22.5.2015
パテックフィリップ「カラトラバ3923」 ~日本人の心に残るカラトラバ~
Komehyo
ブログ担当者:長谷川
今週はシリーズブログ「ネクストヴィンテージ ※1」の第3回として、パテックフィリップの隠れた銘品として知られる「カラトラバ3923」について書かせていただきます。
↑隠れた銘品カラトラバ「3923」
◆パテックフィリップの型式について
「3923」と記しましたが、これはパテックフィリップの型式番号の頭4桁を表したものです。このモデルは「カラトラバ」と呼ばれるラインですが、カラトラバラインに属するモデルの種類は非常に多いため、私たちはよく型式の頭4桁の数字でモデルを表現します。現行の紳士用パテックフィリップの型式は「5」で始まる5000番台の型式で、「3」で始まる3000番台の型式は一世代前の型式という位置づけです。
5000番台の現行モデルはケース径が最低でも35mm以上あります。しかし、3000番台のモデルはケース径が30mm~33mmぐらいが主なサイズで、現在の主流なサイズより小ぶりなモデルと言えます。ただ、3000番台カラトラバはデザインバランスの良さに特徴があり、そのサイズ感を好む時計愛好家も依然多くいます。詳しくは以前のブログ「パテックフィリップ3796」をご覧ください。
◆「3923」について
3000番台カラトラバラインの中では「3796」や「3919」が知名度が高く、「3923」はそれらの影に隠れている印象もあります。ただ、「3923」はエッジを抑えた丸みのある意匠をもっており、「3796」や「3919」とは異なった魅力があります。その「肩の力を抜いた」ようなやわらかなケースデザインは、少しカジュアルダウンしたスーツとも相性が良さそうです。それでも他のモデルに漏れず、アップライドインデックスに、ドルフィンハンド針を採用することにより、カラトラバらしいエッセンスも持ち合わせています。
搭載するムーブメントCal.215は1974年初出のいわずと知れたパテックの名機であり、現在もパテックフィリップの主力手巻きムーブメントとして活躍しています。28800振動/時のハイビートとして設計したことが、長寿になった一因かもしれません。
この「3923」を90年代の銘品として位置づけ得るひとつの要素として、このモデルには「日本限定としての3923があること」という点を述べたいと思います。
<3923A>
ステンレスケースの「3923」
1987年に日本限定150本として発売されました。1989年のパテックフィリップ創業150周年に向けたモデルとも言われています。
文字盤バリエーションがアイボリー、グレー、シルバーの3種類あり、ステンレスケースとして作られたことがポイントです。パテックフィリップの立ち位置を考えれば、ゴールドケースやプラチナケースで時計を製造することが「普通」ですが、限定生産らしくステンレスで製造され、その希少性は、非常に高く認められています。
<3923S>
シースルーバックの「3923」
1992-1993年ごろに100本限定で発売された「3923S」は、日本人のための時計として当時の一新時計がパテックフィリップ社に頼んだと言われるモデル。もちろん限定数があるこのモデルは数が少なく、その希少性は言うまでもありません。
Cal.215がシースルーバックから鑑賞できるという点は、時計愛好家にとって嬉しい要素だとおもいます。もちろんシースルーバックに対しても賛否両論ありますが、高級時計は実用性だけでなく芸術性も持っているということを考えれば、内部まで鑑賞できることは悪いことではないはずです。
バブルの香りが残る時代だったこともありますが、それまでは特注品扱いだったシースルーバック仕様を、限定品とはいえ一般流通品として流通させた当時のジャパンパワーは誇らしくもあります。現在の日本に当時ほどの勢いが戻ることはないのかもしれませんが、本当にすばらしいものは後世に残ります。この3923Sは当時の日本の勢いを象徴するモデルではないでしょうか。
このように「3923」は日本と縁があるモデルでした。日本人にとっての銘品として、後世まで語られれば嬉しいです。
※1・・・90年代前後に生産されたものを中心とした廃盤品の中から「銘品」といわれるものをピックアップし、事実と主観を交えながら綴るシリーズブログ
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