13.1.2021
【今、時計愛好家が注目するブランド】「KIKUCHI NAKAGAWA(キクチ ナカガワ)」とは?
Komehyo
ブログ担当者:須川
皆さん、今、時計業界で注目されているブランド
KIKUCHI NAKAGAWA(キクチ ナカガワ)
をご存じでしょうか。
上にキクチナカガワの作品の文字盤の一部と針のアップ画像を用意しました。もしかすると、一部の時計通の方は、この針のクオリティを見て、「普通ではない!」と思われたかもしれません。
そうなんです。このキクチナカガワの作品は、外装の作り込みの度合いが半端ではありません。
では今回は、このキクチナカガワを紹介していきます。
<目次>
■「キクチナカガワ」とは?
■「キクチナカガワ」の魅力とは?
■「キクチナカガワ」とは?
まずは、「キクチナカガワ」というこの時計ブランドのことから説明します。
高級時計業界の多くはスイスを本拠地にするブランドですが、キクチナカガワは日本を本拠地にしています。それは、ブランド名からもわかるように、このブランドは日本人時計師によって作られたものだからです。
その時計師は、
・菊池 悠介さん
・中川 友就さん
です。
彼らの苗字を合わせて、キクチナカガワというブランドで展開しているのです。
プロフィールと確認すると、菊池さんは東京大学を卒業し就職しましたが、その後職を捨てて時計師の道に進んだ方のようです。時計学校はパリに留学して行ったようです。オリジナルウォッチを手掛ける活動もされていたようですが、ついに、このキクチナカガワを立ち上げて本格的に表舞台に登場しました。時計理論に明るく、キクチナカガワの頭脳という印象です。
中川さんは、元々は刀匠(日本刀を作る職人)の修行をしていた方のようですが、断念して時計師に転向したみたいです。時計学校を卒業後は、フランスに修行に行き、その後、シチズンや東京時計精密(浅岡肇さんの会社)での経験を経て、キクチナカガワを立ち上げました。外装の仕上げは中川さんが主に携わっており、キクチナカガワのクオリティを保つ重要人物です。
プロフィールからもわかるように、二人はフランスにいた時代があり、そのころ出会ったみたいです。そして、満を持して、2018年にキクチナカガワを立ち上げました。そのデビュー作が「ムラクモ」です。
↑ムラクモ
この時計は「和製カラトラバ」と呼ばれることもあり、ヴィンテージパテックのような雰囲気があります。そもそも、菊池さんには「ヴィンテージウォッチを現代の時計で超えたい」という想いがあるみたいですので、このようなヴィンテージライクな時計を敢えて作っているのだと思います。
このムラクモですが、公式ホームページを確認すると、執筆時点ですが、納期12~24カ月、価格2,398,000円となっていました。ムラクモはステンレス製の時計です。ステンレスの3針時計を作るのに、この納期と価格を設定することに、驚く方もいるかもしれません。しかし、この後の説明を理解していただくと、きっと、納得していただけると思います。
■「キクチナカガワ」の魅力とは?
ここからは、キクチナカガワの魅力を紹介します。
キクチナカガワの魅力はいろいろあるとは思いますが、私が最も魅力に感じる点は、
「最高の手作り時計であること」
です。
少し説明します。先に、菊池さんは「ヴィンテージウォッチを現代の時計で超えたい」という想いがあることを紹介しました。そして、キクチナカガワが語る理念でも言及がありますが、どうやらヴィンテージの中でも「1930~50年代のヴィンテージ」を意識しているようです。
この時代のヴィンテージをイメージするなら、特に1940年代までは、まだ手巻き式機械式時計が主役の時代で、“画一品のシリーズ生産”ではなく“1点ものを丁寧に作る”ような印象の時代です。そのため、一点一点が丁寧に作られた印象の時計が多く、「腕時計の品質が高かった」と言われる時代でもあります。
↑「品質が高かった」と言われる時代の作品
※1936年から生産されるロンジン13ZN
つまり、キクチナカガワがライバルにしているのは、このような時代のヴィンテージ品なのでしょう。キクチナカガワはこの素晴らしいヴィンテージ品を超えるために時計を作ろうとしており、そして、登場した第一弾の時計が「ムラクモ」なのです。そのため、ムラクモのクオリティは素晴らしいものになっています。
上の画像は冒頭でも使いましたが、針を丁寧に仕上げたことが分かるでしょう。そして、下の画像を見ると、ケースやラグ、そして、尾錠に至るまで、本当に丁寧に仕上げられています。
現代の時計は、その多くの工程でマシーンに頼っており、手作り感というものは少なくなっています。しかし、まだ人の手で行っている工程もあります。その中で、最も消費者に分かりやすい“人の手が入ったとわかる工程”は、「外装仕上げ」でしょう。
キクチナカガワは、その「外装仕上げ」という重要な工程を、刀匠を目指していた“金属仕上げの匠”である中川さんに任せているのです。中川さんは、外装仕上げに「ブラックポリッシュ」と言われる超研磨を施しており、まさに鏡のように歪みなくピカピカに磨き上げています。
↑鏡のように歪みなくピカピカ
上の画像は、ムラクモの裏蓋の画像です。その鏡のような仕上げがわかりやすいように、敢えて別の腕時計の革ベルトを映しこんでみました。ワニ革の竹腑までくっきりとわかるほど、入念に磨き上げられています。
このブラックポリッシュは、ある角度で黒がかって見えるようになる仕上げで、高い技術が必要な手間のかかる仕上げです。そのため、ブラックポリッシュを採用するメーカーは少なく、採用する場合でも、面積の小さい部分に使うことが一般的です。
しかし、ムラクモは、ケースから針まで惜しみなくブラックポリッシュがなされています。これは、通常ではありえないことです。この“手の込んだ作り”を味わえることこそが、キクチナカガワの最大の魅力でしょう。
また、あまり内部のことは言及しませんでしたが、もちろん、ムーブメントにもこだわりがあります。ムーブメントは裏蓋で隠されていますが、ヴォーシェマニュファクチュールのVMF5400系をベースムーブメントにしており、高級エボーシュを採用しています。これは、リシャールミルやパルミジャーニフルリエなどで採用されたことのあるムーブメントで、ムーブメントでも差別化しようとする意図を感じます。
さて、ここまでのことを理解していただいた後に、先の「納期12~24カ月、価格2,398,000円」という設定を思い返すとどうでしょうか?きっと、納得をしてくれる方も増えるのではないでしょうか。キクチナカガワのムラクモは、それほどの時計なのです!
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