7.10.2017
富裕層が選ぶ時計メーカー「リシャールミル」 ~パテックフィリップではない雲上時計~(後編)
Komehyo
ブログ担当者:中山
前回の投稿
「富裕層が選ぶ時計メーカー|リシャールミル ~パテックフィリップではない雲上時計~(前編)」
で、リシャールミルという時計メーカーについて紹介しました。
今回は、後編として、「リシャールミルとパテックフィリップのスタンスの違い」を紹介します。
↑リシャールミル「RM011フェリペ・マッサ」
■リシャールミルとパテックフィリップのスタンスの違い
前回の投稿で紹介しましたが、リシャールミルもパテックフィリップも、時計好きの富裕層に人気のメーカーです。しかし、両者には明らかなスタンスの違いがあり、購入者の“求めること”も違います。
ここで、前回リシャールミルを「腕時計のF1」と表現しましたので、イメージが湧きやすいように両メーカーを「自動車」に例えてみましょう。
・リシャールミル = 「F1カー(レーシングカー)」
・パテックフィリップ = 「ロールスロイス」
無理やり当てはめると、このようなイメージかもしれません。つまり、リシャールミルとパテックフィリップは方向性が違うのです。より具体的に理解できるように、下でパテックフィリップについて補足します。
<パテックフィリップ>
パテックフィリップは、1839年にアントニ・パテック氏とフランチ・チャペック氏よって創業されました。現在から見ても200年近くの歴史があり、今なお「世界一高貴な時計」を作るマニュファクチュールとして知られています。そして、これだけの支持を得ている源は、その技術力の高さです。技術力の高さは、複雑機構を得意としている点でもうかがい知ることができます。
またパテックフィリップは、2009年まで「ジュネーブシール」を全ての機械式機構に取得していました。つまり、“ジュネーブの伝統的な作り”に準じて時計作りを行っています。そして、現在は「ジュネーブシ―ル」を越える社内規定「パテック・フィリップシ―ル」を通しています。
さらに、このような高い技術をもつパテックフィリップは、どんなに古い自社時計も「永久修理」可能なことを宣伝しています。メーカーにオリジナル部品が無くなっても、新たに製造し代替え部品をを使う事によりメンテナンスを可能にしています。
上のパテックフィリップの補足説明を見ると、パテックフィリップは「伝統を守る正統性」、「圧倒的な技術」、「顧客への信頼」を売りにする時計メーカーであることが分かります。まさに、“老舗”という印象です。“伝統が生み出すエレガントさ”をもつパテックフィリップは、「ロールスロイス」のイメージと重なるところがあります。
一方、リシャールミルは、「F1カー」のイメージに近いと思います。F1では、スピードを求めて新たな技術をどんどん採用します。リシャールミルも同じように、「ガンガン使える超高級時計」を実現するために、どんなに高価になっても業界内の最高スペックを求めます。その最高スペック実現のためには、業界の外の専門企業の協力を仰ぐことも厭いません。そのため、リシャールミルは新作を出すたびに、「業界初の」という形容詞がつくことが多いのです。
つまり、“最先端”技術を次々に採用するイメージが、F1カーとリシャールミルの共通する部分です。
▪️最後に
ここまでに紹介したことの中で、両メーカーの象徴的な違いを下に挙げます。
・パテックフィリップ
→伝統的な時計作りを重んじる
・リシャールミル
→最先端な時計作りをする
この違いを理解すると、時計好きの富裕層がどちらのメーカーを選ぶかは、「どちらの時計作りに感銘を受けるか」という要素で決まるのだと思います。
最後に、私が大きく他の老舗メーカーと違うと思ったリシャールミルの魅力を紹介させていただきます。
それは、CEOのリシャール・ミル氏が時計師でもなく、デザイナーでもない点です。
彼は、もう一つ上の次元で考えるプロダクターなのです。つまり、魅力的な時計のコンセプトを練り、素材を検討し、サプライヤーに依頼する。これが、リシャール・ミル氏の仕事です。一つ上の次元から革新を考えるからこそ、小手先だけの革新にならず、大きな革新が生まれるのです。
業界を揺るがすレベルのことをやってのけるこれだけのコンセプターは、時計業界にいるでしょうか?リシャール・ミル氏の強い情熱、一切の妥協を許さないその姿勢、それがリシャールミルをこの短期間で急成長させたのです!
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