19.2.2016
ロレックス エクスプローラーⅠは「14270」「114270」「214270」のどれを選べばよいか?
Komehyo
ブログ担当者:篠田
ロレックスのフラッグシップモデル「エクスプローラーⅠ」。日付表示がなく、文字盤の種類も黒文字盤のみ、ケース素材もステンレスのみという究極のシンプルウォッチです。シンプルがゆえにどんな服装にも溶け込み、「ロレックスの中でも最も使いやすい」と評価する声も多いモデルです。
1950年代に登場したエクスプローラーⅠは、時代の変化と時計技術の進歩に応じて進化をし続けています。その進化の中で、サファイアガラス(※1)を風防に採用した1990年以降のモデルは「現代のエクスプローラーⅠ」というひとつの括りで見ることもできます。
つまり、「現代のエクスプローラーⅠ」とは、
1990年代の「14270」
2000年代の「114270」
2010年より現在まで続く「214270」
です。
これらの3つのモデルは市場で流通量が多い状況にあります。その状況は、エクスプローラーⅠの購入を検討する方に「頭を悩ませる3つの選択肢」を与える状況になっています。では、この3つのモデルの中でどれを選べばよいのでしょうか?どのモデルにも良さがあり、さらに嗜好の問題も大きく影響しますので、その答えは簡単なものではありません。しかし、時計に携わる仕事をしている私からの個人的な意見であれば、明確に回答することができます。
私のおすすめは「114270」です!!
誤解が無いようにしたいのですが、これは飽くまで私の個人的な好みで選んだおすすめです。ただし、私なりの明確な理由があります。今週は私がこの回答に至った理由を紹介させていただきます。
↑先代モデル「114270」を私はおすすめします
■3つのポイントから見る14270、114270、214270の違い
まずは、3つの世代のエクスプローラーⅠの違いをご理解いただく必要があります。「ケースサイズ」「夜光塗料」「ブレスレット」の3つのポイントから違いを紹介していきます。そして、私が114270をお勧めする理由にも言及します。
↑14270(114270もほぼ同じ外観)
↑214270
<ケースサイズ>
14270と114270は共にケース直径が約36mmとやや小ぶりなサイズとなっています。現行モデルの214270は39mmとサイズアップしています。つまり、214270は約3mm大きくなりました。
ここからはケースサイズについて個人的な好みを書かせていただきます。エクスプローラーⅠは無駄のないシンプルなデザインが特徴の時計です。シンプルなデザインであれば、私は文字盤内に「間延び感」が少なくなる36mmの方が好きです。つまり、36mmの方がより引き締まって見えると感じるのです。そしてそのサイズ感は、私たちがスーツを着たときにも良い雰囲気を与えてくれます。つまり、カフスの合間から時折見える小ぶりなエクスプローラーⅠは主張しすぎず、「さりげにロレックスを着けている」感じを周囲に与えるのです。
<夜光塗料>
エクスプローラーⅠの文字盤のインデックスや針には夜光塗料が塗ってあります。実は、夜光塗料も進化をしており種類があります。下で、3つの世代に採用された夜光塗料の種類をざっくりとですがまとめます。
~エクスプローラーⅠの夜光塗料種類~
①14270:トリチウム(一部ルミノバ)
②114270:ルミノバ
③214270:クロマライト(現在モデル)
↑インデックスと針に夜光塗料
ここで注目したいのは14270が採用する「トリチウム」です。
14270と114270の外観は多少の違いこそあれ、ぱっと見はほとんど同じに見えます(※2)。デザインが似ている分、夜光塗料の違いが大きな差別化要素になるではなないでしょうか。
トリチウムは自発光物質であり、年数の経過により光らなくなっていきます。そして、色の退色が起こります。トリチウムが退色したアンティークな風合いも格好良いとは思いますが、「光らない夜光塗料」に変わった後は日常生活には不便が生じるかも知れません。それと比較して、「ルミノバ」や「クロマライト」は蓄光塗料のため半永久的に光りを提供できる夜光塗料であり、実用性という面では勝っています。
14270にもルミノバの個体も存在しますが、114270であればどの個体を選んでも「100%ルミノバ」なので安心です。
ちなみにルミノバは緑色っぽく光り、クロマライトは青色っぽく光ります。
※追記(2017/11/3)
2016年、現行エクスプローラーⅠ(214270)にマイナーチェンジがあります。
①針の長さが長くなる
②文字盤のインデックス数字(3、6、9の数字)の変更
「金属の植字のみ(ブラックアウト)」→「金属の植字+夜光塗料(クロマライト)」
<ブレスレット>
ロレックスは時代とともに外装を進化させています。もちろんエクスプローラーⅠも然りです。エクスプローラーなどスポーツモデルによく採用されるブレスレットはスポーティな「オイスターブレスレット」です。その進化の系譜を顧みると様々な変更点がありましたが、最も分かりやすい変更ポイントはクラスプ(留め具)部分です。以下のような変遷があります。
「シングルロック」→「ダブルロック」→「オイスターロック」
簡単に言うと、ブレスレットのフォールディングクラスプ(折りたたみ式留め具)がより衝撃などで外れにくく、かつ、より丈夫に進化します。クラスプ自体の見た目が変わりますので、下の画像でご参照ください。
↑左:シングルロック、右:ダブルロック
↑オイスターロック
そして、エクスプローラーⅠの3世代のモデルにブレスレットの系譜を当てはめると以下のようになります。
~エクスプローラーⅠのブレスレットの変遷~
①14270:シングルロック→ダブルロック
②114270:ダブルロック
③214270:オイスターロック
「シングルロック」は衝撃や腕の動きなどで、意図しないタイミングで外れてしまうリスクがありました。その改良として、「ストッパー」機能としてもうひとつの留め具を加えたものが「ダブルロック」です。
214270に採用される最新のオイスターロック式のブレスレットは着け心地がかなり良くなっています。こちらもダブルロック機能があるのである意味「ダブルロックブレスレット」ではありますが、さらに進化をしているので留め具の名称が「オイスターロック」になっています。このブレスレットはクラスプの厚さと重みが増したので、時計本体とブレスレットの重みがバランスを取り腕への負担が軽減されます。ブレスレットの着け心地を大切にする方には214270が一番良いモデルと言えるでしょう。
私の推す114270は「オイスターロック」ではありませんが、どの個体を選んでも「100%ダブルロック」です。
■最後に
ここまでで、エクスプローラーⅠの特徴と注目する点を述べました。繰り返しになりますが、私のおすすめは「114270」です。その理由をまとめると、つまり以下の2点を満たしているからということなのです。
①「さりげにロレックスを着けている」感じの小ぶりな36mmサイズ
②「ルミノバ」夜光塗料、「ダブルロック」という実用スペックを備える
いかがでしたでしょうか?冒頭でも述べましたが、飽くまで私のおすすめは個人的な好みで選んだものです。技術が進化しているわけですから最も性能が良いモデルを選ぶと214270になりますし、ヴィンテージエッセンスが欲しい方にとってはトリチウム夜光塗料の14270に軍配が挙がります。選択の最終判断はもちろん皆さんの感性に委ねられます。ただ、どれを選ぶべきか迷っている方がいらっしゃれば、私のおすすめに対して賛否の判断をしてみてください。それが、決定を下す手助けになるのですから。ぜひ参考にしてみて下さい!!
※1・・・「サファイアガラス」については、過去のブログをご参照ください
※2・・・14270と114270の外観の違いは、フラッシュフィットとブレスレットの連結部にあります。114270の方がフラッシュフィットとブレスレットがダイレクトに連結しており、より丈夫になっています。あと、内部のムーブメントも変更されています。 ※フラッシュフィットとは弓管、つまり「時計本体とブレスレットの中間にある連結パーツ」を指します。
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