高級腕時計の時計通信

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23.10.2020

パテックフィリップ|「オフィサー」とはどのようなモデル? ~ハンターケースのカラトラバ~

Komehyo

ブログ担当者:須川

 

■パテックフィリップ|「オフィサー」とはどのようなモデル? ~ハンターケースのカラトラバ~

 

パテックフィリップ(PATEK PHILIPPE)の時計に、「オフィサー」と呼ばれるモデルがあります。

 

オフィサーは、パテックフィリップのラウンドシリーズ「カラトラバ」の一種なのですが、もちろん、通常のカラトラバとは異なります。

例えば、上の画像をご覧ください。この画像を説明すると、上側がRef.5153というモデルで“オフィサー”モデルです。そして、下側はRef.5227というモデルで“オフィサーではないカラトラバ”です。そして面白いことに、両モデルともに、裏蓋に「開閉式の蓋(ふた)」がついています

実は、通常のカラトラバにはこのような開閉式の蓋は付いていません。そのため、この2モデルは特殊なモデルと言えます。しかし、この2モデルは、似たポイントはあるにもかかわらず、一方が「オフィサー」モデルで、もう一方はそうではないのです。

 

そこで今回は、「オフィサーがどのようなモデルなのか」が分かるように、説明をしていきます。

 

 

 

 

 

 

■「オフィサー」とはどのようなモデル?

 

では、「オフィサーとはどのようなモデルなのか」を説明していきます。

↑カラトラバ オフィサー Ref.5153

 

端的に言うと、オフィサーは、

 

今から100年以上前に存在した、軍人に支持された“初期の腕時計”をオマージュしたモデル

 

です。

 

そもそも、「オフィサー」という言葉も、軍の現場指揮官を表す「将校」という意味です。実は、1900年前後ごろは、「懐中時計→腕時計」というパラダイムシフトの始まりとなるのですが、その最初は、「懐中時計に加工をして腕に巻く」というものでした。それを、将校たちが使ったのです。

↑懐中時計

 

このような状況で誕生した腕時計ですので、“初期の腕時計”は懐中時計の要素を多く残しています。つまり、“初期の腕時計”をオマージュしたオフィサーは、「懐中時計のような腕時計」と表現しても良いのかもしれません。

 

では、具体的に、オフィサーの特徴を3つ挙げて説明します。

 

 

 

<オフィサーの3つの特徴>

 

①ハンターケース

オフィサーの特徴のひとつは、「ハンターケース」を採用することです。

 

補足をすると、ハンターケースとは、“開閉式の蓋”がついた時計ケースのことです。元は、狩猟時に風防(ガラス)が破損することを防ぐために、懐中時計の前面に開閉式の蓋がつけられたことが始まりのようです。その蓋ですが、全部閉じたものもあれば、真ん中を空けた“ハーフハンター”もあります。

 

初期の腕時計は軍用だったので、ハンターケースのタイプが多く見られました。そのため、初期の腕時計をオマージュするオフィサーに、ハンターケースは採用されたのでしょう。しかし現在は、風防が進化したことにより風防破損も減っています。そのため、オフィサーのハンターケースは、裏側に蓋をつけています。

 

 

 

②ネジ付きラグ

オフィサーの別の特徴は、「ネジ付きラグ」を採用することでしょう。「ラグ」とは、時計ケースとバンドを繋ぐための突起のことです。一般的には“4つ脚”であることが多いと思います。このラグ部分が“ネジ付き”である点が、特徴なのです。

 

このネジ付きラグは、初期の腕時計の特徴を再現したものです。初期の腕時計は、乱暴に表現すると「懐中時計にラグを溶接しただけの時計」です。そして、特に初期のラグは、バンドを固定するだけに特化した安易なものでした。そのため、現在のラグとは全くデザインが異なります

 

例えば、初期のラグとしては、「ワイヤーラグ」と呼ばれるタイプが有名ですが、こちらの「ネジ付きラグ」も初期の腕時計には採用されています。パテックフィリップがかつて作った初期の腕時計は、後者の「ネジ付きラグ」の方を採用していましたので、オフィサーにはこちらが採用されたのでしょう。

 

 

 

③たまねぎ型リューズ

また、「たまねぎ型リューズ」を採用することも、オフィサーの特徴です。

 

たまねぎ型リューズとは、その名の通り、“たまねぎ”のような形をしたリューズのことです。これは、多くの懐中時計に採用された形のリューズで、懐中時計の要素をもつ初期の腕時計をオマージュするために、オフィサーに採用したのでしょう。

 

 

 

 

 

 

■最後に

 

ここまでで説明したように、オフィサーは

 

今から100年以上前に存在した、軍人に支持された“初期の腕時計”をオマージュしたモデル

 

であり、

 

「ハンターケース」

「ネジ付きラグ」

「たまねぎ型リューズ」

 

という3つの特徴がありました。

 

これを理解した皆さんは、すでに、冒頭で登場した2つのカラトラバの違いが分かるはずです。今一度、写真をお見せします。

↑左:Ref.5153、右:Ref.5227

 

これらは、どちらも「ハンターケース」のカラトラバでしたが、右のモデル(Ref.5227)は、「ネジ付きラグでない」「たまねぎ型リューズでない」外観です。そのため“オフィサー”ではありません。逆に、左のモデル(Ref.5153)は、3つの特徴を満たす“オフィサー”です。

↑Ref.5227のラグとリューズ

 

今回のオフィサーについては、動画でも詳しく解説していますので、是非、そちらもチェックしてみてください!

↓↓↓

 

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