25.8.2017
ロレックス|「ターノグラフ」とはどんなモデル? ~“中間の存在”を目指すターノグラフ~
Komehyo
ブログ担当者:永井
「ターノグラフ」は、ロレックスが2004年に発表したモデルです。
↑ターノグラフ116263
実は、ターノグラフは2013年ごろに生産終了になっており、登場から10年経たずに姿を消したことになります。ロングセラーモデルの多いロレックスにおいて、比較的短い生産期間だったと考える事ができます。
生産終了になった今、私は考えました。
「ターノグラフって、結局、どんなモデルだったんだろう?」と。
今週は、ターノグラフはどのような存在だったのかを書かせていただきます。
■ターノグラフは“中間の存在”!
一般的にターノグラフは“デイトジャスト(※1)をスポーティな雰囲気にしたモデル”と表現する事が多いと思います。
↑左:デイトジャスト、右:ターノグラフ
しかし、私は異なった表現をします。それは「ターノグラフは“中間の存在”である」という表現です。
前提としては、まず、デイトジャスト(特にコンビネーションモデル)はロレックスの中でもドレッシーなデザインであることは押さえておきます。そして、ターノグラフの細かな点を見ていると、デイトジャストデザインから少し背伸びをして、敢えて「ドレスウォッチからやや離れたデザイン」を採用していることに気がつきます。ポイントは“やや離れた”という点です。“大きく離れる”のではないのです。この点で、私は「中間の存在」と表現しています。
下で、①ベゼル、②針と文字盤、③ブレスレットに分けて解説します。
①ベゼル
デイトジャストの定番は、ギザギザな装飾が印象的な「フルーテッドベゼル」を採用します。しかし、ターノグラフは、経過時間を計ることのできる「回転ベゼル」を採用します。
↑左:デイトジャストの「フルーテッドベゼル」
右:ターノグラフの「回転ベゼル」
回転ベゼルは、ダイバーズウォッチのサブマリーナにも採用されており、よりスポーティ雰囲気を出すパーツです。下のサブマリーナの画像を見ていただいても、一見してスポーティさを感じると思います。
↑サブマリーナの回転ベゼル
しかし、サブマリーナの回転ベゼルとは違いがあります。ターノグラフの回転ベゼルを回すと、「両方向に回転する」、「クリック音がしない」という特徴があります。一方、サブマリーナの回転ベゼルは。一方向にしか回らず、クリック音もします。やはり、ターノグラフの回転ベゼルは、ダイバーウォッチとしての役割ではなく、機能よりもデザインに重点が置かれた回転ベゼルです。
また、ターノグラフの回転ベゼルは、フルーテッドベゼルのようなギザギザな装飾があります。そして、回転ベゼルの素材は18金(イエローゴールド、ホワイトゴールド、ピンクゴールド)を採用します。そのため、一見するとデイトジャストに近い雰囲気を感じると思います。
ターノグラフのベゼルは、まさに、デイトジャストとサブマリーナの中間のようなベゼルです。ベゼルの観点からは、ターノグラフはデイトジャストデザインから、スポーティなデザインに“やや離れた”と言えます。
②針・文字盤
ターノグラフは赤い秒針を採用しており、ベゼルと同様にターノグラフの大きな特徴にもなっています(一部、緑の秒針も存在します※2)。
↑赤い針と日付数字
文字盤はブラック、ホワイト、ブルー、ゴールド、グレー、シルバーの6色のラインナップです。デイトジャストのようにシェルやダイヤモンドインデックスなどのような、宝飾性を追加したラインナップはありません。ブルーの文字盤は、生産期間が短かった為流通量が少なく現在の中古市場でも非常に少ないと言われております。また文字盤上の「TURN-O-GRAPH」の文字と日付の数字にも「赤色」を採用しています。秒針と同様にに「赤色」のアクセントが目立ちます。
↑文字盤のカラーバリエーション
目立つ挿し色をいれると、ポップな雰囲気がでてしまいます。そのため、通常、ドレスウォッチは目立つ挿し色を控える傾向にあります。しかし、ターノグラフは敢えて目立つ挿し色を配色します。針と文字盤デザインの観点から、ターノグラフはデイトジャストデザインから、カジュアルなデザインに“やや離れた”と言えそうです。
③ブレスレット
ターノグラフには、「ジュビリーブレス」と「オイスターブレス」の2種類が存在します。
↑左:ジュビリーブレス、右:オイスターブレス
どちらのタイプを選ぶかによって、「スポーティな雰囲気を出すか」、「ドレッシーな雰囲気を出すか」の分かれ道となります。敢えてデザインと雰囲気に“ゆらぎ”を残し、ユーザー側が意志決定をすることになります。
もちろんロレックスのその他のモデルにも、同じようにブレスレットの選択肢があります。しかし、その選択肢は、一方が“メジャー”で、他方が“マイナー”です。例えば、デイトジャスト116233なら、ジュビリーブレスが“標準デザイン”であり、オイスターブレスは“外しのデザイン”となります。しかし、ターノグラフは2種類のブレスレットは“対等な選択肢”に感じるのです。つまり、飛行機の機内食で「肉か魚か?」と聞かれるのと同じです。純粋に好みのデザインを選べば良いのです。
このブレスレットに対等の選択肢がある点からは、どちらのデザインにも肩入れせず“中間の存在”であろうとしているように感じます。
■最後に
このようにターノグラフは、「デイトジャストから“やや離れた”デザインを持つモデル」として解釈することができます。しかし、デイトジャストからは大きく離れることはありません。飽くまで、デイトジャストデザインを壊さないようにしています。
「デイトジャストでありながら、デイトジャストではない」
そんな“中間の存在”が、ターノグラフです。
最後に、もう一つ“中間の存在”ポイントを挙げます。実は、ターノグラフの原型は、1950年代初頭に登場しました(REF.6202)。このモデルはサブマリーナの原型と考えられており、“ロレックスのスポーツモデルへの過渡期のモデル”だと考えられています。
つまり、ターノグラフは歴史的に見ても、「中間な存在」なのです!
※1・・・デイトジャストについては、過去の投稿「ロレックス|デイトジャストとはどのような時計か?~“最もロレックスらしい時計”デイトジャストの2つの魅力~」をご覧下さい。
※2・・・緑の針のターノグラフについては、過去の投稿「ご存知ですか?日本人のためのロレックス ~ロレックスの日本限定モデル~」をご覧下さい。
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