高級腕時計の時計通信

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30.9.2016

なぜジャガールクルトは時計愛好家に支持されているのか? ~ジャガールクルトの魅力と人気モデル~

Komehyo

ブログ担当者:那須

 

ロレックス、オメガ、パテックフィリップ、IWC、パネライなど、高級腕時計メーカーにも様々なメーカーがあります。それぞれのメーカーに独自の色があり、様々な層に支持されています。

 

その中でもジャガールクルトは多くの時計愛好家に支持されているメーカーです。

 

↑時計愛好家に支持されるジャガールクルト

※画像:レベルソ・クロノレトログレイド(裏面)

 

では、なぜジャガールクルトは時計愛好家の支持を受けるのでしょうか?その疑問と対峙すると、私は以下の3つの理由が浮かびました。

 

 

①モノ作りに長けた“機械屋”のイメージを持つ

 

②時計業界を代表するアイコンモデルを生み出した

 

③普遍性のあるデザイン

 

 

今週は、上の3つの点からジャガールクルトの魅力に迫ります。そして、人気のある代表的なラインナップにも触れさせていただきます。

 

 

 

 

 

 

■モノ作りに長けた“技術屋”のイメージを持つジャガールクルト

 

ジャガールクルトの代名詞といえば“リアルマニュファクチュール”です(※1)。外装デザインだけでなく内部のムーブメントまで自社で作り出す技術力がジャガールクルトの魅力です。この「ジャガールクルトは“技術屋”である」というイメージが時計愛好家には好印象です。では、なぜそれほどまでにジャガールクルトに技術力があるのでしょうか?これは歴史を見るとわかります。少し、ジャガールクルトの歴史を振り返りましょう。

 

ジャガールクルトの創業は1833年、アントワーヌ・ルクルトが興した工房がルーツです。元より時計部品を製造する機械を作り出せたことから工房を立ち上げており、1844年にはミクロン単位の当時最先端の測定器“ミリオノメーター”も発明しています。これによって高い生産システムを構築し、以後1900年までに約350種類以上のムーブメントを作り上げた実績をもっています。その内128種類はクロノグラフ機能、99種類はリピーター機能を搭載した複雑なものだったようです。

 

つまり、ジャガールクルトは創業当時から“技術屋”だったのです。

 

また、1902年から約30年に渡り、かの世界最高峰メーカーであるパテックフィリップのムーブメントの大半を製造するまでに成長しました。その他にもオーデマピゲやヴァシュロン・コンスタンタンなどへムーブメントを供給した実績があります。さらに、技術力の誇示というとコンプリケーションなどの超複雑機構に目がいってしまいますが、厚み1.85mmという超薄型ムーブメントCal.849も開発しています。

 

 

 

 

 

■時計業界を代表するアイコンモデルを生み出した

 

ジャガールクルトといえば、名作“レベルソ”です。この時計業界を代表する名作を生み出すことができたことが、ジャガールクルトの強みです。そのケースを横にスライドさせると「裏返し」にすることができるデザインは、1931年に誕生しました。まだサファイヤガラスのない時代であり、ポロ競技の際に風防を守るためにこの反転デザインは作られたと言われています。

 

↑ケースを反転すると裏面を表にできるレベルソ

※画像はレベルソ・メモリー

 

どんな老舗メーカーであっても、有名モデルがないと愛好家の話題に登場しません。時計業界を代表するアイコンモデルのひとつにもなったレベルソの存在はジャガールクルトにとって、非常に重要です。

 

 

 

 

■普遍性のあるデザイン

 

最近は、2000年ごろより起こったデカ厚ブームの影響もあり、軒並みどのメーカーも時計のサイズをかつてより大ぶりなものにしています。「欧米人のような大柄な方向きで、日本人には大きすぎなのでは!?」と思わせてしまうようなラインナップをもつメーカーも存在します。さらに、デザインもインパクト重視のメーカーもあります。

 

しかし、ジャガールクルトは違います。ジャガールクルトは時計デザインに“まじめさ”、つまり“普遍性”を与えることが多いのです。俗っぽく表現すると“渋い”時計です。そして、日本人に受け入れやすいケースサイズのモデルが多い点も、日本の愛好家には嬉しい要素です。百聞は一見にしかず。下で、ジャガールクルトの2つの代表モデルを紹介します。どちらもジャガールクルトの人気を牽引するモデルです。

 

 

<ジャガールクルトの代表モデル>

 

①”レベルソ”シリーズ

↑レベルソ・クラシック(Q2518412)

 

レベルソはラテン語で「回転する」という意味を持ち、ケースを横にスライドさせて時計を“裏返し”にすることができるデザインが特徴的です。一時的に生産されていない時期はあったものの、現在でも同社の代表的シリーズであり続けています。前述のように元々は“風防を守る”という意図だったレベルソも、近年は“裏面を有効活用する”という傾向があります。例えば、“レベルソ・デュオ”というモデルは表面と裏面で別の時間を表示できる機能をもっています。その他にも裏面に様々な工夫がなされ、レベルソの面白さは尽きません。

 

また「必要は発明の母」と言われるように、レベルソも“風防を守る”という必要から誕生しており、正に機能美として誕生したデザインです。昨今によく見られるような“世間受け”という目的から誕生したデザインではなく、その意味でレベルソを産み出したジャガールクルトは新興ブランドと一線を画しています。また、一般的なレベルソはインデックスがアラビア数字ですが、誕生当時のバーインデックス文字盤を再現した復刻モデルなどもリリースされており、いかにオリジナルデザインが普遍的であったかが再評価されていると感じます。

 

 

②“マスター”シリーズ

↑マスターコントロール(Q1548420)

 

1992年から続く伝統的なラウンドケースをもつシリーズです。同時に、ジャガールクルトの技術の結晶ともいえるシリーズでもあります。シンプルなモデルだけでなく、パワーリザーブ表示、ワールドタイム、アラーム、クロノグラフ、永久カレンダーなど、テクニカルなモデルが多い事実もそれを裏付けています。シリーズがスタートした発端は、スイス公式クロノメーター規格よりも厳しい“1000時間コントロールテスト”という自社規格を通したモデルを作ることからでした(※2)。そのため、このシリーズの裏蓋には「Master Control 1000 hours」と誇らしげな刻印があります(例外はありますが)。この1000時間コントロールテストは、現在、Cal.101とアトモスを除く他シリーズにも水平展開されています。

 

 

 

 

 

 

■最後に

 

時計に限らず、“愛好家”と言われる方が愛する逸品とはどんな物でしょうか?それは、「こだわりのある」、「語れる」、「渋い」と形容される物ではないでしょうか。ジャガールクルトは、“機械屋である”というこだわりがあり、“レベルソ”という語れる名作があり、“普遍性のある渋いデザイン”を持っています。ジャガールクルトが時計愛好家に支持されるのは、必然なのかもしれません!

 

 

 

※1・・・マニュファクチュールと自称するメーカーの中には、ムーブメントの設計に関わっただけで、実際のムーブメント製造の多くの要素を外注に頼っているメーカーも存在します。このような状況において、時計のムーブメントや部品の大半を自社で作り出すジャガールクルトは、本来の意味に近いマニュファクチュール、つまり“リアルマニュファクチュール”と言われます。マニュファクチュールについては、以前の投稿をご覧ください。

↓↓↓

時計選びのときに知っておきたい!マニュファクチュールとエタブリスールという時計用語

拡大画像 20151009 161206.bmp

 

※2・・・1000時間コントロールテストについては、以前の投稿をご覧下さい。

↓↓↓

やりすぎ感がおもしろい! ジャガールクルトの1000時間コントロールテスト ~マスターコントロールから始まる自社検査~

拡大画像 20160227 181855-001

 

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