19.1.2018
ブライトリング|分かりますか? ナビタイマーとモンブリランの違い
Komehyo
ブログ担当者:篠田
ブライトリングの代表作に「ナビタイマー」があります。さらに別のシリーズとして「モンブリラン」があります。
↑左:ナビタイマー、右:モンブリラン
皆さん、上の画像を見比べて違いがお分かりになりますか?正直、そっくりだと思います。もちろん細かなところを見ると異なるポイントがあるのですが、“別のシリーズ”と言われると「えっ!」っと感じるのではないでしょうか。ブライトリングの公式ホームページを見ても、しっかりと別のシリーズとして区分けしていますので、「同じシリーズ内の兄弟モデル」というわけではありません。
「なぜ似たモデルなのに、別シリーズになっているのか?」と疑問に感じませんか?
そこで今回は、ナビタイマーとモンブリランの違いについて紹介いたします。
■ナビタイマーとモンブリランのコンセプトの違い
まずは、ナビタイマーとモンブリランの違いを理解するために、モデルコンセプトを掘り下げて見てみましょう。ブライトリングの公式ホームページには、以下のように書いてあります。
↑コンセプトが違う
・ナビタイマー
“世界初の航空計算尺付きクロノグラフとして誕生。管制塔やレーダーが無かった当時、パイロットはこの革新的計器を腕に速度や燃費を計算しながら空を飛んだ。”
・モンブリラン
“1940年代~1950年代のスタイリングとパイロット用回転計算尺を備えたクロノグラフ、それがモンブリラン。”
公式ホームページには、上のように紹介されていました。ポイントは、モンブリランが「1940年代~1950年代のスタイリング」と言っていることです。年代のことに言及していますので、ここで、ブライトリングの過去も絡めてお話しします。
実は、「1940年代~1950年代のスタイリング」とは何のことなのかを考えると話がつながるのです。1940年代から存在するブライトリングのパイロットウォッチと言えば、1942年に誕生した「クロノマット(初代)」を指します。そして、1950年代のパイロットウォッチと言えば、1952年に誕生した「ナビタイマー(初期)」を指します。
要するに、モンブリランは初代クロノマットと初期のナビタイマーのスタイリングを取り入れたモデルなのです。
ただし注意点があります。“現在のクロノマット”と“初代クロノマット”を混同しないで欲しいのです。初代のクロノマットは、「回転計算尺」を世界で初めて腕時計に搭載した時計でした。掛算、割り算を計算できるエンジニア向けの特殊時計です。初代クロノマットはナビタイマーの原型になったモデルであり、外観はナビタイマー寄りのデザインでした。しかし、現在のクロノマットは1984年に誕生したモデルを起源としています。これらは“全く別のもの”と考えても差し支えないでしょう。
↑現在のクロノマット
続いては、ナビタイマーについてです。先述のように、ナビタイマーは1952年に誕生しました。初代クロノマットの誕生から10年後のことです。こちらは回転計算尺にパイロット用のスケールを組み込んだ「航空計算尺」を搭載したモデルです。航空計算尺の採用により、速度や燃費・上昇・下降距離など航空計算が即座に行え、キロ・海里・法定マイルの単位換算機能も備わりました。
つまり、ナビタイマーは、初代クロノマットの「回転計算尺」をさらに進化させたモデルなのです。
初代クロノマットとナビタイマーがそっくりなことも、当然と言えば当然なのです。そして実は、ナビタイマーとモンブリランは今でこそ別のシリーズとして確立していますが、過渡期は「ナビタイマーモンブリラン」として展開されていました。そのため、初期から中期のモンブリランには、文字盤や裏蓋に「ナビタイマー」の文字があります。
では、ここまでのまとめとして、両シリーズのコンセプトを下に整理しておきます。
<モンブリラン>
「初代クロノマット、初期ナビタイマーのスタイル」を表現するシリーズ
→1940~50年代の“クラシック”を表現
<ナビタイマー>
1952年のナビマイマーの系譜(時代とともに進化)
→“クラシック”を表現する意図はなく、“時代に合う最新のスタイル”で開発される
■モンブリランの魅力
ここまでで、モンブリランは“クラシック”を表現するシリーズということを紹介しました。ここで、「どのようにクラシックを表現しているのか」という点、そしてモンブリランの魅力を紹介しましょう。
↑モンブリラン
まず「モンブリラン」という名称ですが、これは“モンブリラン通り”に由来します。この通りは、1892~1979年の間、ブライトリング本社の建物のあった場所です。この場所でクロノグラフの革新的な発明や今日まで残るブライトリングの様々な技術が生まれました。
モデルとしてのモンブリランは、1995年に発表されました。その後様々な派生モデルが登場しますが、今回は基幹モデルに限定して話します。なんと言ってもケース直径38mmという小ぶりサイズが魅力です。通常のナビタイマーが40mm以上あるので、まさに小ぶりなモンブリランはクラシックです。
また、文字盤デザインにもこだわりがあります。それは、文字盤中心に“赤いデシマルメーター”がある点です。これは初代クロノマットにも採用されており、1940年代デザインのオマージュとしても魅力です。もちろん、通常のナビタイマーには“赤いデシマルメーター”はありません。
さらに別の点として、ロゴ印字にも見所があります。登場後しばらくのモンブリランは、文字盤の「BREITLING」の印字が筆記体でした。現在は筆記体ではなくなりましたが、以前のモデルではこの書体が特徴でもありました。細かな点ですが、かつてのブライトリングのロゴを再現しており、クラシック感を感じるポイントでした。
↑赤いデシマルメーターと筆記体ロゴ
小ぶりなサイズ感。そしてかつてのブライトリングのディテールの再現。まさにモンブリランは、「クラシック」な雰囲気が好きな方にうってつけのシリーズです。
◾️モンブリランの系譜
ここまで読んでいただいて、きっとモンブリランに興味が出た方もいらっしゃるかもしれません。そこで、最後にモンブリランの系譜の紹介です。
1st:日付表示なし
↑モンブリランA30030
(38mm/日付なし/筆記体)
2nd:日付表示あり
↑モンブリランA41030
(38mm/日付あり/筆記体)
3rd:裏蓋にクロノメーター表記が入る
↑モンブリランA41330の裏蓋
(38mm/日付あり/筆記体)
4th:文字盤変更(筆記体ロゴではなくなる)
↑モンブリランA41370
(38mm/日付あり/筆記体ではない)
※限定モデルで筆記体が存在
5th:サイズUP/自社ムーブメントへ
↑モンブリラン01 AB0130
(40mm/自社キャリバー/筆記体でない)
このように、「日付表示の有無」、「筆記体ロゴかどうか」、「クロノメーター表記」、「サイズ/ムーブメント」などの点が、違いを生み出しています。
個人的には、ケースサイズに大型化トレンドが起こる2000年以降も、ケースサイズをしばらく38mmに据え置いた点を評価したいです。そして、40mmサイズになった現在も、ブライトリングのラインナップとしては小ぶりな部類です。これからもモンブリランには、ブライトリングの「クラシック」であり続けて欲しいです!
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