高級腕時計の時計通信

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5.8.2016

ヴィンテージロレックスが持つ3つの良さとは? ~アンティークロレックスとヴィンテージロレックスの違い~

Komehyo

ブログ担当者:須川

 

今回はヴィンテージロレックスの良さを紹介させていただきます。

 

↑エクスプローラーⅡ「1655」

 

いきなり“ヴィンテージロレックス”という用語を用いましたが、私は“アンティークロレックス”という用語を敢えて使いませんでした。そこに少し意図を持たせてあるのですが、後ほど述べさせていただきます。例えば、上の画像のエクスプローラーⅡの型式1655などはヴィンテージロレックスの良い例です。その外観は独特の空気感をもっており、好事家だけでなく時計初心者の方さえにもその良さが伝わるモデルです。

 

私はヴィンテージロレックスの良さは以下の3点にあると思っています。

①雰囲気の良さ

②個体差の多さ

③歴史を感じることができる

 

今週は、この3点を掘り下げて紹介いたします。

 

 

 

 

 

 

◆“アンティーク”と“ヴィンテージ”という用語

 

まずは用語の話からです。「アンティークのロレックスやインターが好きです」や「ヴィンテージパテック(フィリップ)を探しています」など、時計業界でも“アンティーク”と“ヴィンテージ”という言葉が使われます。しかし、“アンティーク”や“ヴィンテージ”という言葉になんとなくのイメージはあっても、具体的にどの時計がアンティークで、どの時計がヴィンテージなのかは漠然としています。一般的にどちらの言葉も単純に「古いもの」を連想しますが、時計に関してはどちらかというと“アンティーク”という言葉の方に馴染みがあります

 

しかし最近、時計業界でも“ヴィンテージ”という言葉が以前より使われるようになってきている印象があります。時計雑誌や時計店の企画などで“ヴィンテージ”というワードが使われ、時計業界ではこの言葉が旬なのかもしれません。ここで、“アンティーク”と“ヴィンテージ”という言葉の意味を整理してみます。

 

 

<アンティーク>

「骨董品」という意味のフランス語から来ています。その語源はラテン語の「Antiquus=古い」のようです。骨董品には2通りの意味があるようですが、通常は「希少価値のある古美術や古道具」を指します。つまり、“希少性があること”と“古いこと”が定義となります。しかし、どこまで古い必要があるのかが問題なのです。税法の世界では製造から100年以上経過しているという基準が存在しますが、税法以外に目を向けると基準が存在しないのです。

 

<ヴィンテージ>

元々はワインの製造工程の用語ですが、そこからぶどうの収穫年を表す用語になります。さらに発展をして、ヴィンテージワインと呼ばれるように“当たり年のワイン”を指すようになります。その後、このワイン業界の用語が他業界に水平展開されていきます。ヴィンテージカー、ヴィンテージジーンズ、ヴィンテージカメラなどです。このように他業界で使われる際は、“希少性があり、時間の経過とともに価値の高まった製品”を指します。“時間の経過とともに”という表現があるように、こちらもアンティークのようにある程度古い必要があります。一般的には、ヴィンテージの方がアンティークより新しい年代のものと認識されています。

 

 

このように、アンティークとヴィンテージという2つの言葉には“希少性・価値がある”と“古い”という点が共通しています。そして、“アンティークよりヴィンテージの方が新しい”という認識があります。おそらく、「アンティーク→ヴィンテージ→最近のもの」の境目は主観的なものであり、人によって違うと思います。ロレックスで例えると、私はバブルバックをアンティークと認識し、既出のエクスプローラーⅡの1655はヴィンテージと認識しています。しかし、人によっては、そのどちらもアンティークと認識している方もいらっしゃるはずです。

 

ただし、私は“アンティーク”と“ヴィンテージ”に違いを感じます。それは“ヴィンテージ”がワイン用語から来ているが故に、“ヴィンテージ”という言葉を使う場合は“熟成された良さがある”という意味が加わると感じます。そのため、今回、私は“アンティークロレックス”ではなく“ヴィンテージロレックス”という言葉を使用しています。

 

 

 

 

 

 

◆ヴィンテージロレックスの3つの良さ

 

ここからが本題です。前述していますが、私はヴィンテージロレックスの良さは主に3つあると考えています。

 

①雰囲気の良さ

↑「焼け」のある夜光塗料と腐食した金属針

 

先に述べたように、ヴィンテージロレックスには“熟成された良さ”があります。この熟成感がヴィンテージロレックスを良い雰囲気にします。ではその“熟成”の正体とは何でしょうか?私は“経年変化”“過去にしかない仕様”が熟成感を時計に与えていると考えます。

 

 

<経年変化>
外装の使用傷、夜光塗料の変色や劣化、金属パーツの腐食など

 

<過去にしかない仕様>
ドーム型のアクリルガラス(風防)、トリチウム夜光塗料、巻きブレスレット(リベットブレスレット)、ロービートムーブメントなど

 

“過去にしかない仕様”は、現在のロレックスとの明らかな外観の違いを与えてくれます。特に、ドーム型のアクリルガラスはフラットな現在のサファイアガラスと全く雰囲気が異なります。さらに、“経年変化”は正に熟成と捕らえることができ、「製造から現在までの経過した長い年月」を感じさせてくれます。特にトリチウム夜光塗料は現在の蓄光タイプとは異なり、色がだんだんと黄ばむ現象である「焼け」が起こり最高のヴィンテージ感を醸し出します。

 

 

 

②個体差の多さ

ヴィンテージロレックスの良さは“個体差の多さ”にもあります。現在よりもマンパワーで時計を作っていましたので、職人による個体差、提携工場による個体差、仕様変更による個体差があります。さらに、過去の作品ですので、最近の時計より修理をした確率が高く、部品交換など修理時に仕様変更が行われた個体が多いのも特徴です。そのため、様々なバリエーションの個体が存在し、購入検討時には当たりハズレを探すようにロレックスを選ぶ楽しみがあります

 

 

 

 

③歴史を感じることができる

ロレックスの場合シリアル番号などから製造年を想定することが可能です。さらに、情報も十分にありますので、多くのモデルの登場年なども判明しています。有名なところですと、サブマリーナとエクスプローラーなら1953年に登場、GMTマスターなら1955年に登場、デイトナなら1963年登場など、情報がしっかりと業界内に出回っています。

 

↑サブマリーナ5512

 

例えば、この画像のサブマリーナ5512は1959~1977年頃に製造されていますが、シリアル番号から1965年頃の製造と想定できます。このモデルがリューズガードの採用を開始したモデルという知識があれば、この個体にリューズガードがあることも頷けます。さらに、5512は登場初期はクロノメーターではなかったという知識があれば、この1965年頃の個体の文字盤にクロノメーター表記があることも頷けます。年代的にミラーダイヤル(艶がある文字盤)とマットダイヤル(艶のない文字盤)の過渡期ですが、この知識があればこの個体がマットダイヤルである事実に興味が湧くでしょう。さらに、文字盤の“SUBMARINER”印字の位置がクロノメーター表記の上にあるので、年式との整合性から「いやいや、そもそも文字盤交換がされているかも?」と考えたり興味が尽きません。

 

このように、ひとつの個体でも、私たちは様々な時計の要素と時代を照らし合わせます。つまり、ヴィンテージロレックスの場合、歴史の知識を同時に得ながら評価をします。正に時計の歴史を感じながら楽しむロレックスです

 

 

 

 

 

 

いかがでしたか?“雰囲気の良さ”、“個体差の多さ”、“歴史を感じることができる”という3つのポイントは、ヴィンテージロレックスを購入したり、所有する楽しみを私たちに与えてくれます。ただし、ヴィンテージロレックスに関わるにはある程度の知識が必要です。そのため、ヴィンテージロレックスは趣味性が強いとも言えます。

 

しかし、現在はインターネット技術の進歩により、情報を得ることが容易になっています。そう、皆さんがヴィンテージロレックスに手を出しやすい時代になったのです。是非、ヴィンテージロレックスの世界への扉を叩いてみてはいかがでしょうか!

 

 

 

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