エクスプローラー、デイトナ、サブマリーナ、デイトジャストなどが“ロレックスの本編”だとすると、このチェリーニは、“ロレックスの番外編”というイメージです。
少しチェリーニのことを説明します。まず、上に用意したチェリーニの文字盤の画像を見てください。これを見ると、「ROLEX」と「Cellini」という文字以外には、他に目立つ印字がないことが分かります。そして、下にデイトジャストの文字盤の画像があります。そこには、「OYSTER PERPETUAL」と印字されています。この印字の有無が、違いを物語っているのです。
ロレックスにおいていは、「OYSTER=防水性」、「PERPETUAL=自動巻」という意味があります。多くのロレックスにはこの言葉が文字盤に印字されていますので、多くのロレックスは「防水性のある自動巻時計」ということになります。これが、“ロレックスの本編”である証とも言えます。しかし、“ロレックスの番外編”であるチェリーニにはその言葉が印字されません。
つまり、チェリーニは「非防水の自動巻ではない時計」ということなのです。
今週は、この“ロレックスの番外編”シリーズである、チェリーニを皆さんに知ってもらいたいと思います。以下の文でより掘り下げて紹介しますので、是非、最後まで読んでみてください。
■チェリーニとは?
チェリーニの歴史はかなり古く、1928年に誕生しました。その名称は、16世紀のイタリアルネッサンスの彫刻師であるベンベヌト・チェリーニに由来します。
冒頭で紹介しように、チェリーニは「非防水の自動巻ではない時計」です。これは、誕生時期によるところが大きいと思います。つまり、1928年時点では、自動巻機構「パーペチュアル」と防水ケース「オイスターケース」がまだ登場していないからです。このロレックスの実用機能の登場前の時期に誕生し、その伝統を守っているという考えであれば、チェリーニが「非防水の自動巻ではない時計」であることも正当性があるのです。
チェリーニのスタートは、1928年の「チェリーニプリンス」です。“医師への贈り物”としての需要に対応する手巻モデルで、角型ケースに独立した秒針(スモールセコンド)と、ロレックスの中でも異彩を放つデザインです。2006年にチェリーニプリンスは復活をし、時計業界では話題となりました。
↑チェリーニプリンス
チェリーニプリンスの後も、ラウンド型、オーバル型、トノー型など、様々なケースデザインでチェリーニは製造されます。また、動力は“手巻き”以外にも、“クォーツ式”も採用をします。やはり、“自動巻”が標準であるロレックスにおいては、チェリーニは異質ともいえるシリーズです。
ここで、チェリーニの主な種類を紹介しておきます。
・チェリニウム
・ダナオス
・チェステロ
・チェリーニ&チェリッシマ
・クラシック
そして、現行モデルとしては2014年に誕生した「チェリーニタイム」があり、その派生である「デイト」「デュアルタイム」「ムーンフェイズ」がラインナップしています。このチェリーニタイム以降は、チェリーニの概念が変わります。なんと、これまでとは異なり、“防水性のある自動巻時計”なのです。1928年以来の伝統を破り、実用性のあるチェリーニになったのです。ただし、オイスターケースではないことは一貫しており、防水性は「生活防水」レベルに留めています。
↑チェリーニタイム
このように、チェリーニは長い歴史と、様々な種類をもつシリーズなのです。
■チェリーニの特徴
では、チェリーニの特徴を紹介しましょう。今回は、3つの特徴を挙げます。
①“非オイスターケース”である
↑左:チェリーニ、右:サブマリーナ
ロレックスの多くは、防水性の高い「オイスターケース」を採用します。そのため、多くのロレックスはどうしてもシルエットが似通ってしまいます。しかし、チェリーニはオイスターケースを採用しません。そのため、明らかに“外観の違うロレックス”になります。
また、オイスターケースは「ビンの蓋を閉めるように」裏蓋を閉じるスクリューバック式です。この方式はどうしてもケースの厚みが出てしまうので、厚みを抑えた時計にすることができません。チェリーニは噛み合わせで閉じるスナップバック式を採用し、よりすっきりとした厚みにしています。
どうしても人と被りやすいロレックスだからこそ、通常とは異なるシルエットのロレックスに価値を感じることもできるのです。
②“ドレスウォッチ”である
↑ホワイトゴールド素材のチェリーニ
上位機種のデイデイトなど例外はありますが、多くのロレックスは、基本がステンレス素材のラインナップです。しかし、チェリーニは、基本が金(またはプラチナ)素材です。これは、チェリーニがドレスウォッチだからです。つまり、薄型でエレガント、そして、クラシカルなデザインなのです。フォーマルな場所でロレックスを使うことが多い方なら、まさしくチェリーニがうってつけです。
③革ベルト中心のラインナップ
また、チェリーニは革ベルト中心のラインナップです。一部には金属ブレスレットもありますが、それらはバリエーションという印象です。
通常、ロレックスは防水時計なので、水に弱い革ベルトは採用しません。本当に一握りのモデルだけが革ベルトモデルで、ほとんどはメタルバンドです。
しかし、非防水時計のチェリーニであれば、ロレックスとしても違和感なく革ベルト採用することが可能です。また、チェリーニはドレスウォッチのため、革ベルトとの相性の良さは言うまでもないでしょう。
■最後に
このようにチェリーニは、「ロレックスらしくないロレックス」です。一般的なロレックスとは異なる独自の進化をしてきた背景から、ロレックスの定番とは大きく外れます。
しかしチェリーニは、エキセントリックな「変わり種の時計」というわけではなく、「正統派のドレスウォッチ」です。決して使い難いモデルではありません。隠れがちなモデルではありますが、「敢えて選択するこだわりのロレックス」として、おすすめです。
是非、「こだわりのロレックスが欲しい」という方は、チェリーニに注目してみてください!
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