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16.7.2021

【時計機能を解説】「永久カレンダー」と「年次カレンダー」の見分け方とは?

Komehyo

ブログ担当者:須川

 

■【時計機能を解説】「永久カレンダー」と「年次カレンダー」の見分け方とは?

 

今回のテーマは、

 

「永久カレンダー」と「年次カレンダー」の見分け方

 

についてです。

 

↑永久カレンダー

 

↑年次カレンダー

 

永久カレンダーは別名で「パーペチュアルカレンダー」、年次カレンダーは「アニュアルカレンダー」とも呼ばれます。この2つの機能は違うものですが、時計のフェイスを見ると、見た目がとてもそっくりです。そのため、多くの方は、ぱっと見ただけでは同じ機能に見えるかもしれません。

 

そこで今回は、永久カレンダーと年次カレンダーの違いを説明し、その見分け方を紹介します。是非、最後までご覧ください。

 

 

 

 

 

 

■「永久カレンダー」と「年次カレンダー」の違い

 

「永久カレンダー」と「年次カレンダー」の違いを理解するには、時計の“カレンダー表示の種類”を理解すると良いでしょう。

 

カレンダー表示の種類は以下の通りです。

 

 

上のリストの通り、カレンダー表示はいくつかあります。日付のみ表示される「デイト」が最も主流で、ときどき、曜日まで表示される「デイデイト」も見られます。そして、“何月、何日、何曜日”なのかが分かる「トリプルカレンダー(トリカレ)」も存在します。

 

ここで注目したい点は、カレンダーがずれるタイミングです。これらのカレンダー表示の日付は、必ず「31日まで」進むようになっています。そのため、小の月が明けたタイミングで、年に5回はカレンダーがずれてしまいます

 

この「年に5回」起こるカレンダーのずれを、「年に1回」まで改善したカレンダーが「年次カレンダー」です。年次カレンダーが唯一対応できないのは「2月」のみで、その他の月はずれることなくカレンダー表示を行えます。

 

そして、「永久カレンダー」は、年次カレンダーが対応できない「2月」にも対応できます。それも、通常の“28日までの2月”だけでなく“うるう年の2月”にも対応しています。

 

つまり、ユーザーの利点から考えた場合、年次カレンダーと永久カレンダーの最大の違いは、この「2月に対応しているか否か」にあります。

 

ちなみに、カレンダー機能の種類のリストには、「セミパーペチュアルカレンダー」や「セキュラーカレンダー」など、ここでは紹介をしていないものもあると思います。それらについては、過去の投稿で説明しておりますので、是非、そちらもご覧ください。

↓↓↓

【腕時計の基本知識】アニュアルカレンダー(年次カレンダー)とは何なのか?

 

 

 

 

 

 

■「年次カレンダー」と「永久カレンダー」の見分け方

 

前述したように、ユーザー目線で見た場合、年次カレンダーと永久カレンダーの違いは「2月への対応」にあります。では、実際に、年次カレンダーと永久カレンダーは、具体的に、どうやって見分ければ良いのでしょうか。ここでは、“年次カレンダー”と“永久カレンダー”の見分け方について説明します。

 

この見分け方については、先の“カレンダー機能の種類”のリストを見るとわかるでしょう。リストにあるように、年次カレンダーの表示は「月、日、曜日」、永久カレンダーの表示は「月、日、曜日、年」が基本になります。

 

これでわかるように、

 

・年次カレンダーは「年」表示がない

 

・永久カレンダーは「年」表示がある

 

という基本があります。

 

つまり、年次カレンダーと永久カレンダーを見分けるには、「“年”の表示を探す」というチェックをすればよいのです。

 

そこで必要となる知識は、永久カレンダーの“年”表示の種類です。その種類を大きく分けると、下の2つに分かれます。

 

 

 

<永久カレンダーの“年”表示の種類>

 

①うるう年カウンター

 

4年に一度設けられる“うるう年”を、4ステップでカウントする表示。この表示の場合、西暦のような「今が何年である」という概念はありません。単純に、うるう年のサイクルのみ把握しています。そのため、カレンダー設定をする際は、そのサイクルを設定するだけで済みます。

 

 

 

②西暦表示

 

直接、西暦を表示するタイプ。この西暦カウントの中で、“うるう年”も把握できています。西暦を正確に把握できる見やすさがある反面、カレンダー設定は大変です。もし、カレンダー表示が行き過ぎてしまうと、巻き戻しは基本的にできません(修理対応になります)。

 

 

 

時計の中に、この2つの“年”表示を発見できれば、「永久カレンダーである」という判断ができます

 

例えば、パテックフィリップは年次カレンダーの先駆者ですので、もし、「月、日、曜日」を表示する時計を作った場合は、「永久カレンダー」以外に「年次カレンダー」の可能性も考えられます。その場合に、“年”表示を探してみます。“年”表示があれば「永久カレンダー」、なければ「年次カレンダー」でしょう。

 

 

 

 

最後に、練習問題です。下の画像の時計は、永久カレンダーか年次カレンダーのどちらでしょうか?当ててみてください。答えは、「永久カレンダー」か「年次カレンダー」の2択のどちらかです。

 

 

 

①IWC

 

②ランゲ&ゾーネ

 

③ロレックス

 

 

 

上の3つの時計が、どちらのカレンダーなのかお判りになりましたか。

 

 

答えは、

 

①IWC:永久カレンダー

 

②ランゲ&ゾーネ:年次カレンダー

 

③ロレックス:年次カレンダー

 

です。

 

 

解説をすると、①のIWCは西暦表示という“年”表示があり、「永久カレンダー」です。②のランゲ&ゾーネは“年”表示がないので、「年次カレンダー」です。

 

③のロレックスは「年次カレンダー」なのですが、これは応用編でしょう。なぜなら、基本的に今回の取り上げるカレンダーは「月、日、曜日」があるタイプでしたが、このロレックスは、一見、「日」しかないように見えます。しかし、実は、バーインデックス脇に四角い小窓があり、これが「月」表示です。例えば、この画像なら、6時位置の四角い小窓が赤くなっていますので、「6月」を示しています。そして、“カレンダー機能の種類”のリストで記したように、年次カレンダーは「曜日」がないこともあります(曜日の表示はかっこ付けにしていました)。つまり、「月、日、(曜日)」という条件は満たしており、“年”表示はありませんので、永久カレンダーでないことが分かるのです。

 

 

 

 

 

 

■最後に

 

年次カレンダーは、「永久カレンダーの簡素版」というニュアンスで作られた機構ですので、従来は、「永久カレンダーの“年”表示なし」という、“永久カレンダー風”な顔立ちをしていました。しかし最近は、「年次カレンダーをシンプルフェイスでつくる」という取り組みも見られ、先ほどのロレックスのように、一見、年次カレンダーに見えないものも登場しています。

 

また、今回は“年”表示の有無で「永久カレンダーか否か」を判断する方法を紹介しましたが、これにも例外があります。例えば、“腕時計永久カレンダー“の黎明期のものには、“年”表示がない永久カレンダーも存在します。そのため、例外が存在することも、ご理解ください。

 

↑“年”表示のない永久カレンダー

 

 

 

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