31.5.2019
現在、注目される人気デザイン「ジェンタ系」とは? ~ロイヤルオークに影響を受ける時計~
Komehyo
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ブログ担当者:須川
■現在、注目されるデザイン「ジェンタ系」とは?
現在、時計業界では、“モデルの人気格差”が激しくなっています。その人気格差の中で勝ち組となっているモデルは、中古価格がメーカーの新品価格を上回るほどで、まさに「取り合い状態」となっています。
その人気格差で勝ち組となっているモデルを具体的に挙げると、「ロレックスのスポーツモデル」、パテックフィリップの「ノーチラス」、オーデマピゲの「ロイヤルオーク」などでしょう。
ロレックスのスポーツモデルに関しては、かつてより、時計業界の最人気モデルでした。しかし、ノーチラスとロイヤルオークに関しては、ここ何年かで大きく人気を高めました。この両モデルについては、中古市場の価格上昇率で見ると、ロレックスの上昇率を凌ぐかもしれません。それだけ、ノーチラスとロイヤルオークは評価を高めた印象です。
つまり現在、時計業界では、ノーチラスやロイヤルオークの注目度が増しているのです。
そして、この2つのモデルには有名な共通点があります。それは、同じデザイナーが手がけたことです。実は両モデルともに、ジェラルド・ジェンタ氏がデザインを手がけており、1972年にロイヤルオーク、1976年にノーチラスが誕生しています。
ジェンタ氏は、「時計界のピカソ」との異名を持ち、たくさんの有名なモデルを手がけています。そして、そのジェンタ氏の出世作がロイヤルオークであり、それに続くモデルがノーチラスです。これらがジェンタ氏の初期作品ということもあり、きっと、時計愛好家の方が“ジェンタ作品”を思い浮かべると、真っ先にロイヤルオークやノーチラスが出てくるでしょう。まさに、ロイヤルオークとノーチラスは、ジェンタ氏のデザインを強烈に表しているモデルなのです。
↑ジェンタ氏の代表作ロイヤルオーク
そして最近は、ノーチラスやロイヤルオークの人気を受けて、それらの作品に影響を受けたデザインのモデルが増えています。そこで今回は、ジェンタ作品に影響を受けたデザインをもつ作品を、「ジェンタ系」と表現させていただき、紹介させていただきます。
■ジェンタ系の特徴
まずは、ジェンタ系作品の特徴を説明します。
ジェンタ氏のデザインの特徴はたくさんありますが、私は、「立体感」「ブレスレット一体デザイン」という2点を大きな特徴として挙げます。
①立体感
デザインに立体感を感じることができる要素を与えます。下に、立体感を与える要素を挙げておきます。
・肉厚ベゼルの採用
・ベゼルとケースの形状を変えて重層感を見せる
・文字盤に凹凸を作る
②ブレスレット一体デザイン
時計デザインは、本体ケースとブレスレットは「別部品を組み合わせたもの」という印象のものが一般的です。しかし、ジェンタ氏のデザインは、時計ケースとブレスレットがトータルでデザインされています。
この2つの点が、ジェンタ系の大きな特徴です。
■最近、人気のあるジェンタ系モデル
ノーチラスやロイヤルオークの人気を受けて、最近は、ジェンタデザインの影響を受けたであろう“ジェンタ系モデル”が増えています。そして、増えただでけなく、そのジェンタ系モデルが人気を博しているのです。その理由は明らかです。きっと、ノーチラスやロイヤルオークは大変高価だからでしょう。
つまり、「手に届きやすい価格で提供されるジェンタ風デザイン」として受けているのでしょう。
では、最近人気のジェンタ系デザインのモデルを紹介します。
<最近人気のジェンタ系デザインのモデル>
①ゼニス「デファイ」
2017年に登場した現行モデルの「デファイ」は、立体感とブレスレットとの一体感を備え、まさにジェンタ系という印象です。かつて存在したデファイよりも洗練されたデザインで人気を獲得しました。スケルトナイズされた文字盤から、ゼニスの自社製ムーブメントを覗かせる良作です。
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②ジラールペルゴ「ロレアート」
こちらは、2016年以降にリニューアルされた、現在の「ロレアート」です。かつてのロレアートよりも、圧倒的に質感を高めています。多くの有名人も愛用しており、人気は高まるばかりです。詳しくは、以前の投稿「時計業界に新たなヒット作誕生!? 今、ジラールペルゴの「ロレアート」が熱い理由」をご覧ください。
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③モーリスラクロア「アイコン」
かつての人気モデル「カリプソ」から進化したモデルが「アイコン」です。2016年に新たな看板モデルとして再び表舞台に登場しました。高級時計として入門価格でありながら、価格以上の品質を実現しています。立体感やブレスレットの一体感を、購入しやすい価格で体験できる点は、多くの支持者を作ったようです。2016年にクォーツモデル、2018年には機械式モデルが追加され、お好みで選択できるラインナップとなっています。
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■最後に
今回は、3つのジェンタ系モデルを紹介しました。これらは前述の通りですが、2016~2017年に登場しています。そして、その開発期間を加味すると、各メーカーはその数年前から、ジェンタ系への市場の需要を感じていたことになります。
私の想像ですが、おそらく、ジェンタ系デザインの投入に踏み切るに当たって、各メーカーは、「デザインをどうしよう?」と困ったに違いありません。なぜなら、ロイヤルオークやノーチラスはデザインの特徴が強いため、「同じジャンルで違うモデルをデザインすることは難易度が高い」と考えられるからです。
例えば、
「ジェンタデザインに似過ぎないように」
「ジェンタデザインに対する需要にマッチするデザインで」
「ブランドとしての独自性も欲しい」
などと考えたかもしれません。
このような考えで作品を作り出すことは、少し難しく感じます。しかし、ゼニス、ジラールペルゴ 、モーリスラクロアは成功します。私は、その成功した要因に、「ベースにできる過去のモデルがあったこと」を挙げます。
つまり、彼らには、「旧デファイ」「旧ロレアート」「カリプソ」という過去にリリースした作品がありました。新規モデルではなく、「過去のモデルの進化」という形でリリースすることにより、独自性を保ったまま正当性をもってジェンタ系モデルを作れたのです。
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