25.3.2016
パネライ初心者でもわかるモデルの選び方 ~パネライの定番モデルはどれ?~
Komehyo
ブログ担当者:鳥居
よくお客様から「パネライの時計は全て同じに見える」という話を聞くことがあります。
確かにパネライの時計は「本体ケースのシルエット(形)」という括りで見れば、レアなモデルを除いて考えると2種類しかありません。この状況があるので、冒頭の「全て同じに見える」という意見があることは頷けるところです。しかし実は、パネライはすでに何百種類ものラインナップを持っています。これはどういうことかと言うと、「ちょっとしたデザインや素材の違い」、さらに「搭載ムーブメントの違い」などでバリエーションがあるからです。このポイントを知っておくことが、パネライのモデル選びの際にとても役に立ちます。
今週は、チェックポイントを整理しながら、パネライのモデルの選び方を紹介いたします。さらに、パネライの定番モデルはどのモデルなのかを述べさせていただきます。
↑パネライ選びのチェックポイントを紹介
◆STEP1:「ルミノール」か「ラジオミール」か?
以前のブログ「ラジオミールがもつ二面性とは?」でも紹介していますが、パネライはデザインで大きく分けると、「ルミノール」と「ラジオミール」があります。モデル選びのスタートは「この2種類のどちらを選ぶか」から始まります。ケースデザインは嗜好の問題ですので、感覚で選ぶことになります。ただし、ルミノールの方がよりメジャーなモデルであるという状況はあります。
↑左:ルミノール
(画像はPAM00111)
↑右:ラジオミール
(画像はPAM00183)
2つのモデルの大きな違いは、リューズを守るために設けられた「リューズプロテクター」があるかないかです。あるものがルミノール、ないものがラジオミールです。また、ラジオミールは革ベルトのみのラインナップに対して、ルミノールは革ベルト・カウッチュー(ラバー)・メタルブレスレットの3種類がラインナップされています。
ラジオミールにはパネライらしいリューズプロテクターはついてませんが、ルミノールにはない特徴があります。それはラグとリューズの形です。ワイヤーループのラグや円錐型のリューズはどこかクラシカルな雰囲気を醸しだしています。
パネライの歴史を振り返ると、1936年にイタリア海軍向けにラジオミールが試作され、その後ラグやリューズの形状が変更されて、1950年頃にルミノールとして進化したと言われています。こういった背景から見ても、パネライの中でもラジオミールはクラシカルなライン、ルミノールはよりモダンなラインという位置づけです。パネライは「デカ厚」のイメージを持たれる方が多いと思いますが、実は薄型の時計もあります。その薄型パネライのほとんどがラジオミールから発表されています。
このように見た目は非常によく似た2つのモデルですが、分かりやすいデザインの違いがあるということが分かります。あと、ルミノールには「ダイバーズ」モデルの「サブマーシブル」という派生デザインもあります。
↑サブマーシブル
(画像はPAM00024)
◆STEP2:「従来ケースデザイン」か「新型ケースデザイン」か?
ルミノールかラジオミールかを選らんだ後は、「従来ケースデザイン」か「新型ケースデザイン」か選ぶ必要があります。文字通りですが、近年、ルミノールにもラジオミールにも新型ケースデザインが投入されたのです。2005年には「ルミノール1950」ケースが登場、2010年には「ラジオミール1940」ケースが登場しました。ただし、従来のケースデザインでも新型ケースデザインでもどちらでも構わないという方は、このSTEP2は飛ばして下さい。
ルミノール1950は1950年代当時のルミノールに着想を得て造られており、ルミノールに比べ立体的なデザインが特徴です。また、リューズプロテクターには「REG.T.M.」入っており、これはパネライがリューズプロテクターの特許を取得していることを示しています。さらに、ルミノール1950にはルミノールの日付モデルに採用されている日付拡大レンズがないので、拡大レンズを好まない方にもおすすめです。
↑左:ルミノール1950
(画像はPAM00312)
↑左:ルミノール1950、
右:従来のルミノール
※1950の方がより複雑な立体構造をしている
※追記(2019.1.23)
2016年に、ルミノールに薄型タイプ「ルミノールドゥエ」が追加されました。現在はサイズや厚みを抑えるトレンドになっていますので、時代の流れに対応したのでしょう。
↑ルミノールドゥエ
(画像はPAM00676)
ラジオミール1940は、ラジオミールとルミノールを合わせたようなデザインが特徴です。ラジオミールからルミノールへと変化していく1940年代のデザインから着想を得ています。従来のラジオミールのようなワイヤーループラグや円錐形のリューズもなければ、ルミノールのような迫力満点のリューズプロテクターもありません。ある意味中途半端な時計と思われるかもしれませんが、その中途半端さがラジオミール1940の魅力です。
↑ラジオミール1940
(画像はPAM00512)
◆STEP3:ディテールを選ぶ(ムーブメント、ケースサイズ、素材、バンド、文字盤種類)
STEP1とSTEP2がクリアできれば、あとはディテール要素に近い選択です。つまり「ムーブメント」、「ケースサイズ」、「素材」、「バンド」「文字盤種類」を選ぶことが次のステップです。もちろんブティック限定品などその他のディテール要素もありますが、パネライ初心者がいきなりマニアックなところに踏み込むことは少ないと思いますので割愛します。要素の中でもケースサイズ、素材、バンド、文字盤種類は分かりやすいポイントですので、下で簡単に紹介します。
<ケースサイズ>
・「ルミノール」
→44mm、40mm、(一部47mm)
・「ルミノール1950」
→47mm、44mm、42mm
※追記(2019.1.23)
・「ルミノールドゥエ」
→45mm、42mm、38mm
・「ラジオミール」
→45mm、42mm
(一部47mm、44mm、40mm)
・「ラジオミール1940」
→47mm、45mm、42mm
<ケース素材>
・定番のステンレス
・軽量なチタン
・引き締まりのあるブラックケースのPVD/DLC/セラミック
・高級感のある金素材(イエロー、ホワイト、ピンクゴールド)、プラチナ
・その他(アルミベースのコンポジット、銅、タンタル)
<バンド>
・革バンド(ワニ革、カーフ革など)
・ラバーバンド
・メタルバンド(種類あり)
<文字盤種類>
・黒文字盤
・白文字盤
・茶文字盤(基本チタンケース)
・青文字盤(限定系)
など
※インデックスにもバリエーションがある
そして、STEP3で重要な要素がムーブメントです。パネライのムーブメントは、「手巻(ヒストリックコレクション)」と「自動巻(コンテンポラリーコレクション)」に分けられます。そして、「汎用ムーブメント」と「自社ムーブメント」があります。ムーブメントにこだわりがある方はこの選択が重要になることは明らかですが、汎用ムーブメントより自社ムーブメントの方が価格が高額になる点は全ての方にとって重要な要素と言えます。
ただし、STEP2で紹介をしたケースデザインによってもムーブメントが決まってしまいますので、ケースデザインにこだわりのある方は注意が必要です。大筋では、“従来ケースデザイン=汎用ムーブメント”、“新型ケースデザイン=自社ムーブメント”という対応があります。下で簡単にムーブメントの種類をまとめました。
↑自社ムーブメントの方が高額になる
※画像はCal.P.9000
<ムーブメント>
①汎用ムーブメント
「手巻」:
2針、スモールセコンド3針、(一部機能付き)
「自動巻」 :
スモールセコンド3針、パワーリザーブ表示、8デイズ、GMT、GMTアラーム、クロノグラフ、フライバック、スプリットコンド他
②自社ムーブメント(2002年~)
「P.2000系」:上位機種としての基幹ムーブメント
「P.9000系」:基幹自動巻ムーブメント
「P.3000系」:基幹手巻ムーブメント
「P.5000系」:8日持続の新基幹手巻ムーブメント
「P.4000系」:マイクロローター自動巻
「P.999系」:審美性のある小型の手巻
「P.1000系」:P.999をより量産できるようにした手巻
「P.6000系」:P.3000をより量産できるようにし、従来の汎用ムーブメントからの置き換えに活躍する手巻
※現在パネライは、汎用ムーブメント搭載機をどんどん自社ムーブメント搭載の新型に置き換えている最中です
(2018.3.11追記)
◆やはり定番を選ぶ方が多いのが現実
ここまでで3つのステップを紹介しましたが、一般の方にとってこのステップはあくまで選択の補助にすぎません。現実としては、みなさん「定番モデル」の中から選ぶことが多いのです。
では、パネライの定番モデルは何でしょうか。少し考察します。一般の方が高級時計を検討する際に、比較的購入しやすい価格帯のオメガやタグホイヤーなどを選択せず、より高額なパネライを選択すること自体がすでに満足感のある時計選択です。すでにパネライを選択したことで満足している方は、パネライのハイグレードモデルまで触手を伸ばさないことが多いのではないでしょうか。つまり、多くの方が「購入しやすい価格帯のパネライ」を選び、これがパネライの定番モデルとなっています。
前述しましたが、「ムーブメント」は価格を左右する大きな要素ですので大事な選択になります。 基本的には、「機能なし < 機能あり」、「汎用ムーブメント < 自社ムーブメント」という構図で価格が上がります。これに加えて、「素材」はステンレスが最も価格が安いと言え、さらに、「バンド」は定番である革バンドとメタルバンドを比較すると革バンドの方が価格が安いと言えます。
これを理解すれば、パネライの定番モデルが見えてきます。そう、パネライの購入しやすい価格モデルは「ステンレスケース、革バンド、機能なし」のモデルです。一般的には「秒針がある」ぐらいでは機能付きと感じませんので、2針か3針モデルが「機能なし」の範疇になります。そして冒頭でものべましたが、ラジオミールよりルミノールの方がよりメジャーな選択肢で、ルミノールの定番サイズは「44mm」です。
つまり、定番パネライは「ルミノール、44mm、ステンレスケース、革バンド、機能なし」のモデルです。
そして、現在のパネライは汎用ムーブメントと自社ムーブメントが混在したラインナップですので、「汎用ムーブメントの定番」と「自社ムーブメントの定番」があります。
<44mm定番モデルの例>
①汎用ムーブメント
「ルミノールマリーナ(3針)」
PAM00111(黒)、PAM00113(白)
「ルミノールベース(2針)」
PAM00112(黒)、PAM00114(白)
「ルミノールロゴ」
PAM00000(2針)、PAM00005(3針)
②自社ムーブメント
「ルミノール1950(P.9000)」
PAM00312、PAM00359(オールアラビア数字)
※追記(2019.1.23)
パネライは定番モデルの刷新を進めており、型式(PAM)番号を“1000番台”に切り替えています。
例えば、
「PAM00000→PAM01000(→PAM00773)」
「PAM00005→PAM01005(→PAM00776)」
「PAM00312→PAM01312」
「PAM00359→PAM01359」
などです。
上の例が定番モデルの例です。これらの定番モデルを軸足にしてご自身の好みを計ってみてはいかがでしょうか。例えば、定番の44mmサイズが大きいと感じる方は、40mm(ルミノール1950なら42mm)という小型パネライの選択肢もあります。そして、もう少し違いを出したいと感じる方は、GMT機能、パワーリザーブ表示機能、クロノグラフ機能のついたモデルもあります。定番が分かることによって、パネライのモデル選びが楽になるはずです。是非、参考にしてみてください。
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