1.7.2016
ダイバーズウォッチといえば、ブランパン「フィフティファゾムス」! ~ロレックスのサブマリーナと「双璧」をなすダイバーズウォッチ~
Komehyo
ブログ担当者:篠田
「ダイバーズウォッチ」と聞いてイメージをするモデルは何でしょうか?
おそらく多くの方はロレックスの「サブマリーナ」を思い浮かべたのではないでしょうか。次にイメージされるモデルはオメガの「シーマスター」か、ロレックスのもう一つのダイバーズである「シードゥエラー」あたりになるでしょう。ここまでの発想は一般的なものだと思います。しかし、時計好きの方であれば、更にイメージするモデルがあります。それは、ブランパンの「フィフティファゾムス」です。
↑フィフティファゾムス
型式 5015-1130-71
もちろん、ブランパンの「フィフティファゾムス」をご存知でない方もいらっしゃるかと思います。それは時計ブランドとしての知名度に起因するところが大きいと思います。どうしてもロレックスやオメガと比較して、ブランパンは知名度で劣ってしまいます。さらに、サブマリーナやシーマスターは映画「007」シリーズでジェームズ・ボンドが使用したモデルということもあり、世間での認知度が高いのです(時計の世界での話ですが)。
しかし、時計愛好家は少し違った視点をもっています。時計愛好家はフィフティファゾムスを、現在のダイバーズウォッチのスタイルを確立した「双璧」の一つと認識しています。その「双璧」のひとつはロレックスのサブマリーナであり、もう一つがフィフティファゾムスです。1953年という同じ年に誕生した「同期」のモデルであり、ライバルモデルとも言えます。そう、フィフティファゾムスは時計愛好家から一目置かれており、サブマリーナと並んで評価されているのです。
今週は、ブランパンのフィフティファゾムスが時計愛好家から一目置かれている点を紹介いたします。
■フィフティファゾムスは現在のダイバーズウォッチの祖!
ブランパンは1735年に時計師のジャン・ジャック・ブランパンが創業した現存する最古のブランドと目されています(※1)。1980年代からは、「1735年以来、ブランパンにはクォーツ時計はありません。これから先もクォーツとは無縁です」というスローガンを挙げ、丸型の機械式時計にこだわりハイクオリティな時計を作り続けています。
そのブランパンの代表モデルの一つがフィフィティファゾムスです。1953年にフランス軍の潜水隊向けに開発されました。前述したように、現在のダイバーズウォッチのスタイルを確立した「双璧」の一つであり、元祖ダイバーズウォッチと言われています。ここで、「あれ、1953年?ダイバーズウォッチはもっと以前からあったような?」と感じる方は、ある程度時計に明るい方だと思います。確かに「防水時計」という観点では、ロレックスが防水構造を持つケースである「オイスター」の特許を取ったのが1926年です。さらに「潜水用時計」という観点からみても、パネライのラジオミールは潜水用腕時計として1930年代に作られています。つまり、フィフティファゾムスは「世界初の防水時計」や「世界初のダイバーズウォッチ」というわけではありません。
<防水・潜水用腕時計のトピック>
1926年
ロレックスが防水ケース「オイスター」の特許取得
1936~1938年
パネライが潜水用腕時計「ラジオミール」を製作開始
1953年
フィフティファゾムスとサブマリーナの登場
⇒フィフティファゾムスが世界初の防水時計やダイバーズウォッチというわけではない
実は、フィフティファゾムスが元祖ダイバーズウォッチとして評価されているのは、「現在の定番ダイバーズウォッチのスタイルを作り上げた」という点なのです。もちろん「双璧」ですので、同年に登場したロレックスのサブマリーナも同じ評価です。では次に、「定番ダイバーズウォッチのスタイル」とは何なのかという話です。
「定番ダイバーズウォッチのスタイル」はつまり、
この写真のスタイルです。
特徴は以下の3点です。
①「回転ベゼル」をもつ
②高い防水性
③高い視認性
上の3点の特徴をみると、フィフティファゾムス(サブマリーナもですが)を語るときに重要になるのが「回転ベゼル(※2)」であることがわかります。なぜならば、パネライのラジオミール、さらにその後のルミノールも、フィフティファゾムスと同じく高い防水性と視認性を持っている潜水用時計でした。しかし、「回転ベゼル」をもっていませんでした。これが大きな差です。つまり、フィフティファゾムスは高度な防水性能や、視認性の高い夜光塗料だけでなく、潜水時間を計測するための目盛りがついた「回転ベゼル」をもっていました。これが現在の定番となり、フィフティファゾムスはダイバーズウォッチの祖と評価されるのです。
■フィフィティファゾムスのモデル紹介
ヴィンテージのフィフティファゾムスは1953年に登場し1970年代初頭まで作られたと言われます。しかし、その後しばらくフィフティファゾムスが製造されることはありませんでした。しかし、近年になってフィフティファゾムスが復活しています。
・トリロジーフィフティファゾムス
1999年には、まったく新しいフィフィティファゾムスが登場しました。 最大の特徴はやはりベゼルの変化です。ヴィンテージ時代のブラックを基本としていたものから、 ステンレススチール製のベゼルへと大きく変更されました。生産終了になった今でも多くの人気を集めています。
・元祖フィフィティファゾムスの復刻
初代から50周年の節目の年、2003年に限定復刻として登場しました。デザインは1953年のオリジナルを忠実に再現しています。世界で初めて回転ベゼルにサファイアクリスタル素材を取り入れました。
・レギュラー化したフィフティファゾムス
2007年、ついにフィフィファゾムスが自社ムーブメントを搭載してレギュラーラインとして復活しました。
・生まれ変わったフィフティファゾムス「バチスカーフ」
2013年にはヴィンテージ時代の亜種であるバチスカーフの復刻モデルが登場しました。薄型の回転ベゼルは普段使いにも良く、エレガントな雰囲気を演出します。
いかがでしたでしょうか? 今回はダイバーズウォッチの祖と言われるブランパンのフィフィティファゾムスを紹介させていただきました。「回転ベゼルスタイル」を、同胞のサブマリーナと共に浸透させた功績はとても大きいものでした。その功績もあり、フィフティファゾムスは時計愛好家に一目を置かれている存在なのです。
ブランパンのフィフティファゾムス、まさに歴史のマスターピースです!
※1・・・「現存する最古の時計ブランド」の称号はブランパンに与えられることが定着しています。ただし、ブランパンは経営難で一時的に休眠していた時期があります。この時期を単なる「休眠」とみなせばこの称号はブランパンに与えることになりますが、「途切れた」とみなせば評価が変わります。時計業界ではかつての高名なブランドや時計師の名前の使用権を得てブランドを新たに起こすことがありますので、「過去と繋がっている」とみなすか「権利を買って興した新興ブランド」とみなすかでイメージが変わります。ただ、一目置かれているブランパンは、前者として評価されることが一般的です。
※2・・・回転ベゼルについては過去のブログ「ロレックスの回転ベゼルの魅力~ユーザーが悩むアルミとセラクロム~」でも話題にしております。是非、ご確認ください。
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