28.3.2021
【今、時計愛好家が注目するブランド】「NAOYA HIDA & Co.(ナオヤ ヒダ/飛田直哉)」とは?
Komehyo
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ブログ担当者:須川
皆さん、今、時計業界で注目されているブランド
「NAOYA HIDA & Co.(ナオヤ ヒダ)」
をご存じでしょうか。
↑ナオヤヒダの作品
このブランドは、日本の時計業界の重鎮である飛田直哉さんが立ち上げたブランドで、現在注目を集めています。時計業界トップクラスの審美眼と企画力をもつ飛田さんが、わざわざ自分のブランドを立ち上げたということなので、「どのような時計を作るのだろうか?」と、時計愛好家は興味深々です。
しかし、飛田さんは実際に時計を作り上げる“時計師”ではありません。そのため、飛田さんの役割は、どのような時計を作り出すかを考える、ウォッチコンセプターということになります。
通常、組織のトップの人は、「経営を見る」ことが主な役割です。そのため、自分の手でオリジナルウォッチを作る独立時計師系のメーカーを除くと、組織のトップの人が、そのブランドの作品づくりに直接関わることは稀でしょう。しかし、飛田さんは時計師ではないにも関わらず、ご自身で細かな点まで作品づくりに関わります。この関わり方は、まるで、超高級時計ブランド「リシャールミル」を立ち上げた、リシャールミルさんのようです。
↑超高級時計ブランド「リシャールミル」
まさに、ナオヤヒダは「日本のリシャールミル」と形容してもよいのではないでしょうか。
今回は、このナオヤヒダを紹介していきます。
<目次>
■「ナオヤヒダ」とは?
■「ナオヤヒダ」の魅力とは?
■「ナオヤヒダ」とは?
まず、ブランド紹介から始めましょう。
この「ナオヤヒダ」を紹介するには、もちろん、創設者の飛田直哉さんについて説明する必要があります。飛田さんは、時計業界では有名人で、最近であればF.P.ジュルヌやラルフローレンの日本部門の代表を務めていたことも知られています。
この飛田さんについてですが、元々はプロモデラー(原型師)をされていたそうです。そして、1980年代から時計業界に携わるようになります。具体的には、日本デスコ、日本シイベルヘグナー、F.P.ジュルヌ、そして、リシュモンジャパンで活躍することになります。特に、ブレゲでセールスマーケティングに関わっていた時代には、限定品の企画も手がけたことがあるそうです。このエピソードからも、飛田さんの審美眼や企画力は、スイス本国からも評価されていたように感じます。
↑ブレゲ
以前から、自分のオリジナルウォッチを作りたかった飛田さんは、2012年ごろから動き出します。若い時計師の協力を得て、時計開発に乗り出し、2018年に試作品の「NH TYPE 1A」、そして2019年に初のオリジナルウォッチ「NH TYPE 1B」をリリースします。これは、直径37mmの手巻式スモールセコンドタイプです。まさにクラシックを狙った一本です。
↑デビュー作のNH TYPE 1B
翌年の2020年には、2作目の「NH TYPE 1C」を発表し、さらに同年、センターセコンド版の「NH TYPE 2A」も登場します。順調に開発を続けており、まさに黎明期といった印象です。すでに「TYPE8」まで構想があるようで、今後も、さらなる作品が登場するでしょう。
■「ナオヤヒダ」の魅力とは?
次に、「ナオヤヒダ」の魅力について、私なりの意見を紹介します。
これについては、メディアにある飛田さんのインタビュー記事を見るとよく分かります。特によく分かるのは、開発時のことを振り返ったときの話です。解釈すると、飛田さんが開発時にこだわったことは下の点です。
①ケースサイズ
→「38mmだと大きいと感じたので37mmにした」
②ケースとスモールセコンドのバランス
→「スモールセコンド位置が理想的になるようにムーブメントを探した」
③リューズの感触
→「リューズの“巻き味”を好みのものに改良」
④素材
→「ケースにロレックスと同じ904Lステンレスを採用」
⑤ヴィンテージ感
→「文字盤に立体加工処理と手彫りインデックス」
この点を見ると、飛田さんは、時計に対して「デザインバランス」、「雰囲気」、「感触」というものを気にしているように見えます。これらのこだわりを私なりに解釈すると、飛田さんの理想が見えたきた気がしました。
つまり、飛田さんは、
時計に“本物感”を与えたい
のだと思います。
これは、時計づくりにおいてたくさんの工程が手作りだった「ヴィンテージウォッチ」の本物感に近いものでしょう。
飛田さんは、この本物感を実現するために、手間がかかってコストが上がってしまっても許容しているように見えます。
例えば、飛田さんの時計はケース素材に904Lを使っていますが、これは切削の難易度が高いらしく、多くの加工メーカーに断られたみたいです。しかしそれでも、やっとの思いで「碌々産業」という加工メーカーを見つけ出し、904Lで時計を作ることに成功しました。
まさに、「コストよりも、目標とする時計をつくることが何より優先される」方針は、先に紹介したリシャールミルのようです。
つまり、私は、「本物感のある時計を本気で作っている」点こそが、ナオヤヒダの最大の魅力だと思っています。
しかし、残念なことに、ナオヤヒダの時計は生産数が多くありません。デビュー作のNH TYPE 1Bなら製造数がたったの9本(市場に出たものは7本)、2020年の2作品(NH TYPE 1CとNH TYPE 2A)も合わせてわずか20本と言われています。これは、次作の開発を並行で行っていると思えば、仕方ないことかもしれません。
ナオヤヒダの時計は、それだけ希少で、かつ、究極にこだわりをもった作品なので、ステンレスの時計ながら正規価格が200万円近くになることも納得です。もし、ナオヤヒダの時計に出会えたのなら、それは幸運なことなのでしょう!
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