【最新版】長い歴史のあるエルメス「ケリー」のサイズと特徴について
INDEX
・はじめに
・エルメス ケリーとは
・ケリーのサイズ展開
・ケリーバッグの構造
・新登場のミニケリー2
・ミニケリーとミニケリー2の違い
・ミニケリー以外のおすすめのミニサイズのケリー5選
・特殊なレアケリー
・最後に
■ はじめに
接客していると、意外と多い質問として
「どっちがバーキンで、どっちがケリー?」
があります。現在の仕事に携わっていなければ私自身も分からなかったと思います。
バーキンもケリーも日常で目にする機会は少ない「超」高級品。見分けがつかなくても当然かもしれませんね。
そこで今回ご紹介するのはケリーバッグについてです。
一生モノとしてほしいなと思っている女性や、大切な方にプレゼントを考えている男性、以前ご紹介した「バーキンのサイズ毎の特徴」と合わせて、ぜひお読みください。
■ エルメス ケリーとは
1935年に誕生したケリーバッグ。
本来の名称は「サック・ア・クロア」でしたが、1950年代半ば、モナコ公妃となった女優グレース・ケリーが愛用していたことから、現在の「ケリー」という名称に変更されたことは有名なエピソードです。
エレガントなバッグとして半世紀以上の長い間、数多くの女性から愛され続けるエルメスの代表的なバッグです。
■ケリーのサイズ展開
ケリーはバーキンと比較すると多くのサイズが展開されています。
名称 | サイズ※ |
ミニミニケリー | 横15cm × 縦11cm × マチ(幅)5cm |
ミニケリー | 横20cm × 縦14.5cm × マチ(幅)9.5cm |
ミニケリー2 | 横19cm × 縦12cm × マチ(幅)5.5cm |
ケリー25 | 横25cm × 縦19cm × マチ(幅)9.5cm |
ケリー28 | 横28cm × 縦21cm × マチ(幅)11cm |
ケリー32 | 横32cm × 縦23cm × マチ(幅)12cm |
ケリー35 | 横35cm × 縦24cm × マチ(幅)13cm |
ケリー40 | 横40cm × 縦28cm × マチ(幅)16cm |
ケリーヴォヤージュ(50cm) | 横50cm × 縦34cm × マチ(幅)25cm |
※素材や内縫い/外縫いの違いによって多少の誤差がございます。
一般的に”ケリー”と呼ばれるサイズは25センチ~40センチまでのサイズ。
それ以外は「ミニ ケリー」などの名称が付いています。
サイズ展開
以下では、それぞれのサイズについて詳しく見ていきましょう。
■ 15センチ~20センチ(ミニミニケリー、ミニケリー、ミニケリー2)
小ぶりでかわいいサイズ感です。
ストラップを付けてデイリーバッグ。そのままハンドバッグとして披露宴などのパーティーで活躍します。
ただし中に入る量は制限されるので、財布をミニウォレットに変える、必要最低限の所持品だけ入れるなど工夫が必要です。
▼ミニケリー
■ 25センチ~32センチ
日本人の体形にフィットするオススメのサイズです。
小ぶりのサイズ感が好みなら25センチ、収納力を気にするなら32センチを選んでみてはいかがでしょうか。
どのサイズも、カジュアルでもフォーマルでも幅広いシーンで活躍します。
横幅、縦の長さだけを見ると一見、収納力は問題なさそうですがケリーのデザインの特徴として
①台形のデザインで、間口に近づくにつれ横幅は狭まる
②かぶせ蓋を締めないといけない
という特徴があるので、必要以上に所持品を詰め込むのはNGです。
エレガントなケリーは、スマートに身に着けるのをおすすめします。
▼ケリー28㎝(内縫い)
■35センチ以上
手に持った際に大きめの印象を受けるのは36センチ以上のサイズ。
書類を入れるなど、中に入れるアイテムの横幅が30㎝を超えるビジネスシーンなどにオススメです。
また、40センチ以上は旅行用のバッグとして使用される方が多いです。
▼ケリー35㎝(内縫い)
■ケリーバッグの構造
バーキンと比較して、ケリーには大きく2つの特徴があります。
1つめの特徴:付属のショルダーストラップが付いている
ケリーには一部の特殊なデザインを除き、着脱可能なストラップが付属品で付いています。
本来は、肩に掛けるときにストラップを使用しますが、あえて手持ちで少し垂らしながら使う事で、バッグの雰囲気はクラシックな印象から柔らかく変わります。
ただし、ストラップの付け根の金具が革本体に当たることで、表面上の傷の原因になるのであまり不必要に付けないほうがおすすめです。
2つめの特徴:内縫い、外縫いがそれぞれ存在する。
ケリーには、同じサイズでも「内縫い」「外縫い」の2種類の構造の違いがあります。
その違いは、バッグ本体の革の淵が「内側に向かって織り込んで縫製されているか」、「外側で貼り合わされるように縫製されているか」の違いです。
▼左:内縫い 右:外縫い
この縫製の違いにより、内縫いは少しカジュアルな装いに、外縫いはフォーマルな印象になります。
ケリー自体はクラシックなデザインなので、カジュアルダウンすることはありませんが、使用するシーンが会食やパーティーなどフォーマルなシーンが多いかたは「外縫い」を選んでみてもいいかもしれません。
また、横幅が同じサイズでも、外縫いの方が内縫いと比較して1㎝長くなります。
1㎝とはいえ見た目の印象は大きく変わってきます。
どちらか迷っている場合は、実際に持ち比べをして自分のイメージにどちらが近いか合わせることがおすすめです。
■新登場のミニケリー2
ミニケリー2(ミニケリードゥ)は2016年に販売開始されました。
国内定価は2023年5月時点で税抜1,100,000円ですが、同時点での中古販売価格は未使用品で約350~400万円となっています。
その価格の乖離からも、ミニケリー2の人気と希少性をうかがい知ることができます。
国内定価 | 中古販売価格 | |
ミニケリー | 757,000円(※) | 350~400万 |
ミニケリー2 | 1,100,000円 | 350~400万 |
2023年5月時点での、ミニケリー2はエプソン素材、ミニケリーはクシュベル(エプソンの前身となった素材と言われています)素材での比較
※ ミニケリーは生産終了となっているため、販売当時の最終定価です。
ミニケリー2の特徴として、昨今のミニバッグブームも追い風となりとても需要が高い反面、ブティックでも展示されていることが珍しく、流通量が非常に少ないということがあげられます。
この需要と供給量の差が、ここまで中古販売価格の高くなっていることの大きな一因でしょう。
エルメスの中でも特に人気が高い”ケリー”に、新たな”ミニサイズ”が登場したことは、当時のバッグ業界に大きな衝撃を与えたと言われています。
歴史あるケリーと現在のトレンドが融合した、伝統を引き継ぎつつも新しいミニケリー2。
販売前はここまで中古販売価格が高騰するとは誰も想像していなかったと思いますが、今になって振り返ってみると価格の高騰は必然だったのかもしれませんね。
また、生産終了となったミニケリーについても入手が困難になっていくことが予想されるため、中古市場での相場を大きく上げています。
どちらのミニケリーについても、今後の相場がどのように変わっていくかについて注目が集まっています。
■ミニケリーとミニケリー2の違い
次に、ミニケリーとミニケリー2について違いを見ていきましょう。
ミニケリー2 エプソン ブラック
ミニケリー クシュベル ゴールド
大きな変更点は以下の3点です。
①サイズ
②ハンドルがスリムに(短く)なった
③ハンドル根元の金具形状が変わり、ストラップをつけやすくなった
順番に詳細を見ていきましょう。
サイズ
上記表にもまとめましたが、ミニケリーとミニケリー2はサイズが異なります。
ミニケリー | 横20cm × 縦14.5cm × マチ(幅)9.5cm |
ミニケリー2 | 横19cm × 縦12cm × マチ(幅)5.5cm |
▼ミニケリー2
▼ミニケリー
正面から見比べるとミニケリー2のほうがやや平たい印象を受けるのではないでしょうか。
▼ミニケリー2
▼ミニケリー
特に大きなサイズの変化はマチの部分です。
9.5cmから5.5cmへと大幅に小さくなり、蛇腹状の折り目がなくなりました。
収納力は下がった代わりに横から見てもすっきりとした見た目になり、よりスマートな印象でお使いいただけるようになりました。
ハンドルがスリムに(短く)なった
▼ミニケリー2
▼ミニケリー
2つのケリーを見比べると、トップのハンドルの長さが短くなっていることがわかります。
ハンドルの長さが短くなったため、シルエットがよりプチサイズとなり可愛いらしい見た目の印象になりました。
ショルダーバッグとしてのご使用はもちろん、ハンドバッグとして指先で上品に持ってみても、シルエットが洗練されて素敵に見えるのではないでしょうか。
ハンドル根元の金具形状が変わり、ストラップをつけやすくなった
▼ミニケリー2
▼ミニケリー
それぞれのハンドル根元についた金具に注目してください。
ミニケリーの金具は1つの輪のみですが、ミニケリー2の金具はV字のような形状になっていることがわかります。
ショルダーストラップを付ける際にはこの金具部分にショルダー金具を取り付けるのですが、従来のミニケリーの金具は構造上ハンドル部分とショルダー金具が擦れやすくなっていました。
ミニケリー2では従来の金具から改良され、ショルダー金具がつけやすく傷も付きにくい現在の形となりました。
ちなみに、25cm以上のケリーでは一部のモデルを除き、2000年頃にはすでに新しい金具が使われ始めていました。
まとめ
ミニケリーとミニケリー2は見た目こそ似ていますが、どういった要素を重要視しているかによってどちらがおすすめか変わってくると個人的には考えています。
バッグとしての大きさや収納力を重視したい方や、ハンドバッグとしても使いたい方、クラシックなシルエットが好きな方にはどちらかというとミニケリーがおすすめです。
収納力よりもファッション性を重視したい方は、よりトレンドが反映されていることに加えカラーリングの選択肢が豊富にあるミニケリー2がおすすめです。
■ミニケリー以外のおすすめのミニサイズのケリー5選
以下ではその他のミニサイズのケリーを5つご紹介していきます。
ミニミニケリー
約 横14.5cm × 縦9cm × マチ(幅)3cm
ケリーを横長に縮めたような形と立ち上がったハンドルが特徴で、大きさはミニミニケリーよりもさらにコンパクトな14.5cmです。
通常のケリーとの違いは底にビスがなくシームレスになっている点です。
そのため、通常のケリーよりスッキリとした印象を感じさせます。
ケリータイニー
約 横14.5cm × 縦9cm × マチ(幅)3cm
ケリーを横長に縮めたような形と立ち上がったハンドルが特徴で、大きさはミニミニケリーよりもさらにコンパクトな14.5cmです。
通常のケリーとの違いは底にビスがなくシームレスになっている点です。
そのため、通常のケリーよりスッキリとした印象を感じさせます。
ポシェットケリー
ハンドルがフラットになるよう全体的に平たく作られたハンドバッグ型のケリーです。
クラッチバッグとしても使用可能なので、通常のケリーに比べてフォーマルシーン向きといえます。
類似のケリーカットと違い、底部分にしっかりとしたマチがあります。
サイズはミニ・レギュラー・ロングがあります。
ミニ | 約 横22cm × 縦13cm × マチ(幅)7cm |
レギュラー | 約 横25cm × 縦18cm × マチ(幅)10cm |
ロング | 約 横33cm × 縦15cm × マチ(幅)12cm |
ケリー クラシック トゥー ゴー
「トゥーゴー」シリーズは、ストラップのつけ外しでお財布とショルダーバッグ(ウォレット)の2WAY利用ができるシリーズです。
ケリー以外だとコンスタンスにもトゥーゴーの展開があり、ケリー同様人気を博しています。
コンスタンスについて詳しくはこちら
マチがとってあるため、スマートフォンくらいのサイズでしたら収納することが可能です。
しかし場合によっては厚みが出てしまい不格好になってしまうこともあるため、一度ご試着してみるのがおすすめです。
ケリーダンス2
約 横22cm × 縦16.5cm × マチ(幅)6cm
2007年に登場したモデルの復刻版として、2019年に販売されました。
最大の特徴は、ストラップの長さを最大で150cmから細かく調節ができる点です。
そのため、ストラップの長さや通し方によってショルダーバッグの他にも4通りの使い方ができます。
腰の長さに合わせてウエストバッグ、ストラップを手に巻き付けるように持ってハンドバッグ、背面の金具にストラップをクロスさせてリュックサック、ストラップを付けずにクラッチバッグ。
合計で5WAYパターンが可能となる唯一無二のケリーです。
■特殊なレアケリー
長い歴史をもつケリーバッグですが、ある一定の期間でのみ製造販売された非常に希少なケリーバッグが存在します。その一部をご紹介します。
①ケリードール
2000年前後に製造されたバッグ。そのチャーミングなデザインでその当時も話題になりました。
長い期間製造がありませんでしたが、2019年頃に素材を変えて再び登場しました。
2023年5月現在では、スイフト素材のケリードールが1,500,000円(税抜)の定価で販売されています。
中古市場では、2000年前後に販売されていたもので500万前後、スイフト素材のものでは700~800万の価格で取引されているため、その希少性がうかがい知れます。
また、ケリードールピクトという新しい仲間も加わりました。こちらはエプソン素材でドットデザインを表現しており、定価は2023年5月時点で2,020,000円(税抜)です。
中古市場では1,000万円前後で取引されることもある、コレクター垂涎の超レアアイテムですね。
ケリードールピクト
②PVC製ケリー
1997年、1998年に開催された「不思議の国、エルメスの旅」展でのみ販売された限定バッグ。こちらも製造は終了しているので、リユースショップなどで手に入れる方法がオススメです。
③ポシェットケリープルシュ ロング
2000年代前半に販売されたムートン素材で製造されたポシェットケリー。
通常のポシェットケリーが横幅20㎝に対し、横幅30㎝と一回り大きい規格になっています。
ムートン素材のケリーバッグも35㎝サイズで製造されていました。
こちらも製造は終了している為、入手は非常に困難です。
■最後に
ケリーバッグはエルメスを代表する、長い歴史を持った伝統的なバッグです。
多様なデザイン、サイズ、カラーなどによって、その人気は衰えることなく、いつの時代も数多くの女性にとって「永遠の憧れのバッグ」といえます。
その歴史や特徴を知ることで、よりいっそう、ケリーがもつ魅力に気づかされるのではないでしょうか。
最近ではフォーマルなシーンだけでなく、ミニサイズの登場でファッションの一部として身につけられるように進化しています。
ぜひご自身に合うサイズや種類を探して、ケリーと過ごす時間を楽しんでみてください。
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