1.5.2015
【時計の名作を知る】ジャガールクルト「マスターブラック ジオグラフィーク」
Komehyo
ブログ担当者:長谷川
今週はシリーズブログ「ネクストヴィンテージ ※1」の第2回として、ジャガールクルトの銘品として知られる「マスターブラック ジオグラフィーク」(型式Q1428470)について書かせていただきます。
↑「マスターブラック ジオグラフィーク
(型式Q1428470)
■ジオグラフィークは表現に革新を起こした傑作
世界の複数都市の時刻を把握できるワールドタイマーウォッチの中でも、1990年に製造されたジャガールクルトのジオグラフィークは特にその表現に革新を起こした傑作です。「瞬時に」別の国の都市の時刻を表示し、世界中を頻繁に移動する人のために世界中の複数のタイムゾーンを一つのダイヤル上に表示します。そして、特筆すべきはそのバランスの美しさです。6時位置のセカンドタイムゾーン、2時位置のポインターデイト、10時位置のパワーリザーブインジケーターのバランスはとても秀逸で、直感的に我々が「美しい」感じる意匠をもっています。
独創的な操作方法(10時位置のリューズを回すだけで6時位置のセカンドタイムゾーンが変更できる)と実用的な表示方法は、ジャガールクルトというリアルマニュファクチュールだからこそ実現できた表現なのではないでしょうか。通常のメーカーであれば「汎用のムーブメントの設計」に沿った外観の時計を作るしかないからです。ジオグラフィークのように、実用的でかつ革新的な技術を表現するには内部から自社設計する必要があります。それをジャガールクルトは「当たり前」のこととして行っており、他のメーカーと一線を画しています。
そして今回紹介するモデルは、その「マスタージオグラフィーク」のブラックフェイス版です。
■マスターブラックとは?
マスターシリーズに途中から加わった「マスターブラック」シリーズは、それまでのスタンダードダイヤルカラーをブラックフェイスで表現し、新たなデザインとして作り変えました。その際にシースルーバックという特典も付加し、時計愛好家にとっては嬉しい試みでした。
↑ブラックフェイスにはシースルーバックが与えられる
どことなくこのシリーズが発表される前までのジャガールクルトには、堅実な技術と邪魔にならない機能美をめざしている印象をもっていました。しかし、このシリーズの登場により、「美しく見せる」ことを意識した機能美に挑戦し、更なる高みへ挑戦していく姿勢を見せているように感じます。
まさに「マスターブラック ジオグラフィーク」は激動の90年代を抜け出すためのジャガールクルトの挑戦を感じさせる一本ではないでしょうか。
※1・・・90年代前後に生産されたものを中心とした廃盤品の中から「銘品」といわれるものをピックアップし、事実と主観を交えながら綴るシリーズブログ
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