17.3.2018
ロレックス|シードゥエラーとはどんなモデル? ~其の二、サブマリーナの“バリエーションモデル”からの脱却~
Komehyo
ブログ担当者:篠田
前回の投稿
「ロレックス|シードゥエラーとはどんなモデル? ~其の一、サブマリーナとシードゥエラーの違い~」
の中で、
シードゥエラーは、外観はほとんどサブマリーナでありながら、サブマリーナとは違うモデル
ということに触れました。
実はこの状況が、面白い現象を生み出しました。特に以前は、「サブマリーナとシードゥエラーは外観の違いが少ない」という状況に加え、「価格の差も少ない」という状況がありました。そのため、多くの方は購入の選択の際に「サブマリーナかシードゥエラーか?」と、頭を悩ませたのです。そして、その選択の結果に傾向が生まれます。それは次のようなものです。
<以前のロレックスダイバーズウォッチの選択傾向>
1.多くの方が、よりメジャーなモデルであるサブマリーナを選ぶ
2.一部の方が、“敢えての外しモデル”としてシードゥエラーを選ぶ
かつては、上のような傾向がありました。しかし、現在は違います。実は最近、シードゥエラーは“サブマリーナのバリエーションモデル”という立ち位置から脱却しました。つまり現在、シードゥエラーは新展開を見せているのです。
そこで今回は、ロレックスがシードゥエラーで行なっている 新展開について、以前との変化を押さえながら紹介していきます。
↑新たな展開を見せるシードゥエラー
※画像はディープシー(Dブルー文字盤)
■サブマリーナとシードゥエラーの選択
多くの日本人がロレックスのスポーツモデルを購入するようになったのは、1990年代からです。その頃、前述したように、ロレックスのダイバーズウォッチを検討する方は、
「多くの人→サブマリーナを選択」
「“敢えての外し”を狙う人→シードゥエラーを選択」
という傾向にありました。
この傾向になった大きな原因は、「サブマリーナとシードゥエラーの外観がほぼ同じだったから」です。外観がほとんど同じであれば、多くの消費者は、より知名度が高く、流通量も多いモデルに流れることになります。つまり、サブマリーナを選択するのです。それは、自然なことかもしれません。
しかし、別のポイントもありました。それは、「サブマリーナとシードゥエラーの販売価格が近かった」点です。約10年ほど前まで製造されていた、一世代前のサブマリーナとシードゥエラー(型式16610と16600)は、メーカー価格の差は2万円もありませんでした。ロレックス の価格帯における“2万円以内”の違いであれば、おそらく、多くの人にとっては「大差ない」という感覚になるのではないでしょうか。
このぐらいの価格差であれば、「敢えてメジャーな方を外そう」という方も一定数います。そういった方が、シードゥエラーを選択したのです。
↑シードゥエラー16600
(1990年頃/1220m防水/40mm)
※型式16660(1978年~)の後継機
■シードゥエラーは“サブマリーナのバリエーションモデル”ではなくなる!
しかし2008年、「ディープシー」の名を持つシードゥエラー・ディープシー(以下、ディープシー)が登場すると、展開が変わります。シードゥエラーは、サブマリーナの単純なバリエーションモデルではなくなったのです。
つまりディープシーの登場は、“サブマリーナと大きく違う外観”をもつシードゥエラーの誕生なのです!
↑ディープシー116660
(2008年/3900m防水/44mm)
この時点で、もうシードゥエラーは“サブマリーナのバリエーションモデル”というスタンスではなくなった気がします。このディープシーは、
・防水性:3900m
・ケースサイズ:44mm
(※サブマリーナは40mm)
・リングロックシステム採用
・ドーム型サファイアガラス採用
と、大きくサブマリーナと異なるモデルとして登場しました。防水性を大きく向上させただけでなく、サファイアガラスの形状、高い防水構造のための部品追加などがあり、デザイン自体が大きく違います。
↑外観もサブマリーナと全く違う
また、2014年には「Dブルー」と呼ばれる青いグラデーション文字盤のディープシーが登場します。ナショナル・ジオグラフィックの探検家である、ジェームズ・キャメロン氏がマリアナ海溝の最深部「チァレンジャー海淵」単独到達した記念モデルです。
※2018/3/22追記
2018年の新作として、ディープシーは新型ムーブメントを搭載したタイプにモデルチェンジしました(型式116660→126660)。
このディープシーの登場で特徴的なことは、「サイズを大きくした」という差別化です。かつては、サブマリーナもシードゥエラーも同じ40mmサイズでした。しかし、44mmサイズのディープシーを登場させ、サイズ面で差別化を図ります。ただ、2014年にはサブマリーナと同じサイズのシードゥエラー116600(40mmサイズ)を登場させ、一旦はサブマリーナとシードゥエラーの同サイズ化が起こります。しかし2017年に、シードゥエラー126600(43mm)が登場し、再びサイズの差別化を行います。
まとめると、
以前:サブマリーナもシードゥエラーも40mmサイズ
・サブマリーナ16610:40mm
・シードゥエラー16600:40mm
↓
現在:サブマリーナは40mm、シードゥエラーはより大きなサイズへ
・サブマリーナ116610LN:40mm
・ディープシー116660:44mm
(2018年より126660へ)
・シードゥエラー126600:43mm
(40mmのシードゥエラー116600は生産終了)
という状況です。
もうロレックス のダイバーズウォッチ選びにおいて、「サブマリーナかシードゥエラーか、どちらにしようかな?」という状況ではなくなています。現在は、
・通常サイズ=サブマリーナ
・ビッグサイズ=シードゥエラー
という棲み分けなのです。
↑シードゥエラー116600
(2014年/1220防水/40mm)
↑シードゥエラー126600
(2017年/1220m防水/43mm)
※通称「赤シード(ゥエラー)」
■最後に
ここまでで紹介したように、もうシードゥエラーはサブマリーナから“独り立ち”したのです。そして、デザインもサブマリーナとは違います。例えば、回転ベゼルに刻まれる目盛りを見てください。
サブマリーナでは細かな目盛りは1~15分までですが、シードゥエラーでは細かな目盛りが1~60分まで刻まれます。少し細かな点かもしれませんが、デザイン面でもより差別化が進んでいることが分かります(以前の16610と16600の時代までは、サブマリーナもシードゥエラーも同じパターンの目盛りでした)。
実際には、シードゥエラーが大きくなったことには賛否両論ありますが、私は、これも“シードゥエラーの存在意義”としては必要なことだったのではないかと感じます。今の私の気持ちは少し複雑なのですが、「生産終了になった40mmサイズのシードゥエラーの希少性を再評価しつつ、40mmサイズを捨てて歩き始めたシードゥエラーを応援したい」という心境なのです!
※おすすめ投稿記事
「【考察】ロレックスの認定中古が始まることによる影響とは?」
※おすすめ動画
TAGLIST
- A.LANGE&SOHNE
- , AUDEMARS PIGUET
- , Bell&Ross
- , BLANCPAIN
- , Breguet
- , BREITLING
- , BVLGARI
- , CARTIER
- , CASIO
- , CHANEL
- , CHOPARD
- , CITIZEN
- , F.P.JOURNE
- , FRANCK MULLER
- , G-SHOCK
- , Girard-Perregaux
- , Glashütte Original
- , HAMILTON
- , HERMES
- , HUBLOT
- , IWC
- , Jaeger-LeCoultre
- , Longines
- , MAURICE LACROIX
- , MORITZ GROSSMANN
- , NEXT VINTAGE
- , NOMOS
- , OMEGA
- , ORIS
- , PANERAI
- , PATEK PHILIPPE
- , PIAGET
- , RICHARD MILLE
- , ROLEX
- , SEIKO
- , SINN
- , SWATCH
- , TAG HEUER
- , TISSOT
- , TUDOR
- , Ulysse Nardin
- , VACHERON CONSTANTIN
- , VINTAGE
- , ZENITH
- , その他
- , パテックフィリップ
- , ファッション
- , 人物
- , 時計一般知識
- , 独立時計師
- , 筆記具
- , 革靴
more
-
NEXT ARTICLE
次の記事へ
23.3.2018
タグホイヤー|モナコが「凄い!」と言われる理由 ~革新的な世界初の角型防水時計~
-
PREVIOUS ARTICLE
前の記事へ
16.3.2018
ロレックス|シードゥエラーとはどんなモデル? ~其の一、サブマリーナとシードゥエラーの違い~