高級腕時計の時計通信

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24.7.2015

ついにロレックスも動き出した! 時計業界のアフターサービス戦争

Komehyo

ブログ担当者:須川

 

最近の時計業界にビッグニュースが舞い込んできました。それは、2015年7月1日より「ロレックスがメーカー保証期間を2年から5年に変更する」ということでした。つまり、保証期間を3年延ばしました。もちろん消費者側からすると嬉しいニュースなのですが、なぜ突然このような変更をしたのでしょうか?

 

今週は時計業界で現在起こっている「アフターサービス戦争」とも言える状況を紹介させていただきます。

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↑保証期間を変更したロレックス

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 ↑タグホイヤー、ブライトリング、ゼニス、オメガなどが

  巻き起こすアフターサービス戦争

 

 

 

 

 

■時計メーカーの保証期間

 

時計はもちろん「機械もの」ですので、新品であっても故障する可能性はあります。本来、機械式時計はハイテク製品とは逆の立ち位置にいる製品です。つまり、昔ながらの「手作業で組み立てる製品」という点が高級機械式時計の価値であり、高額になる所以です。定期メンテナンスが必要な「手のかかる」製品ではありますが、逆に言うと「メンテナンスをしながら長く使う製品」とも表現できます。

 

内部は多くの歯車などが噛み合っており、ムーブメントの部品点数はかなりの数になります。例えばロレックスの現行デイトナのムーブメント(Cal.4130)は290点という部品点数です。そのような多くの部品を人の手で組み立てた製品ですので、「高級時計はデリケートな製品」という認識が必要です。その認識を販売店は購入者に伝える必要がありますし、購入者はそれを理解する必要があります。

 

一般的に、高級時計メーカーの保証期間は「2年」です(一部のメーカーは1年)。例えば、パテック・フィリップ、ランゲ&ゾーネ、カルティエ、IWC、ジャガー・ルクルト、パネライ、ブルガリ、グランドセイコーなど名の知れた多くのメーカーは購入後2年間の保証をつけます。「2年」という期間は、時計の一般的なオーバーホール時期が「3年~5年」ごと(「4年~5年」とアナウンスすることもある)と言われているので、それよりも少ない期間である「2年」に落ち着いていたのだと思います。ほとんどの場合、「時計内部の自然故障に対する保証」であり、外装や定期メンテナンスは対象外であることが普通です。

 

例えば、正規販売店で時計を購入し、保証期間内に自然な使用状況で「時計が動かなくなってしまった場合」や、「大きく時間がずれるようになった場合」は無償で修理が受けられます。ただし、防水性能を越えた使い方をしたり、磁気を発する場所に時計を置いて磁気帯びさせたり、落としたりぶつけたりして衝撃を与えた場合は、購入者側の使い方による故障となり保証対象外、つまり有償修理になります。

 

 

 

 

 

 

■保証期間の差別化戦略

 

保証期間が2年よりも長いメーカーは以前からいくつかありました。有名なところでは、シチズンのトップブランドである「THE CITIZEN」は「10年保証」を謳っています。つまり、いくつかのブランドは既に「保証期間の差別化戦略」を行っていました。しかし、時計業界の大きなシェアを占めるビッグメゾンは軒並み「2年保証」で足並みをそろえており、競争のベクトルは「保証期間」ではなく常に「製品」にありました。ただし、一部で「修理料金を優遇する」というベクトルのアフターサービスの差別化はありました。ブライトリングの「クラブ・ブライトリング」に入会するとメンテナンス料金が優遇されることは有名な話です。

 

しかし、ここ数年でその均衡が破られました。ここで「最近起こった『保証期間の差別化戦略』に関する動き」を紹介させていただきます。

 

 

 

<最近起こった「保証期間の差別化戦略」に関する動き>

 

○タグホイヤー:

自社の「エドワードクラブ」に入会すれば保証を2年延長

(つまり2年保証+延長2年)

 

○ゼニス:

保証書のコードをWEB登録すれば1年保証を延長

(つまり2年保証+延長1年)

 

○ブライトリング:

自社ムーブメント製品の保証期間を2年→5年へ変更

 

○オメガ:

自社ムーブメントCal.8500系やシリコンヒゲゼンマイ搭載モデルの保証期間を4年へ

(通常モデルは2年、コーアクシャル脱進機搭載モデルは3年)

 

 

 

その他にも5年保証のリシャール・ミルやベダ&カンパニーや、所定の手続きで保証を3年に延長できるオーデマ・ピゲなどがありますが、私はロレックスの保証期間延長という変更に大きく影響を与えた動きは上に紹介した4つの例だと思います。

 

以前のブログ(ロレックスの新CEO ~ゼニスからロレックスへ~)で紹介しましたが、ロレックスの現CEOであるジャン・フレデリック・デュフール氏は元ゼニスのCEOです。上の例にあるゼニスの保証期間延長の動きは、まさに彼がゼニスに在籍したときに行われた変更です。つまり、デュフール氏のゼニスからロレックスへの移籍が、ロレックスの保証期間延長の大きな要素だったのではないでしょうか。彼がゼニスで行った保証期間の差別化戦略を、ロレックスでも行ったということだと思います。そして、保証期間を「3年」や「4年」ではなく「5年」にしたことは、ブライトリングへの対抗があると思われます。

 

 

業界最大手のロレックスが「保証期間」を変更したことは、今後、その他のメーカーにも影響を与えると思います。つまり、「保証期間」というアフターサービスを重視していくことが、業界トレンドになっていくと思います。その状況は、まさに「アフターサービス戦争」と呼べるものになるのではないでしょうか。

 

皆さんも、これからの時計業界の「アフターサービス戦争」に注目してみてはいかがでしょうか?

 

 

 

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