26.1.2018
カルティエ|ロードスターが流行らせた!バンドの簡単交換システム
Komehyo
ブログ担当者:中野
「腕時計のベルト、自分で簡単に付け替えができたらいいのに!」
皆さん、そんな風に思ったことはありませんか?
もし簡単に腕時計のベルト(バンド)の交換ができれば、気分によって好きなバンドに付け替えて使うことができます。しかし残念ながら、一般的な腕時計のベルトは、「ばね棒外し」等の工具を使う必要があります。
自分でベルト交換をやってみようにも、まずは工具を入手する必要があります。また、慣れないうちは傷をつけてしまう可能性があります。そのため多くの方は、購入店や時計修理店まで出向いて交換してもらっている状況があります(※1)。
つまり、一般の方は、時計のベルト(バンド)を簡単に交換できないのです。
しかし最近は、“ワンタッチでベルト(バンド)を付け替えることができる”時計が存在します。特に、カルティエ(Cartier) の「ロードスター」に搭載されたシステムが画期的でした。工具も使わず、簡単にベルトの付け替えができるのです。
↑ロードスターはベルト交換が簡単
そして、この画期的システムを搭載したロードスターがヒットしたことにより、この“ワンタッチ交換システム”は時計業界で広がりをみせました。今回は、ロードスターから広がるベルトの“ワンタッチ交換システム”について紹介します。
■腕時計ベルトの“ワンタッチ交換システム”は女性ニーズに応えることからスタート
実は、工具を使わずにベルトを交換する仕組みを採用した時計は、1990年代やそれ以前にもいくつか存在していました。しかし、それらは女性に向けたものでした。つまりかつては、シチュエーションに応じてベルトの色や素材を変えたい、女性ならではのニーズ応えるためのものでした。
↑ポワレ「マ・プルミエ」
↑ブシュロン「リフレ」
上の画像では、ポワレとブシュロンのワンタッチ交換システムを紹介しています。その他にも、エルメス「ベルトウォッチ」など、いくつかのメーカーはベルトを簡単に交換できるシステムを搭載していました。これらのメーカーは主にジュエリーやバッグなどを得意とする、女性を主なターゲットにするメーカーです。やはり、女性のニーズに応える商品開発だったのでしょう。
■いち早く男性用時計でワンタッチ交換システムを採用したロードスター
そんな中、カルティエ が2002年に満を辞して発表した「ロードスター」は、その名の通りスポーツカーがもつ流線型のフォルムに着想を得た、完全に男性を意識したモデルでした。
↑ロードスター
最大の特徴は、
「ワンタッチで交換可能なブレスレット」
「交換ベルトが付属する」
の2点です。
ロードスターのブレスレット(ベルト)の付け根には、“幅広のレバー”が付いています。そのレバーを動かすだけで簡単にブレスレットやベルトを取り外すことができるのです。
↑ロードスターの付属ベルト
↑レバーを動かすとベルトを外すことができる
ロードスターの存在感のあるブレスレットに、重厚感があるケース。そんな「スポーティながらも高級感漂う」デザインであることに加えて、この「ワンタッチのベルト交換システム」が評価されました。それまで、カルティエ ウォッチは女性向けの製品が多い傾向にあったため、関心を示す男性は限られていました。しかし、このロードスターの登場により、新たな男性客層を取り込むことに成功したのです。
例えば、“気分を変えたいとき”、“車を運転するから腕時計を重さを軽減したいとき”などで、ロードスターはそのニーズに応えてくれます。ブレスレットから簡単にベルトへ付け替えができることにより、気分を変えることができ、金属ブレスから軽量な替えベルトに変更できるのです。そして時代としても、男性は以前よりもファッションに幅を求めるようになりました。彼らのようなハイセンスな男性客層の支持を得ることができた点も、成功した要因かもしれません。
■他社モデルへの広がり
その後、ベルトの“ワンタッチ交換システム”は、同じリシュモングループに属するIWCのアクアタイマーにも「クイックチェンジシステム」という形で採用されます。これは、カルティエの特許を使用したようです。
↑IWC「アクアタイマー」
その他には、2016年登場のヴァシュロン・コンスタンタンの新型オーヴァーシーズにも採用されました。こちらも、同じリシュモングループです。
↑ヴァシュロンコンスタンタン「オーヴァーシーズ」
その他のグループに目を向けると、LVMH所属のウブロの「ビッグバン ウニコ」にも、似たような仕組みが取り入れられています。
↑ウブロ「ビッグバン ウニコ」
これらはほんの一例ですが、カルティエ が開発した“ワンタッチ交換機構”が、ロードスターを皮切りに、他社の男性用モデルにも波及していったのです。
■最後に
以前まで、女性をターゲットにしていた「簡単にベルトが交換できる」という仕組みが、ロードスターの誕生以降、男性用時計にも次々と取り入れられるようになりました。
そういった意味でも、カルティエ の“ワンタッチ交換システム”の登場によりもたらされた影響は大きかったのです。男性モデルが主流を占める高級時計業界にとっては、大きな功績だったのです。
このロードスターというモデルこそ、
以前の投稿「独自路線を行くカルティエウォッチの魅力とは? ~カルティエの時計は芸術作品~」
で紹介したように、“独自の新しい作品を追求し続けるメゾン”だからこそ辿り着いた、「機能美」を追求したモデルだと思います。
カルティエがまた、時計業界を席巻するモデルを生み出すのはそう遠い日ではないかもしれません。今後も、ユーザーを魅了する作品の誕生に期待したいです!
※1・・・ベルト交換時にラグ裏やばね棒などに傷がつくことがあります。プロに依頼をすると傷が少なくてすみますが、プロでも“全く無傷で”の交換は難しいです。交換時に多少の小傷がつくことは、あらかじめご認識ください。
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