4.6.2024
ロレックス ムーブメント その魅力と凄さとは!?
Komehyo
スポーツモデルを中心に、絶大的な人気を集めるロレックス。多くの人がロレックスのデザインに魅了されていますが、デザインだけではなく、中身である”ムーブメント”について今回はご紹介いたします。
少しマニアックな話になりますが、ぜひ最後までご覧ください。
▼目次
ロレックスの3大発明
機械式時計の弱点
ロレックスムーブメントの3つのポイント
①利便性を追求している点
②耐久性を追求している点
③トレンドリーダーな点
編集長が魅了された部品
◾️ロレックスの3大発明
ロレックスは、
①オイスターケース:防水性を高めたケース
②パーペチュアル:自動巻き時計の基礎
③デイトジャスト:日付の瞬時切り替え機能
という3つの発明をしています。これは、どれも今、多くの時計に使われている機能です。
時計業界の基礎は”ロレックスが創った”といっても過言ではありません。
◾️機械式時計の弱点
機械式時計には大きく分けて、以下の3つの弱点があります。
・衝撃に弱い
・磁気に弱い
・部品のすり減り
これらの弱点をロレックスは克服するために努力しています。同時に、より使いやすくなるように改良を続けています。
◾️ロレックスムーブメントの3つのポイント
①利便性を追求
・2日巻き⇒3日巻きパワーリザーブへの改良
今まではゼンマイを巻いて放っておくと、2日間しか持たない、2日巻きパワーリザーブというのが一般的ですが、”ロレックス”は3日間持つ、3日巻きパワーリザーブを実現しました。
他社でもロングパワーリザーブの開発は行われていましたが、大きな香箱に大きなゼンマイを搭載する方法や、複数のゼンマイを搭載するという方法のため、時計の大きさも大きくなる傾向にありました。
しかし、”ロレックス”は、「時計の大きさは変えずに、2日巻きから3日巻きにしたい」という開発方針のもと、「ゼンマイを入れる香箱の壁を薄くする」ことでそれを達成しました。
・高精度を実現するクロナジーエスケープメント
時計の精度の核となる”脱進機”といわれる部品は、テンプの他に”ガンギ車”や”アンクル”といった部品で構成されています。ロレックスは、これらの設計と素材を見直すことで、より精度の安定する時計を実現しています。例えば、部品素材には、ニッケル・リン合金を採用し、”ガンギ車”は肉抜きで軽量化し、さらに、アンクル側の設計をより効率の良いものに見直しました。これらの技術を採用したロレックスの脱進機は、「クロナジーエスケープメント」と呼ばれる新たな発明です。
・日付変更禁止時間の克服
一般的な機械式時計には日付の変更禁止時間があります。これは、夜中に日付が変わるタイミングと、同じタイミングでリューズで日付を変更をしてしまうと、日付ディスクを「夜中に自動で動かす歯車」と「リューズ手操作で動かす歯車」のが両方が日付を変更しようと動作してしまい、歯が欠けてしまう故障が起こるからです。そのため、夜中の0時から前後数時間の間は、基本的にリューズでの日付変更は禁止となっています。
しかしながら、ロレックスはこの日付変更禁止時間帯を無くすため、歯車にバネ性を持たせました。リューズ手操作で動かす歯車の干渉があっても、歯車が引っ込むような設計となっているため、ロレックスの時計は日付変更時に支障がありません。
②耐久性を追及
・衝撃性 、耐磁性を高めるブルーパラクロムヘアスプリング
画像の青色の部品は、ヒゲゼンマイと呼ばれる部品です。ロレックスは、ヒゲゼンマイにブルーパラクロムヘアスプリングと呼ばれる部品を使用しています。
ブルーパラクロムヒゲゼンマイは、ニオブ、ジルコニウム、ハフニウムといった素材で出来た新合金で、その素材特性で衝撃と磁気に強いという特性を持っています。
・耐震装置の性能を飛躍させるパラフレックスショックアブソーバー
脱進機の部分の上にある、赤いルビーの上に載っている金色の部品は、パラフレックスショックアブソーバーです。
この脱進機という部品は時計のペースメーカーで、衝撃に弱い部品です。しかしながら、ロレックスのパラフレックスショックアブソーバーは、元あった位置にこの脱進機を戻す能力が高く、衝撃に強い設計がされています。
・他社とは違う ボールベアリングローター
ロレックスは、以前はローターの軸に棒タイプの軸を使っていましたが、32系の機械からボールベアリングローターを採用しました。このボールベアリングローターは他社でも使われている部品ですが、一般的には5~7個のボールベアリングを使用してきました。しかし最近、ロレックスでは20個以上のボールベアリングを使用するようになってきています。これは、おそらく回転の安定性や摩耗対策のため導入されていると考えられます。
・耐摩耗性と軽量化を実現した赤い歯車
赤色のレッドアルマイト加工された歯車は、ロレックスムーブメントの特徴ともいえる部品です。
こちらは前モデルの31系でも採用されていましたが、32系ではさらに進化しています。レッドアルマイト加工だけではなく、肉抜きもされているため、耐摩耗性に加えて軽量化も図られています。
③トレンドリーダーであること
・重りで精度調整を行うフリースプラング
フリースプラングは、時計の精度調整を行うために使われる部品です。精度調整の際には青いヒゲゼンマイという部分を直接触って精度調整するというのが一般的な時計に対して、ロレックスは周りについている重りで精度調整をすることができます。この技術は時計業界としても比較的特殊な機能ですが、自社ムーブメントを採用するメーカーだからこそ採用することができた部品です。
最近は、自社ムーブメントを創るメーカーが増えてきましたが、自社ムーブメントを作る際は、このフリースプラングを採用するのが一般的になってきたので、ロレックスがトレンドリーダーであると言えます。
・エラーなしを実現した垂直クラッチ
垂直クラッチとはクロノグラフの動力を繋げる際に、横に歯車が繋がるのではなく、縦方向に2つの歯車がくっついて回るという仕組みになっています。
歯車を水平にドッキングさせる従来の繋ぎでは、まれに歯先と歯先が、つまりギザギザの先端同志が当たると、歯車を無理やり少しずらしてから噛み合うので、針が0位置からスタートしない現象を起こします。しかし垂直クラッチでは、横方向ではなく縦に繋ぐことで、歯車同志の嚙み合わせがずれないため、スタート時の針飛びなしでクロノグラフがスタートできるようになりました。こちらも2000年にロレックスがデイトナにこの機能を搭載して以来、他社メーカーでも採用されるようになりました。
その他、3日間パワーリザーブ等も最近のトレンドになっているため、ロレックスは常に時計業界のトレンドリーダーとして活躍していることが分かります。
そのため、ロレックスが新しいムーブメントを創るたびに、”どんな技術を投入するのか””どんな一手を打ってくるのか”は時計業界や時計好きには非常に大きなトピックになっています。
◾️編集長が魅了された部品
最後に私がロレックスムーブメントで一番すごいと感じている部分をご紹介します。それは、ほとんどのモデルで”巻上ヒゲ・ブレゲヒゲ”を採用していることです。
このゼンマイはパテックフィリップやブレゲといった高級ブランドメーカーでも本当に一部でしか採用されないヒゲゼンマイです。それを(正確な数字は明かされていませんが)年産で70万といったように、一般メーカーの何倍も多い数を作っているにも関わらず、多くのモデルで採用をしていることが、ロレックスのすごい部分だと考えています。
今回ご紹介した時計は、以下の動画でもご説明しています。
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