高級腕時計の時計通信

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23.8.2023

プロはこうする!高級時計の正しい使い方 ~腕時計の種類を見分ける3つの方法~

Komehyo

ブログ担当者:須川

※初投稿2016/4/8

※リライト2023/8/25

 

「いつかは高級時計が欲しい!」と思い続け、ようやく初めての高級時計を手にした瞬間は誰しもが嬉しいものです。しかし、高級時計にはある宿命があります。

 

それは時計以外のものにも当てはまりますが、「高級品はデリケート」という点です。

 

例えば、時計に対して「タフさ」を追究するG-SHOCKと、「高級感・嗜好性」を追求するパテックフィリップを比較してみて下さい。「タフさ」を追究する場合と、「高級感・嗜好性」を追求する場合では、まったく外観や機構が異なります。高級感や嗜好性を追求するとG-SHOCKのような「タフ仕様」にはできないのです。  

 

↑上:タフさを追究するG-SHOCK

↑下:高級感を追究するパテックフィリップ

 

では、デリケートな高級時計 を「デリケートに扱う」にはどうすれば良いのでしょうか?

 

その答えはシンプルで、「正しい使い方をする」という点に尽きます。

 

ただ、私のニュアンスは「説明書を熟読すれば良い」ということではありません。それは、説明書には載っていないプロの経験則によるアドバイスも同時に伝えたいからです。後ほど「正しい使い方のポイント」として述べさせていただきます。  

 

さらに、時計を正しく使うには正しく時計の種類を見分けるという前提が必要です。

 

例えば自動車を運転するときに、私たちはまず「オートマ車かマニュアル車か」を確認します。これが「正しく見分ける」ということです。そして見分けが終わった後、私たちはオートマ車とマニュアル車のそれぞれに合った運転方法をとります。私は「時計の使い方」もこの自動車の例と同じような過程で語るべきと考えています。つまり、時計の種類を正しく見分けてから、その種類に合った操作をするということです。

 

ただし、時計の種類を見分ける知識は、多くの人が持つ一般知識ではありません

 

私もその知識を得たのは、時計の仕事に携わるようになってからです。この知識を得れば高級時計の正しい使い方が把握できるようになります。それだけでなく、高級時計という嗜好品の本当の面白さが理解できるようになります。  

 

今回は、「時計の種類ごとの正しい使い方」のポイント紹介と同時に、時計の種類を見分ける方法も紹介させていただきます。  

誰もが憧れる、ロレックスの世界をKOMEHYOが語る|コメ兵 - Google Chrome 20150823 113520-001

 高級時計の正しい使い方のポイントを紹介

 

 

 

 

 

 

■高級時計の種類と正しい使い方のポイント

 

高級時計も様々なものがありますが、その動いている機構で区分けすると幾つかの種類に分かれます。

 

その種類を主要なものだけに絞ると、

 

「クォーツ」

「自動巻」

「手巻」

 

の3つの種類になります。

 

そして、それぞれの種類ごとに使用上の注意事項がありますので、以下で簡単に紹介します。以前の投稿「やっていませんか? 腕時計の危険な使い方と多少重複する部分もございますが、ご了承ください。      

 

 

 

 

①クォーツ(電池式)

時計全般において最も一般的なタイプ。高級時計においても、「女性用」や「男性用エントリーモデル」によく採用される。消耗式の電池からくる電気を動力とし、水晶(クォーツ)を利用して時刻の制御をする。

 

※モデル例)

・タグホイヤー「フォーミュラ1クロノグラフ」

・カルティエ「タンクフランセーズ(女性用)」

など

 

 

<クォーツ式の正しい使い方のポイント>

 

電池が切れたらすぐに電池交換をする

→電池が切れた後そのまま放っておくと、電池内の液体が漏れ出してしまい電池交換だけでは動かなくなる(分解掃除が必要になる)ため。

 

クロノグラフの使用は短時間にする

→長時間使用すると、電池の消費が早くなってしまうため。

 

磁気発生をする機器(携帯電話やパソコンなど)やバッグのマグネットなどから時計を遠ざけておく(※1)

→時計が強い磁気の影響を受けると一時的に止まったり、時間が大きく狂うことがあるため。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

②自動巻(ゼンマイ式)

男性用高級時計におてい最も一般的なタイプ。ゼンマイで駆動し、調速機と脱進機という機構で時刻の制御をする。ローターという錘を利用して腕の動きでゼンマイを巻き上げる機能がついている。

 

※モデル例)

・ロレックス「サブマリーナ」

・ブライトリング「クロノマット」

など

 

 

 

<自動巻式の正しい使い方のポイント>

 

1日に短時間しか使用しない、または、デスクワークが多くてあまり体を動かさない方は、「リューズでの巻上げ」も併用して使う

→自動巻は腕の動きを利用します。腕を動かす時間が少ない場合には十分巻き上がりません。着用前にリューズで巻き足しましょう。

 

ゴルフやテニスなど衝撃をともなうスポーツ時は時計を外す

→特に自動巻は衝撃に弱いと言えます。それは、自動巻が腕の動きに反応して回転する「ローター」をもっているからです。通常時を超える腕の動き(衝撃)があると、ローターが過剰に回ってしまい、ローターの軸が故障する可能性があります。

 

リューズでの巻き上げ操作は、巻き上げ過ぎない

→ゼンマイが上限まで巻き上がった後は、「スリップ機能」が発動しゼンマイが切れないようになっています。「スリップ機能」を使いすぎると部品の磨耗が進みます。

 

クロノグラフのボタンの押し順は絶対間違えない

→機械式時計の機構は私たちの想像以上にデリケートです。特に最も普及している操作式機能「クロノグラフ」は、ボタンの押し順を間違えると故障します。「スタート→ストップ→リセット」の順番を必ず守りましょう。

 

日付がある場合は、夜中(午前0時から前後4時間ぐらい)の日付変更操作を避ける

→夜中(時計の時間で)にリューズ操作で日付変更をすると、日付ディスクのツメが折れ故障します。

 

秒針停止機能(ハック機能)が無い場合、無理に「秒」まで合わせなくて良い

→リューズを時刻調整のために引っ張った際に秒針が止まる機能を「ハック機能」と呼びます。機械式時計は1日に何秒も狂いがでるという前提がありますので、ハック機能のないモデルの秒針を無理に合わせる必要はありません。モデルによっては合わせることも可能ですが、あまりお勧めしません。

 

ワインディングマシーン(巻き上げ機)使用の際は、巻き上げ方向を確認する

→自動巻のローターには「巻き上げ方向」があります。自分の時計の巻上げ方向が「両方向」「右方向」「左方向」のどれなのかを確認しましょう。方向が合っていないと巻き上がりません。

 

磁気発生をする機器(携帯電話やパソコンなど)やバッグのマグネットなどから時計を遠ざけておく

→強い磁気の影響を受けると内部パーツが磁気帯びし、止まったり、時間が大きく狂うことがあるため

 

 

 

 

 

 

 

 

 

③「手巻(ゼンマイ式)」

今回紹介する中では最も古くからあるタイプで、自動巻の前身となる伝統的な機構。自動巻との違いは、腕の動きでゼンマイを巻き上げる機能がついていないこと。 ローターがない分、自動巻より薄くなる。

 

※モデル例)

・オメガ「スピードマスタープロフェッショナル(ムーンウォッチ)」

・ランゲ&ゾーネ「ランゲ1」

など

 

 

 

<手巻式の正しい使い方のポイント>

※「自動巻」と重複する部分もありますので、ここでは「手巻」に特化したポイントを挙げます

 

巻き止まり」後は、巻き上げない

→手巻の時計はリューズでゼンマイ巻き上げをすると、ゼンマイが全て巻き上がったタイミングで「終わり」がきます。これを「巻き止まり」と呼びます。自動巻のように「スリップ機能」がないため、それ以上巻き上げようとするとゼンマイが切れてしまいます。

 

 

 

 

 

 

■高級時計の種類を見分ける3つの方法

 

では、上で紹介した「クォーツ」「自動巻」「手巻」という3つの種類を見分ける方法を紹介いたします。いくつか方法がありますが、今回は代表的な3つの方法を挙げます。    

 

 

 

①「秒針の動き」で見分ける(秒針がある場合)  

 

クォーツは秒針が「一秒刻み」で動き(ステップ運針)、自動巻と手巻は秒針が「連続的に」動きます(スイープ運針)。秒針の動きを見ればクォーツか否かが分かります。

 

 

 

②リューズを回してみる(巻き上げてみる)  

 

<クォーツ>

「巻き上げ」がないので何の手ごたえもありません。

 

<自動巻>

「シュー、シュー」と微かな音と手ごたえがあります。手巻とは異なり、いつまで巻いても「巻き止まり」がありません。

 

<手巻>

「キチキチキチ...」と確かな音と手ごたえがあります。さらに最後に「巻き止まり」がやってきます。

 

 

 

③時計を振ってみる

自動巻の時計は「ローター」と呼ばれる回転する錘(おもり)があり、時計を振ると「シャー」と回転音がします。ただし、ローターの大きさや回転構造により音の個体差があるので、慣れていないと難しい判断方法です。

 

↑シースルーバックであれば

ローターが見えるので 判断が容易

 

 

 

 

 

■最後に

 

いかがでしょうか?この3つの方法を知っておくと、時計の種類 が見分けられます。つまり時計を「クォーツ」、「自動巻」、「手巻」のいずれかに特定できるようになります。その作業ができれば、あとは「時計の種類ごとの正しい使い方」を実践するだけです。皆さんのお役に立てれば幸いです。  

 

そして前述したように、今回紹介をした使い方は「説明書には乗っていないプロの経験則によるアドバイス」を含んでいます。知っておくと、玄人のような時計の扱いができます。さらに、その使い方をする理由まで理解ができていると良い点があります。

 

それは、

 

高級時計を使う際の「手間」が腑に落ち、その手間を「必要」と感じることができるようになる

 

点です。

 

その手間を「必要」と感じることができるようになったとき、その方はもう「時計愛好家」と言えるのではないでしょうか!      

 
 
 

※1・・・時計における「磁気」の危険性は、以前のブログをご参照ください。

↓↓↓

知っていますか?腕時計の大敵は磁気!!

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