3.4.2015
なぜロレックスが時計業界のTOPにいるのか?
Komehyo
ブログ担当者:須川
「なぜロレックスがこれほど時計業界をリードしているのか?」とふと考えることがありませんか?
時計に興味がなくとも、「ロレックス」を知らないという人はまずいないでしょう。
では、なぜロレックスが時計業界のTOPにいるのでしょうか。この疑問を紐解くために、まずはロレックスの偉大な功績である「3大発明」と、ロングセラーを生む理由といえる「同一モデルの改良」について説明していきましょう。
↑なぜロレックスは時計業界のTOPにいるのか?
■ロレックスの3大発明
一般的に、ロレックスは3大発明、すなわち、「オイスターケース」「パーぺチュアル」「デイトジャスト」で今のポジションを確立しました。
①オイスターケース: 牡蠣のように固く閉ざされた「防水性」の高いケース
②パーペチュアル: 身に着けていれば永遠に止まらないという「自動巻機構」のこと
③デイトジャスト: ディスク式の日付表示機能(日付を瞬時に切り替える機能つき)
※以前は日付は何時間もかけて日を切り替えましたが、デイトジャスト機能は午前0時付近で日付が切り替わります(午前0時ちょうどではありません)。
今では当たり前の実用的機能ですが、「これらの実用性を当たり前にしたこと」がロレックスの偉大な功績です。それまでにも実用性への追求はありましたが、ロレックスほど実用性に重きを置き、実際に普及できる構造を導入したメーカーはありませんでした。これらの実用機能が評価されてロレックスは業界で地位を確立しますが、中でもロレックスが採用した「全回転式ローター式の自動巻機構」は歴史的な偉業だと評価されています。世界初の実用的な自動巻腕時計はイギリスのジョン・ハーウッド(※1)が開発した「半回転式ローター式」という機構でしたが、ロレックスが開発したこの「全回転式ローター式の自動巻機構」はより巻上効率に優れ、現在のスタンダードになっています。
■同一モデルを改良し続けるロレックス
さらに特筆すべきは、実用性を追求するメーカーであるからこその「同一モデルの改良」です。数あるメーカーの中で、ロレックスほど、同じモデルを改良し続けているメーカーはないでしょう。
↑代表作のサブマリーナデイト
※画像は16610
例えば、ロレックスの象徴的モデルの一つである「サブマリーナデイト」。このモデルはロレックスが誇るダイバーズウォッチの代表作として君臨していますが、もともとは「日付表示のない」サブマリーナから派生して登場した後発モデルです。
私たちが「ダイバーズウォッチ」と聞いて思い浮かべる「回転ベゼル付き」ダイバーズウォッチは、ブランパンのフィフティファゾムスとサブマリーナが元祖と言われています。
サブマリーナは、1953年に誕生した当初、プロフェッショナルユースを想定していたためか、日付表示が付けられていませんでした。しかしサブマリーナが大衆に受け入れられ、デイリーユースにも使われるようになったことで、デイト表示付きのサブマリーナがラインナップに加わったのでしょう。「デイトジャスト」を発明したロレックスですから、サブマリーナに日付を搭載するのは自然な流れと言えます。
こうして誕生したサブマリーナデイトですが、日付を3時位置に配し、日付を拡大して見られるように、凸レンズである「サイクロップレンズ」が風防の日付部分に採用されました。このレンズは日付を約2.5倍に拡大します。 ※シードゥエラーにはサイクロップレンズがなく、この「サイクロップレンズの有無」がサブマリーナデイトとシードゥエラーのデザイン的な違いになっています。
↑日付を約2.5倍拡大するサイクロップレンズ
サブマリーナデイトのステンレスモデルの型式を誕生から順に並べると、
1680 (60年代から)
16800
168000
16610
116610LN (現行モデル)
となりますが、基本的なデイト付き3針デザインはずっと変わりません。中のムーブメントや、外装のブラッシュアップをし続け、今日にいたっています。
つまりサブマリーナデイトは、60年代には既にデザインが完成されており、性能を改良し続けることによって今日のスタンダードを確立してきたのです。
■ロレックスが普遍デザインを採用する意味は
スタンダードを確立するということは、モデルの認知も高くなります。もちろん、同一モデルを長く継続できる大きな理由は、「普遍性のあるデザインだったから」ということも大きいと思います。自社が作っているものを信じ貫く、それがロレックスの戦略と言えます。
今回は、ロレックスが3大発明によって業界で地位を確立したことや、同一モデルを作り続ける戦略をとることでスタンダードを確立してモデルの認知度を上げていったことを紹介しました。しかし「なぜロレックスが時計業界のTOPにいるのか?」を解明するにはもちろんこれだけの要素では足りません。「ロレックスのメディア戦略※2」、「ロレックスの秘密主義」、「モデルのターゲット戦略」など語るべきことはまだまだあります。ただ、その全ての源は、「創業者ハンス・ウィルスドルフの天才的な商才」によるところが大きいのですが、それはまた別の機会に・・・。
※1・・・ジョン・ハーウッド:イギリスの時計技師
※2・・・ロレックスのメディア戦略については、別の投稿「時計業界人なら知っている、ロレックスのメディア戦略の凄さ」で紹介しています。
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「【考察】ロレックスの認定中古が始まることによる影響とは?」
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