22.2.2019
人気時計ブランドの主力パイロットウォッチを紹介 ~パイロットウォッチとはどんな時計?~
Komehyo
ブログ担当者:後藤
パイロットウォッチと言えば、「飛行機の操縦者用の時計」であることが本義で、飛行機の操縦士にとって使いやすいように作られたものです。
しかし現代では、“飛行機パイロットではない人”が、パイロットウォッチを購入することが多い状況です。では、なぜ多くの“飛行機パイロットではない人”が、わざわざパイロットウォッチを選択するのでしょうか?私はその理由を、「パイロットウォッチは様々なシーンに対応できる時計だから」と考えています。
上に書いた「様々なシーンに対応できる」とは、“環境”と“場面”の両面の意味があります。例えば、パイロットウォッチの多くは、本来ミリタリーウォッチの一種ですので、「劣悪な環境化においても、腕時計として高い実用性を発揮する」点。そして、仕事の日、オフの日、さらに冠婚葬祭など、「幅広い場面にも対応できるデザイン性がある」点です。
まさにパイロットウォッチは、ダイバーズウォッチと並んで、“現代におけるマルチロールな実用時計”なのです。
今週は、皆さんが「パイロットウォッチって良いね!」と感じていただけるように、パイロットウォッチを特集します。具体的な内容として、今回は、時計業界の人気ブランドが作る“主力パイロットウォッチ”を紹介させていただきます。
■パイロットウォッチとは?
まずは、「パイロットウォッチとは何?」という点を説明します。もちろん、冒頭でも書きましたが、パイロットウォッチは「飛行機の操縦者が使いやすい時計」のことです。ただし、この説明では曖昧なところもありますので、もう少し説明を加えます。
まず飛行機の歴史を振り返りますが、最初の有人飛行は、1903年のライト兄弟の飛行です。つまり、飛行機の歴史は、まだ100年を越えたばかりなのです。また、1906年に飛行に成功したサントス・デュモンは、時計業界ではカルティエに腕時計を依頼したことでも有名です。その後、1927年にニューヨーク-パリ間の飛行に成功する人物が、チャールズ・リンドバーグです。実は、そのリンドバーグのアイデアから、ロンジンの「アワーアングルウォッチ」が誕生します。この時計は、時計上で経緯度の計算が容易にでき、現在位置の特定に役に立つ時計です。このアワーアングルウォッチが、パイロットウォッチの黎明期の傑作でしょう。
↑ロンジン「アワーアングルウォッチ」
実は、パイロットウォッチには公式な定義は存在しません。ただ私は、「パイロットへの役立ちがある時計」ということが、パイロットウォッチの定義だと考えています。例えば、先に紹介したアワーアングルウォッチでは、「経緯度の計算が容易にできる」というパイロットへの役立ちがありました。これは一例ですが、「パイロットに役立つ」意図で作られたことが重要なのです。
その他の“パイロットへの役立ち”としては、
・高い視認性
→強い日差しや暗所でも時間が読み取れる
・高い耐磁性
→コックピット内の磁気でも狂わない正確性
・操作性の高いクロノグラフ搭載
→グローブをしたままでも操作ボタンを押しやすく、確実に経過時間を計ることができる
・フライトコンピュータ搭載
→飛行に必要な様々な計算ができる
などがあります。
パイロットウォッチがこれらの要素を全て備えるわけではありませんが、少なくとも、何かしらの“パイロットへの役立ち”要素はもっています。
そして2008年には、ジンが、アーヘン応用科学大学と共同で「テスタフ(TESTAF)」というパイロットウォッチの規格を作りました。これは、認知度もまだまだですが、パイロットウォッチとしての指針が示されたようにも感じます(※1)。
また、パイロットウォッチは、軍用時計として作られたものもあれば、民間用パイロット向けに作られたものもあります。ただし、どちらかと言うと、軍用時計としてつくられたものの方が「パイロットウォッチ」という印象が強いと思います。このように、パイロットウォッチの定義は様々ですが、少なくとも、高い実用性があることは確かです。その実用性が故に、多くの“飛行機パイロットではない人”がパイロットウォッチに魅力を感じるのでしょう。
■人気ブランドのパイロットウォッチを紹介!
では、時計業界を代表するパイロットウォッチを紹介しましょう。
①IWC 「マークシリーズ」
一般層への普及としては、1994年発表の「マーク12」から本格化する、IWCきってのパイロットウォッチ。現在は、「マーク18」まで世代を進めています。
<特徴>
・シンプルデザイン
・視認性が高い
・磁気に強い
特にIWCの時計は、マークシリーズに限らず多くのモデルが、人や場面を選ぶことなく使える印象があります。まさに、“実用時計の鉄板”と呼ぶにふさわしい印象です。パイロットウォッチとしては、その他に大ぶりなサイズの「ビッグパイロットウォッチ」もあります。
↑ビッグバイロットウォッチ
②ブライトリング「ナビタイマー」
1952年に登場したシリーズで、フライトコンピュータ(航空用回転計算尺)が目を引くモデル。ベゼルを回転させる事によって文字盤外周のリングが連動して動作し複雑な計算も短時間で行うことができます。
<特徴>
・パイロットウォッチの代表格
・フライトコンピュータ機能搭載
・クロノグラフ機能搭載
過去の飛行機乗り達は、この機構を使い複雑な計器の補完を行っていたそうです。メカメカしいデザインが、男性の心をくすぐるようなモデルではないでしょうか。また、ブライトリングは、「クロノマット」というもうひとつのパイロットウォッチを持っています。
↑クロノマット
③ロレックス「GMTマスター」
1955年にロレックスがパンアメリカ航空のパイロットへ向けて作成したモデル。現在は「GMTマスターⅡ」が唯一の現行モデルですが、かつては「GMTマスター(Ⅰ)」も存在しました。ベゼルカラーのバリエーションも多彩で、マニアの間ではコーク(赤×黒)、ペプシ(赤×青)、バットマン(青×黒)と言った愛称で親しまれています。
<特徴>
・パイロットウォッチの枠を超えた、超人気モデル
・カラーバリエーションが豊富
・GMT機能搭載
また、昨年には新作モデルも登場しており、中古相場も高騰を続けています。今が旬であることは間違いないです。
④ブレゲ「タイプXXアエロナバル」
1950年代フランス軍からの受注を受けて誕生したブレゲのパイロットウォッチ。現代では、「タイプXX(20)」「タイプXXI(21)」「タイプXXII(22)」と世代を進めますが、大ヒット作はタイプXXのノンデイトクロノグラフである「アエロナバル」でしょう。その名前も、海軍航空部隊(アエロナバル)へ向けて作られたところが由来となっています。
<特徴>
・ハイランクなパイロットウォッチ
・フライバッククロノグラフ機能搭載
・側面には“コインエッジ装飾”があり、ブレゲらしいデザイン
また、バンドを金属、革、ナイロンベルトのどれに変更してもしっくりと馴染むデザイン性があります。きっと、違った味を楽しむことができるでしょう。無骨で男らしく、渋いデザインが目を引く大人の為のパイロットウォッチです。
↑後継モデル「タイプXXI」
⑤ジン(Sinn)「556シリーズ」
ジンは1961年創業と業界内では比較的新しい時計メーカーです。ただし、創業したのは元ドイツ軍パイロットであったヘルムート・ジン氏によるものです。その時計作りは元パイロットの経験を活かしたもので当時のパイロット達が求めていた機能性、視認性、堅牢性を実現した物であり、実際にドイツ空軍にも採用されていた過去もあります。
<特徴>
・ドイツらしい質実剛健なデザインのパイロットウォッチ
・高い視認性
その根底には「使う為の時計」を作るといった哲学が垣間見えます。紹介モデルの556はシンプル且つハードボイルド、無骨でありながら実用性に優れたモデルです。蛇足ですが僕も556を愛用していますが本当に使い勝手のよさを実感しています。
■最後に
ここまでいくつかのメーカーの主力パイロットウォッチを紹介させていただきました。それぞれのメーカーにより様々なデザインが有り、メーカーの意匠を汲み取りながら製作したことがよく分かります。例えばIWCの様な王道を行くメーカーがあるのに対し、ジンの様に実用性を突き詰めていくメーカーもあるわけです。それはメーカーにより勿論異なり、シンプルなデザインの中でも全く異なる個性を感じることが出来るのです。
「どのような状況」でも気兼ねなく使えるパイロットウォッチ。是非一本お手にとって見てはいかがでしょうか!
※1・・・テスタフにつていは、ジンの公式ブログに詳細があります(こちら)。
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