27.7.2018
【高級時計の人気モデルを比較】「ロレックス エクスプローラーⅠ」 vs. 「IWC パイロットウォッチ」
Komehyo
ブログ担当者:高橋
「コカ・コーラにしようか、ペプシ・コーラにしようか」
「プリングルスにしようか、チップスターにしようか」
などと、皆さんも、“2つのライバル商品”で迷うことはないでしょうか?
実は高級時計においても、“2つのライバル商品”で購入時に迷うことがあります。ただし高級時計は、上で例に出した飲料やお菓子のように頻繁に購入するものではありません。そのため高級時計においては、「どのモデルが“ライバル商品”であるか」が、あまり世間に知られていない状況があります。
そこで今回は、高級時計の人気モデルの中で、“ライバル関係”にあるモデルを紹介します。
今回は、「実用性を追求した究極のシンプルウォッチ」という点で、よく購入時の比較対象にされる2つのモデルを紹介します。
それは、
・ロレックス「エクスプローラーⅠ」
・IWC「パイロットウォッチ(“マーク”シリーズ)」
です。
この2つのモデルを比較することにより、それぞれの魅力を炙り出したいと思います。そして企画として、私の個人的な意見で、私の好みでどちらかのモデルに“軍配”を上げたいと思います。
■モデル紹介
今回はロレックスの「エクスプローラーⅠ」とIWCの「パイロットウォッチ(“マーク”シリーズ)」を比較する企画です。まずは、それらのモデルを知らないと話が進みませんので、それぞれのモデル紹介から始めます。
○ロレックス「エクスプローラーⅠ」
人類が初めてエベレスト登頂に成功した1953年に、ロレックスが発表したアドベンチャーウォッチ。過酷な環境においても、時刻がすぐ読め、高い精度を保つことができるように作られた時計です。ロレックスの人気モデルの一角を占めるモデルで、様々なマイナーチェンジを繰り返しながら、現在も製造されています。
中古市場での主な選択肢は以下のモデルです。
①14270(1990~2001年)
プラスチック風防だった一世代前のモデルとは変わり、サファイアガラスを採用した1990年代のエクスプローラーⅠ。ムーブメントは近代的なハイビート機になり、インデックスには金属の枠が付くようになりました。生産の途中で、「シングルバックル→ダブルバックル」、「トリチウム夜光塗料→ルミノバ夜光塗料」というマイナーチェンジがあました。
②114270(2001~2010年)
2000年代のエクスプローラーⅠ。一世代前の14270と見た目はほぼ変わりませんが、ムーブメントとフラッシュフィットに変更が入り、より強固な作りになりました。夜光塗料は「ルミノバ」、クラスプは「ダブルバックル」です。
③214270(2010年~)
2010年以降のエクスプローラーⅠ。一番の違いとしてはサイズアップが挙げられます。具体的には、14270と114270がケースサイズ36mmだったのに対して、214270は39mmに変更されました。また、夜光塗料はルミノバより発行持続時間が長い「クロマライト」に変わりました。ブレスレットの構造も、前作までの中空のものではく、中まで金属が詰まった無垢仕様となりました。2016年以降は、インデックスの数字部分にも夜光塗料が乗るようになります。
○IWC「パイロットウォッチ(“マーク”シリーズ)」
IWCはかつて、軍用にパイロットウォッチを製造していました。そのひとつが、「マーク11」です。そのマーク11の後継モデルを、現代の時計として作り出しているのが「マークシリーズ」です。マークシリーズのようなパイロットウォッチは、過酷な戦闘機のコックピット内でも時刻を確実に読み取れる必要があります。そのため、高い視認性・精度・耐磁性を備えています。また、軍用時計としての特徴である、アラビア数字をもつ文字盤も備えています。
①マーク12(1994~1999年)
1994年に登場したマーク12は、現在の感覚からすると少し小ぶりなケースサイズ(約36.5mm)です。歴代の中では、このモデルだけが「ジャガールクルト製のムーブメント」を搭載しています。ブレスレットは「11列タイプ」です。
②マーク15(1999~2006年)
1999年に登場した38mmサイズ。ムーブメントはETA社製に変わりました。ブレスレットは、「11列→5列→5列(フラット)」と変化します。また、この世代の途中が、夜光塗料の変更期にあたり、「トリチウム→ルミノバ」という変更があります。
③マーク16(2006~2012年)
2006年に登場した39mmサイズ。針がそれまでのバトン形から「アルファ形」に変更されています。文字盤上の「6」「9」が消え、よりさっぱりとした印象の文字盤に変更されました。
④マーク17(2012~2016年)
2012年に登場した41mmサイズ。マーク16のデザインは継承しつつ、日付表示枠が拡大しています。
⑤マーク18(2016年~)
2016年に登場した40mmサイズ。マーク12以降は徐々に大型化していましたが、このモデルではサイズダウンが行われました。文字盤のデザインが変更され、以前のような「6」「9」のインデックスをもつデザインとなりました。また、この世代まではETA社のムーブメントを使っていましたが、2018年からはグランジャン製に置き換わっています。
■「エクスプローラーⅠ」と「マークシリーズ」の共通点
では、なぜエクスプローラーⅠとマークシリーズはよく比較対象となるのでしょうか?その理由は、「テイストが近いから」に他なりません。ここでは、2つのモデルの共通点を理解することで、比較対象される理由を把握します。
まず、2つのモデルの共通点は、冒頭でも触れましたが「実用性を追求した究極のシンプルウォッチ」であることです。
つまり、
・見やすい(高い視認性)
・時間が狂わない(高精度)
・機能は時刻・日付表示のみ(シンプル)
という点が共通点です。
↑文字盤デザインの比較
太陽の眩しい光りの下でも見やすい文字盤デザインにするため、黒い文字盤カラーにして、大きくて読みやすいアワーマーカーと針を備えています。もちろん、夜光塗料が使われています。また、機能を時刻表示や日付表示のみの最小限にして、シンプルな外観にしています。シンプル機能にすることには利点があり、高い視認性を確保することはもちろん、故障リスクを減らすことにもつながっています。
また、価格面ですが、現行モデルのメーカー価格を比較しましょう。両方とも、ステンレス製のメタルバンドをもつタイプでの比較です。
・エクスプローラーⅠ/214270
→669,600円
・マーク18/IW327011
→621,000円
執筆時点ですが、両方ともメーカー価格が60万円代であり、「価格は近い」と言えます。もちろん中古価格では差が広がりますが、新品の価格から判断すると、メーカーが意図するターゲット層は近いことが伺えます。
「デザインとスペック面で共通点があり、ターゲット層も近い」という点で、エクスプローラーⅠとマークシリーズはよく比較されるのかもしれません。
■「エクスプローラーⅠ」と「マークシリーズ」の私の評価
ここからは今回の企画のメインです。エクスプローラーⅠとマークシリーズを比較し、私の個人的な評価をさせていただきます。つまり、「個人的に、私はどちらのモデルが好きか」という点を紹介します。
この企画を行う意図ですが、「私の意見に皆さんが賛否の反応をすることにより、“皆さんの好み”が明らかになるのではないか」という意図があるのです。是非、私の意見に反応してみてください。
では、下で私の意見を書きます。しかしモデル比較をするにも、先に紹介したように、それぞれのモデルは年代により姿を変えてしまいます。そこで、“年代を揃えて”それぞれのモデルを比較しようと思います。
①「14270」 vs. 「マーク12」
(1990年代後半期)
→「マーク12」に軍配
↑マーク12のベースムーブメント
ジャガールクルトCal.889系
14270もマーク12もトリチウム夜光塗料の文字盤が載っているヴィンテージ感あふれるモデルです。その要素は私の好みであり、どちらも素敵なモデルです。拮抗する両モデルの差として軍配の決め手になったのは、マーク12が「ジャガールクルトのムーブメントを使っていること」です。今回登場した中で、ムーブメントで独自性を持っている唯一のモデルですので、評価が高くなりました。11列ブレスには賛否両論あるでしょうが、他のメーカーであまり見ないブレスレットデザインを、私は評価しました。
②「114270」 vs. 「マーク15」
(2000年代前半期)
→「マーク15」に軍配
↑マーク15の初期の11列ブレス
私は、ブレスレットデザインが好きなので、マーク15に軍配を上げます。ただし、マーク15はブレスレットの形状が途中で変わります。特に、初期から中期仕様のブレスレットまでは「マーク15らしい」と感じることができるので、高い評価をしています。114270も高い完成度をもちますが、個性の点では少し後塵を拝するように感じました。
③「114270」 vs. 「マーク16」
(2000年代後半期)
→「114270」に軍配
↑安定したデザインの114270
私はマーク16のデザイン変更をプラスと受け取ることができませんでした。つまり、既に完成の域にあったデザインを壊してしまったと感じたのです。逆に、安定して完成されたデザインを継続する114270の評価が高くなります。特に、マーク16の文字盤から「6.9」がなくなってしまった点は、少しカジュアル過ぎるように感じます。また、マーク16の39mmというケースサイズは、腕の細い私からすると大きく感じてしまい、36mmの114270が魅力的に感じます。
④「214270」 vs. 「マーク17」
(2010年代前半期)
→「214270」に軍配
↑高級感を増した214270
マーク17も前作と同じく、41mmという大ぶりサイズが個人的に合わず、どうしても高評価をすることができません。日付枠を3日分見えるようにした点も、本来の特徴である「見やすさ」という点と逆行しているように感じます。ただし、エクスプローラーⅠも214270になって39mmになり、大型化した点は同じです。両方とも大型化したので、他のところに目を向けると、214270は前作に比べて格段に高級感がでました。“スポーティでありながら高級”という点は評価すべきポイントです。
⑤「214270」 vs. 「マーク18」
(現行モデル)
→引き分け
↑文字盤を改善する両モデル
「6、9」の数字を再び文字盤に戻し、日付枠もかつてのように戻した“原点回帰デザイン”のマーク18には、好印象を持ちます。また、214270は途中からインデックスの「3、6、9」にも夜光塗料を加え、視認性をアップさせました。本来のコンセプトから考えると、実用性アップはプラス要素です。ケース径は214270が39mm、マーク18が40mmとほとんど変わりません。両モデルともに好印象な改善があったので、引き分けとします。
■まとめ
ここまででは、エクスプローラーⅠとマークシリーズを、私の個人的な意見で評価してきました。
今回、私は2つのモデルを改めて考えてみて、どうやら私の嗜好は
「14270、マーク12、マーク15が好み」
であるということが認識できました。
確かに、私はトリチウム夜光塗料のモデルが好みです。個体差はあれど、ヤケ感が良く出ているモデルが格好良く思えてしまいます。そして、サイズ感は36mm~38mmぐらいのケース径が好みです。この小ぶりなケースは収まりが非常に良いので、細身な私はやはりそちら側のモデルが良く見えてしまいます。
では、皆さんはどうでしょうか?
私の意見を聞いて、「同感だ」と感じる方もいれば、「そうは思わない」という方もいらっしゃるでしょう。その皆さんの賛否の中に、きっと皆さんの“好み”や“こだわる部分”が隠れています。是非、その気持ちを大事にしてください!
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